創業融資の面談対策|聞かれる質問と持ち物・服装の準備

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

創業融資は、申込書類を出して終わりではありません。多くの場合、そのあとに担当者との面談があります。「面接」と呼ぶ人もいますが、落とすための試験ではなく、提出した事業計画が本人の口から一貫して説明できるかを確かめる場です。ここでは、聞かれやすい質問の型、持って行くものの決め方、服装や当日の流れまでを、準備する順番に沿って整理します。

この記事の結論

  • 創業融資の面談では、事業内容・売上の根拠・自己資金の出どころ・経験・返済計画の5点を、書いた計画と矛盾なく自分の言葉で説明できるかが見られます。
  • 持ち物は、申込時に提出した書類一式の控えに加えて、通帳の原本、本人確認書類、許認可や見積書など計画の裏づけになる資料をまとめておくと安心です。
  • 服装の指定は一般にありませんが、取引先に会うときと同じ清潔感のある格好を選んでおくと、余計な心配をせずに中身の話に集中できます。

創業融資の面談とは何を確かめる場か

創業融資の面談は、日本政策金融公庫や、信用保証協会を利用する制度融資などで一般的に行われます。申込書と創業計画書を提出したあと、担当者と一対一で話す時間が設けられ、書類に書いた内容を口頭で確認していく流れです。所要時間は状況によりますが、おおむね一時間前後を見込んでおくと落ち着いて臨めます。

この場で見られているのは、話のうまさではありません。書類に書いたことと、本人が話すことがずれていないか。売上の見込みに根拠があるか。お金を返していける道筋が本人の中で描けているか。この三つが軸だと考えてください。

逆に言えば、計画書をコンサルタントや知人に丸ごと任せてしまうと、面談で答えに詰まりやすくなります。人に手伝ってもらう場合でも、数字の出し方や前提は自分で説明できる状態にしておくことが、いちばんの面談対策です。

創業融資の面談でよく聞かれる質問と、答え方の組み立て

質問は大きく五つに分かれます。①事業内容(何を、誰に、いくらで売るのか)、②売上の根拠(その数字はどう計算したのか)、③自己資金(いくらを、どうやって貯めたのか)、④経験(同じ業種の経験や実績はあるか)、⑤返済計画(毎月いくら返せるのか、その原資は何か)です。まずはこの五つに、それぞれ三十秒から一分で答えられる形を作っておきます。

答え方の型は「結論→根拠→具体例」の順が扱いやすいです。たとえば売上の根拠なら、「月商は◯◯を見込んでいます」と先に言い切り、「客単価×想定来客数で計算しました」と計算の仕方を示し、「前職で担当していた店舗の実績と、近隣の同業の混み具合を踏まえた数字です」と裏づけを添えます。数字だけ、感想だけ、のどちらかに寄ると弱く聞こえます。

答えにくいのは、赤字だった時期や、過去の返済の遅れ、経験不足といったマイナス面です。ここは隠さず、事実を短く述べたうえで「そのため今はこう対応しています」と現在形でつなぐのが基本です。取り繕うより、自分で把握できていることが伝わるほうが、話は前に進みます。

計画どおりにいかなかったときにどうするか、という質問もよく出ます。「そのときは頑張ります」ではなく、固定費を抑える余地、当面の生活費の見通し、副業や前職とのつながりなど、具体的な逃げ道を一つか二つ用意しておきましょう。

面談の必要書類・持ち物はどう準備するか

準備は、面談日が決まった時点から逆算します。まず、申込時に提出した書類の控え(創業計画書、借入申込書、資金繰りの見通しなど)を手元にそろえます。担当者は提出物を見ながら質問するので、同じものを見ながら話せる状態にしておくと、答えがずれません。

次に、計画の裏づけになる資料です。一般には、自己資金の入った預金通帳の原本、本人確認書類、住まいや店舗の賃貸借契約書、設備や内装の見積書、許認可が必要な業種であればその申請状況が分かるもの、すでに取引の約束がある場合は契約書や発注の記録などが該当します。何を求められるかは金融機関や制度によって異なるため、案内された書類の一覧は必ず読み返し、不明点は事前に窓口へ確認してください。

会社を設立済みなら、登記事項証明書や定款の写し、税務署へ提出した届出の控えなども一式にしておくと動きやすくなります。個人の税金や公共料金の支払い状況を確認されることもあるので、納付の記録が残るものは探しておきましょう。

