登記申請書の綴じ方と押印|契印・割印・原本還付の進め方
会社設立や役員変更の登記で、書類そのものは書けたのに「これ、どう綴じるんだっけ」「契印はどこに押すの」で手が止まる人はとても多いです。綴じ方や押印は形式の話に見えますが、形式が整っていないと窓口で補正を求められ、その分だけ登記完了が遅れます。この記事では、申請書と添付書類の綴じ方、契印と割印の使い分け、原本還付のやり方、押印が要る場面と認印で足りる場面を、提出前に見る順番どおりに整理します。
この記事の結論
- 登記申請書は「申請書→登録免許税の納付台紙→添付書類」の順に重ね、左側をホチキスで綴じ、ページのつなぎ目すべてに申請人(または代理人)の印で契印を押すのが基本の形です。
- 契印は1つの書類が複数ページにわたるときにページの連続性を示す押印、割印は2通以上の別々の書類の関連を示す押印で、登記申請では契印を使う場面のほうが多くなります。
- 添付書類の原本を返してもらいたいときは、原本のコピーに「原本と相違ありません」と記載して記名押印し、原本と一緒に提出して原本還付を申し出ます。
登記申請書と添付書類は、どの順番でどう綴じる?
綴じる前に、まず紙を3つのかたまりに分けて机に並べてみてください。①登記申請書そのもの、②登録免許税の収入印紙を貼る台紙(印紙台紙)、③定款や就任承諾書などの添付書類、の3つです。この順に上から重ねるのが、一般的な並べ方です。
綴じ方は、A4の用紙の左側をホチキス(ステープラー)で2か所留めるのが通例です。上下2か所を留めておくと、めくったときに紙がずれにくく、契印も押しやすくなります。穴を開けてひもで綴じる方法を求められる書類もありますが、通常の申請では左綴じで足ります。
注意したいのは、申請書・印紙台紙と、添付書類をどこまで一体にするかです。原本還付を受けたい書類がある場合は、その原本を申請書の束に一緒に綴じ込んでしまうと取り外しが面倒になります。原本還付を予定している書類は別のクリップでまとめ、綴じる前に「返してほしい書類」と「出しっぱなしでよい書類」を仕分けておくと、後の作業がぐっと楽になります。
複数の登記を同時に申請する場合や、申請書が複数枚になる場合も、考え方は同じです。1つの申請ごとに1つの束をつくり、束の中でページがつながっていることが見て分かる状態にします。
契印はどこに押す? ページのつなぎ目すべてが基本
契印は、1つの書類が2枚以上になったときに「このページとこのページは続きです」と示すための押印です。登記申請書が2枚になったら1枚目と2枚目の間、申請書と印紙台紙の間、というように、綴じた束のページのつなぎ目すべてに押します。
押す位置は、見開きにしたときに左右のページにまたがるように、中央のとじ目あたりです。片方のページだけに印影が収まってしまうと契印の意味が弱くなるので、印を少し傾けてでも両ページにかかるように押します。押す印は、申請書に押した印と同じものを使います。会社の代表者が自分で申請するなら会社の代表印、司法書士に依頼していれば代理人の職印です。
ページ数が多いときは、製本テープで背を包んで製本し、表紙と裏表紙のテープの境目に契印を押す方法もあります。この方法なら押す箇所は表裏の2か所で済みます。定款や議事録のように枚数が多くなりがちな書類では、製本してから束に加えると扱いやすくなります。
契印が漏れていた場合、その場で押せば済むことが多いので、法務局へ行くときは申請に使った印鑑を必ず持参してください。郵送で出す場合は、投函前にページのつなぎ目を1か所ずつ指で追って確認するのが確実な手順です。
割印と契印の違いは? 登記でどちらを使うか
割印は、2通以上の別々の書類にまたがって押し、それらが同じ内容・同じ機会に作られたことを示す押印です。契約書を2通作って当事者が1通ずつ持つとき、2通を少しずらして重ね、またがるように押すのが典型例です。
一方、契印は「1つの書類の中のページのつながり」を示します。登記申請の場面では、申請書と添付書類を1つの束に綴じるので、使う機会が多いのは契印のほうです。割印は、原本還付のためにコピーを複数枚作ったときに、コピー同士のつながりを示す目的で契印として押す、という形で登場することが多くなります。
呼び方は現場によって混同されがちですが、迷ったら「同じ書類の中のページ同士か(=契印)」「別々の書類同士か(=割印)」で判断してください。登記申請書まわりで押す印は、ほとんどがページ同士をつなぐ契印だと考えて差し支えありません。
なお、収入印紙を貼った台紙に押す「消印」は、契印とも割印とも別の考え方の押印です。登録免許税の印紙については消印しないよう案内されることが一般的なので、貼るだけにとどめ、扱いに迷うときは提出先の法務局の案内を確認してください。
原本還付の進め方|コピーに「原本と相違ありません」と書く
定款、議事録、就任承諾書、印鑑証明書などは、登記のために提出しても、その後の手続きや会社の保管用に原本が手元に残ったほうが助かります。そこで使うのが原本還付です。原本とそのコピーを一緒に出し、法務局にはコピーを残してもらい、原本を返してもらう扱いです。
手順は次の順で進めます。まず、返してほしい書類の原本をコピーします。次に、そのコピー(複数枚あるときは最後のページなど、見やすい余白)に「原本と相違ありません」と記載し、申請人の氏名を書いて、申請書に押したものと同じ印を押します。コピーが複数枚になるときは、コピー同士を綴じてつなぎ目に契印を押します。最後に、原本とコピーをセットにして、申請書の束とともに窓口へ提出するか、郵送で送ります。
