定款認証の面談で聞かれること|実質的支配者の申告と本人確認

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

株式会社をつくるとき、登記の前に公証役場で定款の認証を受けます。ここで「面談がある」「何か聞かれるらしい」と知って、身構える方は少なくありません。実際のところ、聞かれる内容はおおむね決まっていて、事前に答えを用意しておけば短時間で終わることがほとんどです。この記事では、面前審査で確認される項目と、当日までに何をそろえておけばよいかを順番に整理します。

この記事の結論

  • 定款認証の面談では、主に「本人確認」「実質的支配者の申告内容の確認」「反社会的勢力との関係がないことの確認」「定款の記載内容の意思確認」が行われます。
  • 実質的支配者の申告は、議決権の保有割合などをもとに該当する個人を特定し、所定の申告書を事前に公証役場へ提出する流れが一般的です。
  • 当日は本人確認書類・印鑑・委任状などを持参し、服装の決まりは特にありませんが、清潔感のある平服で問題ないとされています。

定款認証の面前審査では何をするのか

株式会社や一般社団法人などを設立するときは、作成した定款について公証人の認証を受けます。このとき、公証人が発起人(または代理人)と face to face で内容を確認する手続きが、いわゆる面前審査です。オンラインでテレビ電話を使って行う方式も広く使われています。

目的は大きく分けて二つです。一つは、その定款が本当に本人の意思でつくられたものかを確かめること。もう一つは、設立される会社が犯罪収益の隠匿やマネー・ローンダリングなどに利用されないよう、実質的支配者が誰かを申告してもらい、反社会的勢力との関係がないかを確認することです。

そのため、面談は「試験」ではなく「確認」です。定款の中身を暗記している必要はありませんし、事業内容について深く突っ込まれることも通常はありません。落ち着いて、自分が申告した内容と食い違わないように答えられれば十分です。

実際に聞かれることの中身

まず本人確認です。氏名・住所・生年月日を、持参した身分証と照らし合わせて確認されます。代理人が行く場合は、代理人自身の本人確認に加えて、委任状や発起人の印鑑証明書などで委任関係が確認されます。

次に、定款の内容についての意思確認です。「この定款はご自身(または依頼して)作成したもので間違いないか」「商号・本店所在地・目的・資本金・役員の内容はこのとおりでよいか」といった形で聞かれます。事業目的について、どんな事業を考えているのかを簡単に説明するよう求められることもありますので、一言で言えるようにしておくと安心です。

そして実質的支配者の申告内容と、反社会的勢力に該当しないことの申告です。「申告書に書いた内容に相違ないか」「暴力団等に該当しないこと、関係がないことを申告できるか」という確認が入ります。ここは申告書の記載をそのまま確認する流れになることが多く、事前に内容を理解して出しておけばスムーズです。

実質的支配者の申告は、こう考えて特定する

実質的支配者とは、会社を実質的に支配している自然人(個人)のことです。株式会社では、まず議決権の保有割合から見ていくのが基本の順番になります。一般には、議決権の一定割合以上を直接または間接に持つ個人がいればその人、いなければ事業活動に支配的な影響力を持つ個人、それでも特定できなければ代表取締役など会社を代表し業務を執行する個人、という順で検討します。

ひとり社長で、自分が全額出資し代表取締役にもなるケースでは、自分ひとりが実質的支配者になるのが通常です。友人と半分ずつ出資する、法人が親会社として出資する、といった形になると、誰が該当するかの判断が変わります。法人が株主にいる場合は、その法人をさかのぼって個人まで特定する考え方になるため、出資関係を図にして整理しておくと迷いにくくなります。

申告書には、該当する個人の氏名・住所・生年月日・国籍、議決権の保有割合、暴力団員等に該当しないことなどを記載します。様式は日本公証人連合会や各公証役場のサイトで公開されていますので、最新のものをダウンロードして使ってください。判断に迷う資本構成のときは、提出前に公証役場か司法書士に相談すると、当日の差し戻しを避けやすくなります。

