マイクロ法人はやめとけと言われる理由|後悔しやすいケースと手間
「マイクロ法人 やめとけ」と検索した人の多くは、つくるかどうかで迷っている段階だと思います。マイクロ法人そのものが悪いわけではなく、向かない人がつくると手間と固定的な負担だけが残りやすい、というのが実際のところです。この記事では、やめとけと言われる具体的な理由、後悔しやすい人の条件、それでも進めるならどの順で確認するかを整理します。
この記事の結論
- マイクロ法人が「やめとけ」と言われる主な理由は、事業の規模にかかわらず決算・申告・社会保険の手続きが毎年発生し、その手間と費用が続くためです。
- 売上や利益がまだ小さい、事業の実態を説明しづらい、書類仕事が苦手で外注も避けたい、という条件に当てはまる人は後悔しやすい傾向があります。
- 設立前に、年間でかかる手続きの量と外注費、自分が本当に法人でなければできないことを書き出し、税理士に試算を依頼したうえで判断するのが安全です。
マイクロ法人が「やめとけ」と言われるのはなぜ?
マイクロ法人とは、社長ひとり、あるいは家族だけで運営する小さな会社を指す通称です。法律上「マイクロ法人」という区分があるわけではなく、株式会社や合同会社として設立された、規模の小さい会社のことを言います。制度上は普通の法人なので、規模が小さくても法人としての義務は同じようにかかります。
やめとけと言われる最大の理由がここにあります。売上が年に数百万円でも数億円でも、決算書をつくり、法人税の申告をし、役員の社会保険を扱う、という基本の流れは変わりません。事業が小さいほど、この固定的な手間が相対的に重く感じられます。
もうひとつは「やめるときも手続きが要る」点です。個人事業なら廃業届の提出で区切りがつきますが、法人は解散と清算の手続きを踏むことになり、登記や申告が追加で発生します。つくるより畳むほうが面倒だった、という声はよく聞きます。
後悔しやすいのはどんな人?5つのチェック
まず、次の順に自分を当てはめてみてください。①法人にしたい理由が「税金が安くなるらしいから」だけで、具体的な試算をしていない。②事業の利益がまだ小さく、来年の見通しも立っていない。③領収書の整理や記帳が続かず、確定申告も毎年ぎりぎり。④法人と個人のお金を分けて管理する自信がない。⑤契約や取引の相手が個人でも問題ないと言っている。
このうち3つ以上に当てはまるなら、いまは個人事業のまま様子を見るという選択肢のほうが、負担は軽く済むことが多いです。特に①と②が同時に当てはまる場合、想定していた効果が出ないまま維持コストだけが残ることがあります。
逆に、取引先から法人でないと契約できないと言われている、許認可の関係で法人格が必要、事業を人に引き継ぐ予定がある、といった「法人でなければ進まない事情」がある場合は、手間を織り込んででも設立する意味があります。判断は、節税の期待値ではなく、この事情の有無から始めるのが現実的です。
実際にどんな手間がかかる?年間の流れで見る
設立時にまず発生するのが、定款の作成と認証(株式会社の場合)、出資金の払い込み、法務局への登記申請です。登記が終わったら、税務署・都道府県・市区町村への法人設立の届出、年金事務所への社会保険の加入手続きが続きます。ここまでを自力でやるか、司法書士や税理士に依頼するかで、かかる時間はかなり変わります。
設立後は毎月の記帳と、役員報酬を出すなら源泉所得税の納付、社会保険料の納付が回ってきます。年に一度は決算を組み、事業年度終了から原則2か月以内に法人税などの申告をします。役員報酬は期の途中で自由に増減しにくい扱いがあるため、期首の段階で年間の見通しを立てる必要があります。
加えて、住所や役員、事業年度などを変更したときは登記の変更が必要になる場面があります。株式会社では役員の任期満了にともなう手続きもあり、放っておくと後で困ることがあります。「小さい会社だから簡単」ではない、というのがマイクロ法人の現実です。
赤字でも負担は続く|お金まわりの注意点
法人には、利益が出ていなくても納める必要がある地方税の仕組みがあります。いわゆる法人住民税の均等割と呼ばれるもので、赤字だからゼロになるとは限りません。金額は自治体や会社の規模で異なるため、設立予定地の自治体の公式情報を確認してください。
