決済代行の審査|見られる項目と通すための準備、「審査が不要」とうたうサービスの注意点

・法人カード・決済・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

オンラインでカード決済を導入しようとすると、必ず通るのが「加盟店審査」です。申し込んでから何をどう見られるのか分からないまま待つのは落ち着かないもので、事業内容によっては時間がかかったり、追加資料を求められたりもします。この記事では、決済代行の審査で見られる項目、申込前に整えておくとよい書類とサイト表記、そして「短時間で導入できる」とうたうサービスを検討するときの確認点を、順番に沿って整理します。

この記事の結論

  • 決済代行の加盟店審査では、会社の実在性(登記・代表者情報)、取り扱う商材やサービスの内容、販売サイトの表記、入金先口座の3点が中心に確認されます。
  • 決済代行会社を経由する「包括加盟店契約」では、カード会社と1社ずつ契約する方式に比べて手続きがまとまりますが、審査そのものがなくなるわけではありません。
  • 申込前に、登記事項証明書・本人確認書類・法人口座情報・特定商取引法に基づく表記を整えたサイトを用意しておくと、やり取りの往復が減り、導入までの期間が短くなりやすいです。

決済代行の審査とは何を審査しているのか

決済代行の申し込みをすると、決済代行会社自身のチェックと、その先のカード会社(アクワイアラ)側のチェックの、二段構えで確認が進むのが一般的です。申込画面では1回の手続きに見えても、裏側では複数の関係者が資料を見ていると考えておくと、時間がかかる理由が腑に落ちます。

審査の目的は、ざっくり言えば「この事業者に、消費者のカード情報を扱う決済を任せてよいか」の確認です。商品が届かない、解約できない、請求内容が不明瞭といったトラブルが起きるとチャージバック(利用者からの支払い取消し請求)につながり、そのリスクを決済代行会社とカード会社が負うことになるため、事前の確認が慎重になります。

ですから、審査は「信用を疑われている」というより、「トラブルが起きにくい売り方になっているかの点検」と捉えたほうが準備しやすくなります。指摘が来たら、疑われたと落ち込むより、表記や説明を直すチャンスだと考えてください。

審査で見られる主な項目は4つ

1つめは、事業者の実在性です。法人であれば登記事項証明書に記載された商号・所在地・代表者名、個人事業であれば本人確認書類と開業の実態が確認されます。申込フォームに入力した情報と書類の記載がわずかでも食い違うと差し戻しになりやすいので、旧住所や旧商号のままになっていないか見直しておきましょう。

2つめは、取り扱う商材・サービスの内容です。何を、いくらで、どう提供するのかが具体的に説明できるかが問われます。健康食品、情報商材、継続課金のサブスク、高額サービス、前払いで納品が先になるもの、無形サービスなどは、確認が丁寧になったり追加資料を求められたりする傾向があります。

3つめは、販売サイトやサービスサイトの表記です。特定商取引法に基づく表記、利用規約、プライバシーポリシー、問い合わせ先、返品・キャンセル・解約の条件、提供までの期間などが揃っているかを見られます。4つめは入金先の口座で、原則として事業者名義(法人なら法人名義)の口座が求められることが多いです。

包括加盟店契約とは?決済代行を使うと手続きはどう変わるか

カード決済を導入する方法は大きく2つあります。ひとつは、カード会社やアクワイアラと自社が直接契約する「個別加盟店契約」。もうひとつが、決済代行会社が加盟店となり、その下に自社がぶら下がる形の「包括加盟店契約(包括契約)」です。小さな会社や立ち上げ期の事業では、後者が使われる場面が多くなります。

包括加盟店契約のメリットは、複数ブランドや複数の決済手段をまとめて申し込め、契約や入金の窓口が一本化されることです。VisaやMastercard、JCBなどを個別に申し込んで別々にやり取りする手間が減り、管理画面もひとつにまとまります。一方で、入金サイクルや条件は決済代行会社のルールに沿うことになります。

ここで誤解されやすいのが、「包括契約だから審査は形だけ」という理解です。包括契約でも、決済代行会社は自社の加盟店として責任を負うため、商材やサイトの確認は行われます。ブランドによっては、代行会社の確認に加えてカード会社側の確認が別途入ることもあります。手続きが一本化されることと、確認が省かれることは別だと考えておいてください。

申込前に用意しておくもの(この順で整える)

まず書類です。法人なら登記事項証明書(発行から日が浅いもの)、代表者の本人確認書類、法人名義の口座情報が基本セットになります。個人事業なら本人確認書類と、開業届の控えなど事業実態が分かるものを求められることがあります。必要書類は決済代行会社ごとに異なるため、申込前に各社の公式サイトで確認しておくと二度手間になりません。

次にサイトです。申込時点で「準備中」のページが多いと確認が進みにくいため、少なくとも、商品・サービスの内容と価格、支払方法、提供時期、返品や解約の条件、事業者情報と問い合わせ先が実際に読める状態にしておきます。会員制やサブスクの場合は、いつ課金され、どう解約できるかを利用者が自力で理解できる書き方になっているかを見直してください。