申請書に「原本還付を求める」旨を書く欄がある様式もあります。窓口では「この書類は原本還付でお願いします」と口頭で伝えると確認がスムーズです。返却の方法は、登記完了後に窓口で受け取るか、返信用封筒を同封して郵送で返してもらうかのいずれかになるのが一般的です。郵送を希望する場合は、切手を貼った返信用封筒を忘れずに入れてください。
ただし、すべての書類が原本還付の対象になるわけではありません。その登記のためだけに作成された書類(委任状など)は返却の対象外とされることがあります。印鑑証明書についても取り扱いが分かれるため、返してほしい書類がある場合は、申請前に提出先の法務局へ確認しておくと手戻りがありません。
登記申請書の押印は不要? 認印でよい書類・実印が要る書類
押印については、書類の性質ごとに分けて考えると整理しやすくなります。大きく、①登記申請書そのものに押す印、②添付書類に押す印、の2つです。
①の申請書に押す印は、会社の代表者が申請する場合は法務局へ届け出た会社の印(いわゆる会社実印)を押すのが基本です。司法書士に依頼する場合は代理人が押し、会社は委任状に押印します。なお、オンライン申請で電子署名を用いる場合や、様式によっては押印が省略できる場面もあり、押印の要否は近年見直しが進んでいます。自分のケースで押印が要るかどうかは、法務局が公開している最新の記載例・様式を確認してください。
②の添付書類は、書類ごとに求められる印が違います。設立時の就任承諾書や議事録については、役員の実印と印鑑証明書の添付が求められる場面と、認印で足りるとされる場面があり、会社の機関設計や登記の種類によって変わります。「認印でよいか」を一律に決めず、その登記の記載例に何と書かれているかを1件ずつ見るのが安全です。
実務的には、申請の準備を始めた時点で「実印+印鑑証明書が要る人」を先に洗い出しておくと進行が読みやすくなります。印鑑証明書は取得に手間がかかり、有効期限の扱いもあるため、後回しにすると提出日が動きます。
提出前チェックの順番と、窓口・郵送・オンラインの選び方
提出直前は、次の順で見てください。1つ目、並び順(申請書→印紙台紙→添付書類)。2つ目、ページのつなぎ目の契印が全部押されているか。3つ目、原本還付するコピーに「原本と相違ありません」と記名押印があり、原本とセットになっているか。4つ目、申請書の押印と、添付書類で求められている押印。5つ目、登録免許税の納付方法(収入印紙を貼るのか、別の方法か)。この順に見れば、補正になりやすい形式面をひと通りつぶせます。
提出方法は、はじめての登記なら窓口が向いています。その場で形式を見てもらえることが多く、印鑑を持参していれば軽微な不備をその場で直せるためです。遠方で窓口に行きにくい、平日の時間が取れないという場合は郵送、日常的に登記を扱う予定があり電子証明書の準備ができるならオンラインという順で検討すると決めやすくなります。
郵送を選ぶ場合は、返信用封筒や完了後の書類の受け取り方法も合わせて準備します。オンライン申請は、申請そのものは電子でも、一部の添付書類は別途郵送や持参が必要になる場合があります。方式ごとの具体的な取り扱いは変わることがあるため、法務局や法務省の最新の案内を確認したうえで進めてください。
会社設立や役員変更の登記は、期限が決まっているものや、登記内容が後々の取引・融資の場面で見られるものが含まれます。綴じ方や押印で迷ったまま自己流で提出して補正が続くより、早い段階で司法書士に相談し、書類一式を見てもらうほうが結果的に早く終わることも少なくありません。税務の扱いが絡む場面では税理士、社会保険の手続きが続く場面では社会保険労務士と、内容に応じて相談先を分けると進めやすくなります。
よくある質問
登記申請書はホチキスで綴じてよいですか?
A4の用紙を左側2か所でホチキス留めするのが一般的な綴じ方です。ページ数が多い書類は製本テープで製本し、表紙・裏表紙のテープの境目に契印を押す方法も使われます。どちらの場合も、ページのつながりが見て分かる状態にしておくことが大切です。
契印を押し忘れたまま提出したらどうなりますか?
形式面の不備として補正を求められることがあります。窓口で指摘された場合は、その場で押せば済むことが多いので、提出時には申請に使った印鑑を持参してください。郵送の場合は、投函前につなぎ目を1か所ずつ確認しておくと手戻りを減らせます。
原本還付の「原本と相違ありません」は誰が書いて誰が押しますか?
原本のコピーに「原本と相違ありません」と記載し、申請人(代理人が申請する場合は代理人)が記名して、申請書に押したものと同じ印を押すのが一般的な形です。コピーが複数枚になるときは、コピー同士を綴じてつなぎ目に契印を押します。返却方法や対象書類の扱いは提出先の法務局に確認してください。
申請書の押印は認印でも大丈夫ですか?
会社の代表者が申請する場合は法務局へ届け出た会社の印を押すのが基本で、添付書類については実印と印鑑証明書が求められる場面と認印で足りるとされる場面があります。登記の種類や機関設計によって扱いが変わるため、法務局の記載例で確認するか、判断に迷う場合は司法書士に相談を検討してください。