税務調査に強い税理士の探し方|立会いをスポットで頼む手順
税務署から「調査でお伺いしたい」と電話が来たとき、顧問税理士がいないと、まず誰に相談すればいいのか分からなくなります。実は、顧問契約を結ばずに調査の立会いだけを引き受けている税理士は珍しくありません。この記事では、調査の連絡を受けてから立会いを頼むまでの流れを、探し方・問い合わせの仕方・確認すべき点の順に整理します。
この記事の結論
- 顧問税理士がいなくても、税務調査の立会いだけをスポットで依頼できる税理士はおり、調査日の変更を申し出たうえで探すのが一般的な進め方です。
- 「税務調査に強い税理士」を見分けるときは、立会い件数や国税OBかどうかより、自社の業種・規模・調査対象年度の申告内容を具体的に聞いてくれるかを基準にします。
- 依頼するときは、対応範囲(事前打合せ・当日立会い・修正申告・その後の折衝)と料金の算定方法を、契約前に書面で確認しておくと後の行き違いを防げます。
税務調査の連絡が来たら、税理士を探す前に何をする?
税務署からの連絡は、多くの場合まず電話で入ります。法人の場合は会社に、個人事業であれば本人に、調査の希望日程が伝えられます。このとき、その場で日程を確定させる必要はありません。「税理士に相談したいので、日程を調整させてください」と伝えて、いったん保留にするのが落ち着いた進め方です。
保留にしたうえで、担当者の氏名・所属部門・連絡先、調査の対象となる税目(法人税、消費税、源泉所得税など)と対象年度、調査の予定日数をメモしておきます。この情報がそろっていると、税理士に問い合わせたときに話が早く進みます。逆に、これが分からないまま相談すると、税理士側も引き受けられるか判断できません。
日程は数週間先に設定されることが多く、その間に税理士を探す時間は取れるのが通常です。ただし、探し始めるのが遅いほど選択肢は狭くなります。連絡を受けたその日か翌日には動き出すつもりでいてください。
顧問税理士がいなくても、立会いだけ頼めますか?
頼めます。税理士業務のうち「税務代理」には税務調査の立会いが含まれており、顧問契約とは別に、調査対応だけを単発(スポット)で受けている事務所があります。事務所のウェブサイトに「税務調査対応」「スポット対応」といった記載があるところが該当します。
一方で、すべての税理士がスポットの立会いを受けているわけではありません。顧問先の対応で手一杯だったり、過去の申告内容を自分が作っていない案件は受けない方針だったりする事務所もあります。断られても相性の問題ではないので、複数に当たる前提で探すのが現実的です。
なお、過去の申告を自分で作っていた場合は、その申告書一式と根拠資料を渡せるかどうかが引き受けの分かれ目になります。帳簿がほとんどない、領収書が散逸しているといった状態でも相談自体は可能ですが、そこも含めて正直に伝えたほうが、結果的に良い対応につながります。
「税務調査に強い税理士」はどう見分ける?
広告で使われる「強い」という言葉に明確な定義はありません。国税OBであること、立会い件数が多いことを掲げる事務所もありますが、それだけで自社の案件に合うとは限りません。判断の順番としては、①自社の業種・規模の申告を扱った経験があるか、②今回の税目と対象年度について具体的に質問してくるか、③想定される論点をその場である程度挙げられるか、の順に見ていくと違いが分かりやすくなります。
たとえば飲食業なら現金売上の計上、建設業なら期末の工事の進行度合い、IT系なら外注費と給与の区分など、業種ごとに論点になりやすい部分があります。最初の相談で「御社の場合はここが聞かれそうですね」と会話が具体化する相手は、経験が判断に結びついていると考えられます。逆に、一般論しか返ってこない場合は、もう一件当たってみる価値があります。
また、当日に誰が立ち会うのかも確認しておきたい点です。相談に出てきた税理士本人が来るのか、担当のスタッフが同席するのかで、当日の安心感は変わります。税理士でない補助者だけでは税務代理として対応できない場面もあるため、体制は事前に聞いておきます。
スポット立会いを依頼する手順
手順は大きく四段階です。第一に、税務署の連絡内容を整理したうえで、候補となる税理士事務所を三件ほどリストアップします。探す経路としては、地域の税理士会の紹介制度、商工会議所や経営者仲間からの紹介、税理士紹介サービス、事務所サイトの直接検索などがあります。紹介サービスを使う場合、紹介元への手数料の有無や仕組みは各社の公式サイトで確認してください。
第二に、電話かフォームで問い合わせます。伝えるのは、法人か個人か、業種と事業規模のおおよそ、調査の税目と対象年度、通知された調査予定日、顧問税理士がいないこと、記帳や申告を誰がやっていたか、の六点です。ここまで伝えれば、受けられるかどうかの一次回答はたいてい得られます。