最後に説明です。フォームの事業内容欄は一行で済ませず、誰に何を提供し、代金はいつ受け取り、いつ納品するのかを書き添えます。複数事業をやっている場合は、今回決済を使う事業がどれかを明示しましょう。ここを丁寧に書くほど、追加質問の往復が減ります。

「最短即日」「審査が簡単」とうたうサービスの見方

導入までの早さを打ち出すサービスもありますが、早いことと確認が省かれることは同じではありません。多くの場合、オンラインで完結する申込フローや、決済代行会社側の一次確認で先に利用開始できる運用によって短縮されており、その後にブランド側の確認が入る形もあります。まずは「どの段階まで即日で、どこから通常の確認になるのか」を問い合わせて確かめるのが確実です。

確認を省くかのような表現を掲げるサービスに出会ったら、いったん立ち止まってください。事業者情報(運営会社名・所在地・登記の有無)、資金の流れと入金サイクル、利用規約に書かれた解約条件、トラブル時の窓口が公開されているかを順に見ます。ここが曖昧なまま売上金を預ける形になると、入金遅延や突然の利用停止といった事態が起きても打つ手が限られます。

また、「通りやすい」という理由だけで業態に合わない契約形態を選ぶと、後で本命の決済手段を追加したいときに、結局あらためて確認を受けることになります。急ぐ気持ちがあっても、まずは自社の商材を正面から説明して申し込み、並行して銀行振込やコンビニ払いなど別の受け取り手段を用意しておくほうが、事業としては落ち着いて進められます。

審査が通らなかったときの立て直し方

結果が芳しくなかった場合、理由の詳細は開示されないことが一般的です。落胆する前に、まずは自分の側で点検できる箇所から潰していきます。順番としては、(1)申込内容と書類の不一致、(2)サイトの表記漏れ(特商法表記・解約条件・問い合わせ先)、(3)事業内容の説明不足、(4)口座名義の不一致、の順で見直すと、原因にあたりやすくなります。

次に、商材の説明の仕方を変えられないか考えます。たとえば前払いで長期の役務を提供する形なら、提供スケジュールを明示する、途中解約時の取り扱いを規約に書く、分割で提供・請求する設計に変えるなど、トラブルが起きにくい売り方に寄せることで見え方が変わることがあります。

そのうえで、別の決済代行会社にも申し込んでみる価値はあります。取り扱える商材の範囲や判断基準は各社で違うためです。同時に、銀行振込・請求書払い・コンビニ払いといった代替手段を用意しておくと、カード決済が整うまで売上を止めずに済みます。契約書の条項や返金ルールの書き方に不安があるときは、弁護士に相談して確認しておくと安心です。

導入後も続く確認と、社内で決めておくこと

審査は導入時で終わりではありません。運用開始後も、チャージバックの発生状況、売上の急増、取扱商材の変更などがモニタリングされ、状況によっては説明を求められたり、取り扱いが見直されたりすることがあります。扱う商品を増やすときや、単発販売からサブスクに切り替えるときは、事前に決済代行会社へ相談しておくとトラブルを避けやすくなります。

社内では、返金・キャンセルの対応ルール、問い合わせの一次対応者、チャージバックが来たときに提出する資料(注文履歴、配送記録、やり取りの記録)の保管方法を、最初に決めておきましょう。ひとり社長でも、紙一枚のルールがあるだけで対応の速さが変わります。

なお、決済手数料の会計処理や売上の計上時期、電子データで受け取った明細の保存方法については、電子帳簿保存法やインボイス制度との関係で扱いが分かれる場面があります。要件の詳細は国税庁など所管官庁の資料で確認しつつ、自社の処理が適切かどうかは顧問の税理士にご確認ください。契約内容や規約の作り込みで迷う場合は弁護士、登記事項の変更が絡む場合は司法書士に相談すると、手戻りが少なくて済みます。

よくある質問

決済代行の審査はどれくらいの期間がかかりますか。

商材やブランド、提出書類の揃い具合によって幅があり、数営業日で進むこともあれば、追加確認で数週間かかることもあります。所要期間の目安は各社の公式サイトや問い合わせ窓口で確認し、書類とサイトを先に整えてから申し込むと往復が減ります。

確認を省いて使えるサービスはありますか。

カード決済を扱う以上、何らかの形で加盟店の確認は行われるのが一般的です。確認が不要であるかのような表現を見かけたら、運営会社の情報、入金サイクル、利用規約、トラブル時の窓口が公開されているかを順に確かめ、不明点が残る場合は利用を急がないことをおすすめします。

個人事業主でも決済代行と契約できますか。

個人事業主を対象としている決済代行会社もあります。本人確認書類や開業の実態が分かる書類、屋号または本人名義の口座が求められることが多く、法人よりも事業内容の説明を丁寧に求められる場合があります。対応可否は各社の公式サイトでご確認ください。

包括加盟店契約と個別加盟店契約は、どちらを選べばよいですか。

複数の決済手段をまとめて早めに使い始めたい、事務の窓口を一本化したいという小規模事業なら、包括契約から検討するのが現実的です。取扱高が大きく、入金サイクルや条件を細かく交渉したい段階になったら、個別契約との比較を検討するとよいでしょう。

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