当日までに準備するもの・手順

流れとしては、①定款の案を作成する、②公証役場に事前連絡して定款案と実質的支配者の申告書をメールなどで送る、③公証人のチェックを受けて修正する、④日程を予約する、⑤当日、本人確認書類と印鑑等を持参して面談を受ける、という順番が一般的です。②の事前チェックを飛ばして当日いきなり行くと、修正のためにやり直しになることがあります。

持ち物は、発起人本人が行く場合、印鑑証明書(発行後の期間に制限があるため取得時期に注意)、実印、運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付き身分証、認証手数料等の支払い手段が基本です。代理人が行く場合は、これに加えて委任状と代理人自身の本人確認書類が必要になります。必要書類や通数は役場によって案内が異なることがあるため、予約のときに必ず確認しておきましょう。

費用については、認証にかかる手数料や謄本代がかかりますが、金額は制度改正で変わることがあります。最新の金額は日本公証人連合会や依頼先の公証役場の案内で確認してください。電子定款で申請する場合は、電子署名の環境や代理申請の要否も事前に整理しておくと当日が早く済みます。

服装や所要時間、オンライン認証の場合

服装に決まりはありません。スーツでなければいけないということはなく、清潔感のある平服で問題ないとされています。ただし、公的な手続きの場ですので、あまりにラフすぎる格好は避けたほうが落ち着いて臨めるでしょう。

所要時間は、事前に定款案のチェックが済んでいれば、確認と署名で短時間で終わることが多いです。逆に、事前チェックをしていない、申告書の内容に不明点がある、といった場合は時間がかかります。予定は余裕をもって空けておくとよいでしょう。

オンラインでテレビ電話を使って認証を受ける方式もあります。この場合も聞かれる内容は同じで、本人確認・意思確認・実質的支配者と反社会的勢力の確認が行われます。画面越しに身分証を提示することになるため、通信環境と身分証の準備を整えてから接続してください。対応方法は役場ごとに案内が異なるため、予約時に手順を確認しておきましょう。

つまずきやすいポイントと、迷ったときの進め方

よくあるのは、定款の事業目的の書き方でひっかかるケースです。許認可が必要な事業を予定しているのに目的の文言が合っていないと、後から許認可の申請段階で困ることがあります。将来やる可能性のある事業まで含めるか、シンプルにまとめるかは会社の方針次第ですが、許認可が絡む場合は先に所管の窓口や司法書士・行政書士に確認しておくのが安全です。

もう一つは、印鑑証明書の取得時期と、発起人が複数いる場合の日程調整です。全員が出席できないときは代理人方式を使いますが、委任状の記載事項が足りないとやり直しになります。人数が多いほど、事前確認の重要度が上がります。

定款は、一度認証を受けると変更に手間がかかります。資本金の構成、役員の任期、決算期など、後から効いてくる項目は作成段階で詰めておきたいところです。実質的支配者の判断が難しい資本構成のとき、許認可や税務上の取り扱いが絡むとき、複数人で出資するときは、登記の専門家である司法書士、税務面は税理士に早めに相談しておくと、認証から登記までを一度で通しやすくなります。

よくある質問

定款認証の面談で、事業内容について詳しく質問されますか。

多くの場合、定款に書いた目的の内容を簡単に確認される程度です。ただし実質的支配者や反社会的勢力との関係の確認に関連して、事業の概要を説明するよう求められることはあります。一言で説明できるよう準備しておくと安心です。

実質的支配者が誰になるか分からないときはどうすればよいですか。

議決権の保有割合から順に検討するのが基本ですが、法人株主がいる場合や出資割合が分かれる場合は判断が難しくなります。自己判断で提出すると差し戻しになることがあるため、事前に公証役場か司法書士に資本構成を示して確認するとよいでしょう。

代理人に行ってもらうことはできますか。

委任状と代理人本人の身分証などをそろえれば、代理人による手続きも可能です。必要書類の種類や通数は役場によって案内が異なるため、予約時に確認してください。

定款認証にかかる費用はいくらですか。

認証手数料や謄本代などがかかりますが、金額は制度の見直しで変わることがあります。最新の金額は日本公証人連合会や依頼先の公証役場の公式案内でご確認ください。

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