第三に、受けられるという回答があった事務所と面談し、対応範囲と料金の算定方法を確認します。第四に、依頼する事務所を決めたら委任の手続きを済ませ、税務署に対して税理士が窓口になる旨を伝えてもらい、調査日を確定します。ここまでを調査日の一週間前までに終えられると、事前打合せの時間が確保できます。
見積りと契約で確認しておくこと
スポット依頼でいちばん行き違いが起きやすいのは、どこまでが料金に含まれるかです。事前打合せ、調査当日の立会い、調査後の税務署との折衝、修正申告書の作成、その後の納税手続きの案内は、それぞれ別料金になっていることがあります。見積書に対応範囲が書かれているか、書かれていなければ書面で示してもらえるかを確認してください。具体的な金額は事務所ごとに異なるため、各事務所に直接確認するのが確実です。
算定の考え方も聞いておきます。調査日数や、調査が二日を超えた場合、追加の税務署対応が発生した場合の取り扱いなどです。「一式」とだけ書かれた見積りは、後から追加が出たときに揉めやすいので、変動する条件を先に言葉にしておきます。
あわせて、資料の受け渡し方法と、こちらが用意すべきものの一覧をもらっておくと準備がスムーズです。一般に、対象年度の申告書控え、総勘定元帳や仕訳帳、請求書・領収書、契約書、通帳、給与関係の資料あたりが挙がることが多いですが、業種や税目によって変わります。
調査当日までにやっておくこと、やらないほうがいいこと
やっておくとよいのは、資料を年度ごと・種類ごとに整理して、すぐ出せる状態にすることです。求められた資料が出てこないと、調査期間が延びたり、確認事項が増えたりすることがあります。電子で保存している帳簿や書類がある場合は、当日その場で表示・出力できるか確かめておきます。電子帳簿保存法まわりの取り扱いは改正が重ねられているため、要件の詳細は国税庁の公表資料を確認するか、依頼する税理士に聞いてください。
一方で、調査の連絡を受けた後に帳簿や領収書を作り直す、日付をさかのぼって書類を整えるといった対応は避けてください。事実と異なる資料は、かえって不利に働くことがあります。不明点や記憶が曖昧な部分は、取り繕わずに税理士へ先に共有しておくほうが、当日の対応を組み立てやすくなります。
当日は、社長や事業主本人が同席を求められるのが一般的です。質問には分かる範囲で答え、即答できないことは「確認して後日回答します」と伝えて構いません。税理士が同席していれば、この整理も含めて間に入ってもらえます。
調査が終わった後の流れと、顧問契約を考えるタイミング
調査の結果、申告内容に修正が必要と判断されれば、修正申告や更正といった手続きに進みます。指摘内容に納得できない部分があれば、その場で署名せずに税理士と検討する時間を取ることもできます。追加の税負担が生じる場合の計算や納付の段取りについても、税理士に確認しながら進めてください。
調査が一段落したら、今後の記帳と申告の体制を見直す良いタイミングです。今回スポットで依頼した税理士とそのまま顧問契約に進む、記帳だけ自社で続けて決算だけ依頼する、クラウド会計を導入して入力の手間を減らすなど、選択肢はいくつかあります。判断の順番としては、①年間の取引件数、②消費税の申告が必要か、③社内で経理に割ける時間、の三つを先に確認すると、必要な支援の量が見えてきます。
税務調査への対応は、事実関係や資料の状況によって進め方が変わります。この記事は一般的な流れを整理したものですので、実際の対応にあたっては、税務調査の立会い経験がある税理士に早めに相談してください。指摘内容が重く、法的な争いに発展しそうな場合は、税理士とあわせて弁護士に相談する道もあります。
よくある質問
税務調査の連絡が来てから税理士を探しても間に合いますか?
調査日は連絡から数週間先に設定されることが多く、その間に探すのが一般的です。日程は相談のうえ調整できる場合があるため、税務署には「税理士に相談したい」と伝えて、すぐに探し始めてください。
顧問契約なしで立会いだけ頼むと、対応が手薄になりませんか?
スポットでも税務代理として対応してもらえますが、過去の申告を作っていない分、事前の資料確認に時間がかかります。事前打合せの時間をきちんと取ってくれる事務所を選ぶと、この差は小さくできます。
国税OBの税理士に頼んだほうが有利ですか?
経歴だけで結果が決まるものではありません。自社の業種・規模の案件を扱った経験があるか、想定される論点を具体的に説明できるかを基準に、複数の事務所と話して判断してください。
立会いを依頼する費用の目安はどのくらいですか?
事務所や調査の規模、対応範囲によって大きく異なるため、一律の目安は示せません。事前打合せ・当日立会い・修正申告などのどこまでが含まれるかを確認したうえで、各事務所から見積りを取ってください。