当日は、クリアファイルや薄いバインダーに種類ごとに分けて入れ、探す時間をなくします。加えて、筆記用具、印鑑、通帳の記帳を最新にしておくこと、この三つは前日のうちに済ませておくと当日があわてずに済みます。

自己資金と通帳の説明でつまずかないために

自己資金は、面談でとくに丁寧に確認される部分です。見られているのは金額そのものより、「どうやって貯めたか」の履歴です。毎月コツコツ積み立てた記録が通帳に残っていれば、それ自体が計画性の説明になります。

気をつけたいのは、面談の直前にまとまった額を口座へ入金しているケースです。親族からの援助や借入である場合は、その事実を隠さず、贈与か貸付か、返す約束があるのかを整理して説明できるようにしておきます。資金の性質によって税務上の扱いが変わることがあるため、金額が大きい場合は税理士に確認しておくと安心です。

通帳は、数か月分の動きを自分で一度読み返しておきましょう。使途のはっきりしない出金や、カードの引き落としの遅れがあれば、聞かれる前に説明を用意しておく。これだけで、面談の緊張はかなり減ります。

服装と当日の流れ、面談後にすること

服装に明確な決まりは一般にありません。判断に迷ったら、「これから取引先に初めて会う日」と同じ基準で選んでください。スーツでなければならないわけではなく、職種に合った清潔感のある服装であれば十分です。飲食や美容、職人系の業種では、その仕事らしい身なりのほうが伝わることもあります。

当日は、時間に余裕をもって到着し、書類をすぐ出せる状態で席に着きます。質問には、まず結論から答え、聞かれていないことまで長く話さないこと。分からない数字を推測で答えるより、「確認して後日お伝えします」と言うほうが信頼は保てます。面談中に追加の書類を求められたら、その場で内容と期限をメモしておきましょう。

面談が終わったら、聞かれた質問と、うまく答えられなかった点を書き出しておきます。追加資料の提出がある場合は、できるだけ早く、依頼された形式どおりに送ります。結果の連絡までの期間や進め方は制度や金融機関によって異なるので、面談の終わりに目安を確認しておくと、その後の資金繰りの予定が立てやすくなります。

準備が間に合わないとき、どこから手をつけるか

時間がないときの優先順位は、①創業計画書の数字の根拠を言えるようにする、②自己資金の出どころを説明できるようにする、③求められた必要書類をそろえる、の順です。言葉の練習より先に、数字と資料の整合が取れているかを見てください。ここがずれていると、どれだけ話し方を磨いても質問が止まりません。

一人で組み立てるのが難しい場合は、創業融資の相談に慣れた税理士や、認定経営革新等支援機関に相談するという選択肢があります。計画書の書き方、数字の置き方、面談で聞かれやすい点の整理まで一緒に見てもらえることがあります。

融資の可否や条件の判断は金融機関が行うもので、事前に結果を約束できる人はいません。だからこそ、自分の事業を自分の言葉で説明できる状態をつくることが、いちばん確かな準備になります。資金計画や税務上の取り扱いで迷う点があれば、申し込む前の段階で税理士に相談しておくことをおすすめします。

よくある質問

創業融資の面談はどのくらいの時間がかかりますか。

おおむね一時間前後を見込んでおくと余裕をもって臨めますが、事業の内容や確認事項の多さによって前後します。前後の予定は詰め込まず、追加資料の話が出ても対応できる時間を空けておくと安心です。

面談に家族や税理士が同席してもよいですか。

同席の可否は金融機関や制度によって異なるため、事前に窓口へ確認してください。同席が認められる場合でも、事業内容や数字の説明は代表者本人が答えるのが基本と考えておきましょう。

自己資金が少ないと面談で不利になりますか。

金額だけで判断されるわけではなく、どう貯めてきたか、当面の生活費をどう確保するか、といった全体の計画が見られます。少ない場合は、支出を抑える工夫や当初の運転資金の見通しを具体的に説明できるよう準備しておきましょう。

面談で答えられない質問が出たらどうすればよいですか。

推測で答えるより、「確認のうえ後日お伝えします」と伝えるほうが無難です。その場で質問内容と回答期限をメモし、面談後にできるだけ早く、依頼された形式で回答するようにしてください。

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