社会保険についても、役員報酬を出す場合は会社と本人の双方で負担が生じるのが基本です。保険料は報酬の額に応じて決まる仕組みなので、報酬の設定は手取りだけでなく将来の年金や保険給付も含めて考えることになります。ここは人によって最適な形が違うため、社会保険労務士や税理士に具体的な数字で相談したほうが納得しやすい部分です。
記帳や申告を外注する場合は、その費用も毎年かかります。金額は依頼範囲や会社の状況で変わるので、複数の事務所に見積もりを取り、各事務所の公式サイトや面談で最新の条件を確認してください。「自分でやれば費用はかからない」と考えても、その時間は事業に使えない時間である点は見落とされがちです。
個人事業と二本立てにする場合の落とし穴
個人事業を続けながらマイクロ法人を持つ、という形を検討する人もいます。この場合に気をつけたいのが、法人に「実態」があるかどうかです。事業の中身、契約、請求、入出金が法人として説明できる状態になっていないと、後から指摘を受けて想定と違う扱いになることがあります。
実務的には、法人名義の口座を分ける、契約書や請求書を法人名で作る、事業内容を個人と法人で説明できる形に分ける、といった整理が必要です。経費についても、どちらの事業のためのものかを都度判断して記録することになり、帳簿の手間は単純に増えます。
この領域は個別の事情で判断が分かれるところで、一般論で「こうすれば大丈夫」とは言いにくい部分です。二本立てを考えているなら、設立前の段階で税理士に相談し、自分の事業構成で無理がないかを確認しておくことをおすすめします。
それでも設立するなら、この順番で進める
進めると決めたら、まず①法人でなければならない理由を1〜2行で書き出します。次に②今後1年の売上と利益の見込みを、控えめな数字で置きます。③その数字をもとに、税理士に個人のままの場合と法人にした場合の試算を依頼します。ここまでで、判断材料はかなり揃います。
試算に納得できたら、④会社の基本事項(商号、本店所在地、事業目的、事業年度、資本金、役員)を決めます。事業年度は決算期が繁忙期と重ならないように設定しておくと、後の負担が軽くなります。⑤定款を作成し、株式会社なら公証役場で認証を受け、出資金を払い込んだうえで、法務局に登記を申請します。
登記完了後は、⑥税務署・都道府県税事務所・市区町村への届出、⑦年金事務所での社会保険の手続き、⑧法人口座の開設、という順で進めます。法人口座は審査に時間がかかることがあるため、事業内容を説明できる資料を早めに揃えておくと動きやすくなります。
設立の登記まわりは司法書士、税務と役員報酬の設計は税理士、社会保険や将来の人の採用に関わる部分は社会保険労務士が相談先になります。ひとりで抱え込むと判断を誤りやすい領域なので、最初の試算の段階から専門家に相談し、自分の事業に合った形を一緒に決めていってください。
よくある質問
マイクロ法人は本当にやめたほうがいいですか?
一律にやめたほうがよい、とは言えません。取引や許認可の都合で法人格が必要な場合は十分に意味がありますが、節税の期待だけで設立すると、手続きの手間と毎年の固定的な負担が残ることがあります。まずは税理士に個人のままの場合との試算を依頼し、数字を見てから判断してください。
マイクロ法人の手続きはどのくらい面倒ですか?
設立時は定款作成・登記・各種届出・社会保険の手続きが続き、設立後も毎月の記帳と年1回の決算・申告が回ってきます。規模が小さくても大きな会社と同じ流れをたどるため、事業が小さいほど手間の比重は重く感じられます。外注する場合の費用は各事務所の公式情報で確認してください。
赤字でもお金はかかりますか?
法人には利益が出ていなくても地方税の均等割が生じる仕組みがあり、赤字ならゼロになるとは限りません。記帳や申告を依頼していればその費用も毎年かかります。具体的な金額は自治体や依頼先によって異なるため、設立予定地の自治体と依頼予定の事務所で確認してください。
やめたくなったら簡単に畳めますか?
個人事業の廃業より手続きは多く、解散や清算に関する登記と申告が必要になります。時間も費用もかかるため、設立前に「どのくらい続ける事業か」を考えておくことが大切です。畳む段になったら、司法書士と税理士に早めに相談してください。