求人の出し方の基本|媒体の選び方と募集開始までの手順
はじめて人を雇うとき、多くの人が最初につまずくのは「そもそもどこに求人を出せばいいのか」という点です。求人サイト、ハローワーク、SNS、知人の紹介と選択肢はいくつもありますが、選ぶ順番と、出す前に決めておくことさえ分かっていれば、作業自体はそれほど複雑ではありません。この記事では、募集を決めてから実際に求人を公開するまでの流れを、判断の順番に沿って整理します。
この記事の結論
- 求人を出す前に「どんな仕事を・何時間・いくらで・いつから」の4点を先に固めると、媒体選びも原稿づくりも迷わなくなります。
- 費用をかけずに始めるならハローワークや自社サイト・SNS、応募数を早く集めたいなら有料の求人媒体、という順で検討するのが基本です。
- 労働条件の明示は法律で求められているため、募集要項の段階から業務内容・勤務地・時間・賃金・契約期間などを具体的に書いておくことが大切です。
求人を出す前に決めておく4つのこと
求人媒体を探し始める前に、まず「誰に何をしてもらうか」を紙一枚にまとめます。具体的には、①任せる業務の中身、②勤務日数・時間帯、③支払う賃金の形(月給か時給か、想定レンジ)、④いつから来てほしいか、の4点です。ここが曖昧なまま媒体に登録すると、入力画面で手が止まり、結局あとから書き直すことになります。
特に決めきれないことが多いのが①の業務範囲です。「なんでもやってくれる人」は探しても見つかりにくいので、今いちばん時間を取られている作業を3つ書き出し、そのうち他人に渡せるものを求人の中心に据えると、募集内容が具体的になります。
雇用形態も先に決めます。正社員、契約社員、アルバイト・パート、業務委託では、社会保険や労働時間の扱いが変わりますし、そもそも出す媒体も変わってきます。業務委託として外部に頼むつもりでも、実態として指揮命令をして働いてもらう場合は雇用と扱われることがあるため、迷うときは社会保険労務士に確認しておくと安心です。
求人媒体はどう選ぶ? 判断の順番
媒体選びは、次の順で考えると整理しやすくなります。第一に「採用にかけられる予算があるか」。第二に「いつまでに人が必要か」。第三に「探している人がどこにいるか」です。予算をかけずに時間をかけられるなら無料の手段から、急いでいて予算があるなら有料媒体から検討します。
無料で始められる代表的な手段は、ハローワーク(公共職業安定所)への求人申込み、自社サイトの採用ページ、SNSでの告知、知人・取引先からの紹介です。ハローワークは事業所の所在地を管轄する窓口で手続きでき、オンラインでの求人申込みにも対応しています。地域で働きたい人が日常的に利用しているため、事務職や現場職の募集では有力な選択肢になります。
有料の求人サイトやアルバイト情報サイト、人材紹介は、応募を短期間で集めたいときや、専門職を探すときに向きます。掲載型と成功報酬型があり、費用の考え方が異なりますので、各社の公式サイトで最新の料金や掲載条件を確認してください。はじめての採用なら、まずハローワークと自社サイトで出しつつ、反応を見て有料媒体を足す、という二段構えが取り組みやすい進め方です。
募集要項には何を書くか
求人票の中身は、労働条件の明示が出発点です。業務内容、就業場所、就業時間・休憩・休日、賃金とその計算方法・支払日、契約期間の有無、加入する保険、試用期間の有無などを書きます。募集段階で明示すべき事項は法令で定められており、近年は就業場所・業務の変更範囲についても示すこととされています。最新の項目は厚生労働省の資料で確認してください。
そのうえで、応募者が知りたいのは「実際に何をする一日なのか」です。「一般事務」とだけ書くより、「請求書の作成と発送、電話・メール対応、来客対応、月末は経理補助」と書いたほうが、自分にできるかどうかを判断できます。仕事の量感や、一緒に働く人数、繁忙期の有無も書けると親切です。
給与についても、幅を示すだけでなく、どんな経験があると上のほうになるのかを一言添えると、応募のハードルが下がります。こうした具体性は、後述する「応募が来ない」を避けるための重要なポイントの一つです。
アルバイト・パートの求人を出すときの注意点
アルバイト・パートの募集では、応募者はシフトと時給、通いやすさを重視して比較します。そのため、「週2日から可」「17時までで上がれます」「土日どちらか入れる方歓迎」のように、働き方の条件を見出しに近い位置に書くと反応が変わります。曜日・時間帯が固定なのか、相談できるのかも明記しておきます。
短時間勤務でも、一定の条件を満たせば雇用保険や社会保険の対象になることがあります。加入の基準は労働時間や見込み期間などで判断され、制度改正もあるため、日本年金機構やハローワークの資料を確認するか、社会保険労務士に相談しておくと安心です。求人票に「社会保険完備」と書く場合は、自社の実態と合っているかを確かめてから記載します。
高校生や学生を募集する場合、深夜の時間帯の扱いなど年齢による制限があります。年齢や性別を理由にした募集条件の限定は原則として認められていませんので、「◯歳以下」「女性限定」といった書き方は避け、例外にあたるかどうか迷う場合は所管窓口に確認してください。
個人事業主や設立直後の会社が求人を出す場合
個人事業主でも、従業員を雇って求人を出すことはできます。ハローワークに求人を申し込む際は、事業の実態が分かる情報の提出を求められることがあるため、開業届の控えや事業内容の説明を手元に用意しておくとスムーズです。人を雇い入れたら、労働保険の成立手続きなど、雇う側としての届出が必要になります。
設立して間もない会社の場合、応募者からは「会社の中身が見えない」ことが不安材料になります。自社サイトやSNSに、事業内容、代表者の経歴、どんな仕事を一緒にしたいのかを書いたページを用意しておくと、求人票からそこへ誘導できます。写真が一枚あるだけでも印象は変わります。
なお、はじめて人を雇うときは、雇用契約書(労働条件通知書)、就業に関するルール、給与計算と源泉徴収の準備がセットで必要になります。求人を出すタイミングで、給与計算をどう回すか(自社で行うか、税理士や社労士に依頼するか)も決めておくと、内定後に慌てずに済みます。
応募が来ないときに見直す順番
公開してしばらく応募がない場合は、①募集条件、②原稿の書き方、③媒体、の順に見直します。多くは①か②に原因があり、媒体を変えても条件が同じなら結果が変わりにくいためです。まず、同じ地域・同じ職種の他社の求人を10件ほど見て、勤務時間や賃金の書き方を比べてみてください。
次に原稿です。タイトルに具体的な条件(職種+勤務地+働き方)が入っているか、未経験可なら何をどこまで教えるのかが書かれているか、応募後の流れ(面接は何回か、いつ連絡が来るか)が分かるかを確認します。応募フォームの入力項目が多すぎて離脱している、というケースもあります。
それでも動かないときに、有料媒体の追加や掲載内容の変更を検討します。並行して、応募があったときの返信を早くすることも大切です。連絡が数日空くと、他社に決まってしまうことがあります。返信テンプレートと面接日程の候補を先に用意しておくと、対応が速くなります。
募集開始までの手順まとめ
流れとしては、(1)任せる業務・時間・賃金・開始時期を決める、(2)雇用形態を決める、(3)媒体を選ぶ、(4)募集要項を作る、(5)公開して応募対応の準備をする、という順です。ハローワークを使う場合は、事業所の所在地を管轄する窓口かオンラインサービスで求人申込みを行います。
採用が決まったら、労働条件通知書の交付、雇用保険・社会保険の手続き、給与計算の開始と続きます。求人を出す段階でこの先の作業まで見通しておくと、入社日に間に合わせやすくなります。
労働条件の明示事項や保険加入の判断は、事業の実態によって扱いが変わることがあります。自社のケースでどう整理すべきか迷ったときは、社会保険労務士に、給与計算や源泉徴収の扱いについては税理士に相談してみてください。最初の一人を採用するタイミングで相談しておくと、その後の採用がぐっと楽になります。
よくある質問
求人を無料で出す方法はありますか?
ハローワークへの求人申込み、自社サイトの採用ページ、SNSでの告知、知人や取引先からの紹介などが、費用をかけずに始められる方法です。掲載型の求人サイトにも無料で始められる枠を設けている場合がありますので、条件は各社の公式サイトで確認してください。
個人事業主でも求人は出せますか?
個人事業主でも従業員を雇って求人を出すことができます。ハローワークに申し込む際は事業内容が分かる資料を求められることがあるため、開業届の控えなどを用意しておくとスムーズです。雇い入れ後は労働保険の手続きなどが必要になります。
アルバイトの求人で書いておくとよいことは何ですか?
シフトの入り方(週何日から可か、曜日固定か相談可か)、勤務時間帯、勤務地への通いやすさ、仕事の具体的な中身を書くと、応募者が比較しやすくなります。社会保険の記載をする場合は、自社の加入状況と合っているかを確認してから書いてください。
求人を出してから採用までどのくらいかかりますか?
職種や地域、時期によって大きく変わるため一概には言えませんが、募集開始から面接、内定、入社まで数週間から数か月かかることもあります。入社してほしい時期から逆算し、余裕を持って募集を始めるとよいでしょう。