法人口座開設の面談と事業計画書|聞かれることと準備の仕方

・法人口座・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

法人口座の開設は、書類を出せば自動的に通る手続きではありません。銀行は「この会社が実在し、届け出たとおりの事業をしているか」を確認していて、その確認の場が面談であり、材料が事業計画書や会社のホームページです。ここでは、面談で聞かれやすいこと、事業計画書に書いておきたい項目、申込前に整えておくとやりとりが短くなる準備を、実際の進め方の順に整理します。

この記事の結論

  • 法人口座開設の面談で中心になるのは、事業内容・主な取引先・想定する入出金の流れ・事務所や代表者の実態という4点で、ここを自分の言葉で説明できることが準備の中心です。
  • 事業計画書は融資審査のような精緻な数字よりも、「誰から何の対価としてお金を受け取り、誰に何を払うのか」というお金の流れが読み取れることが重視されます。
  • ホームページや会社案内、契約書・見積書の控えなど、事業の実在を裏づける資料を申込前にそろえておくと、確認のやりとりが短く済みやすくなります。

法人口座の開設でなぜ面談や事業計画書を求められるのか

銀行は口座を開くとき、その法人が実在し、登記された事業内容どおりに活動しているかを確認します。これは、口座が犯罪収益の移転やマネー・ローンダリングに使われることを防ぐための確認で、金融機関に求められている手続きの一環です。設立直後の会社は取引実績がないため、書類だけでは実態が読み取れず、面談や事業計画書で補う形になります。

面談といっても、すべての銀行・すべての会社で行われるわけではありません。店舗を持つ銀行では支店での対面、ネット銀行ではオンラインでの動画面談や画面越しの質問形式など、形式は各社で異なります。GMOあおぞらネット銀行のようにオンライン完結型の確認プロセスを案内している銀行もありますが、実施の有無や方式は変更されることがあるため、申込前に各行の公式サイトで最新の手順を確認してください。

大事なのは、面談が「試験」ではなく「確認」だということです。うまく話すことよりも、事業の中身とお金の流れを一貫して説明できるかどうかが見られていると考えると、準備の方向が定まります。

面談で聞かれることは、だいたいこの4つに整理できる

1つ目は事業内容です。「何を売って、誰から、いくら受け取るのか」を、業種名ではなく具体的な仕事の中身で説明できるようにします。たとえば「コンサルティング業」では足りず、「中小企業の採用サイト制作を受託し、制作費と月額の運用費を受け取る」といった粒度まで落とすと伝わりやすくなります。

2つ目は取引先です。すでに決まっている取引先があるなら社名と取引の内容、これからなら見込み先や集客の方法を答えられるようにします。3つ目は入出金の見込みで、月にどのくらいの売上が、何件くらい、どんな手段(振込・カード決済・現金)で入ってくるか、支払いは何にいくら出ていくかという流れです。海外との送金が想定される場合は、相手国や取引内容を詳しく聞かれることがあります。

4つ目は会社と代表者の実態です。事務所の場所と使い方(賃貸か自宅か、レンタルオフィスか)、従業員の有無、代表者の経歴や前職、他に経営している会社があるかどうかなど。バーチャルオフィスや自宅を本店にしている場合は、そこで実際にどう業務をしているのかを説明できると、話が早く進みます。

事業計画書は何を書けばいい?盛り込む項目と書く順番

口座開設で求められる事業計画書は、融資審査で使うような精密な収支計画である必要はありません。A4で1〜2枚程度にまとめ、①会社の概要(設立日・代表者・所在地・従業員)、②何をする事業か、③誰が顧客か、④どうやって受注・集客するか、⑤お金の流れ(売上の入り方と経費の出方)、⑥今後半年〜1年の見通し、の順に書くと読み手が追いやすくなります。

数字は、正確さよりも根拠のほうが見られます。「月商の見込みは、単価いくらの案件を月に何件」という形で、単価×件数の組み立てが書いてあれば、多少ぶれても説明がつきます。逆に、根拠のない大きな数字だけが並んでいると、追加の質問が増えがちです。

登記した事業目的と、計画書に書いた事業内容がずれていないかも確認しておきましょう。定款の目的に入っていない事業をメインに説明すると、整合性について質問されることがあります。すでに受注済みの案件があるなら、契約書や発注書、見積書の控えを添えると、計画書の裏づけになります。

申込前にそろえておく書類と、ホームページの整え方

一般的に案内されることが多いのは、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、定款の写し、代表者の本人確認書類、会社の印鑑証明書、事業の実態が分かる資料(契約書・請求書・パンフレット等)といったあたりです。必要書類は銀行ごとに違い、追加で求められることもあるため、申込フォームに入る前に各行の案内ページで一覧を確認し、取得に時間がかかる証明書から先に手配します。

ホームページは必須と決まっているわけではありませんが、事業の実在を示す材料として確認されることがあります。用意するなら、会社名・所在地・代表者名・事業内容・連絡先・提供しているサービスの説明を、少なくとも載せておきたいところです。テンプレートのままで事業内容が空欄だったり、連絡先がフリーメールだけだったりすると、実態が読み取りにくくなります。

独自ドメインのメールアドレス、固定の電話番号、名刺や会社案内なども、地味ですが効きます。ホームページがまだない場合は、会社案内のPDFやサービス紹介資料を代わりに用意しておくと、面談で「これを見てください」と示せます。

オンライン面談・AI面談の流れと、当日つまずかないための準備

オンラインで行う場合、カメラ付きの端末で本人確認書類を映しながら質問に答える、あるいは画面の案内に沿って録画で回答する、といった形式があります。GMOあおぞらネット銀行をはじめ、ネット銀行はオンライン完結を前提にした手順を案内していることが多いので、申込前に手順・所要時間・必要なものを公式サイトで確認しておきましょう。

当日は、通信が安定した静かな場所を選び、本人確認書類、登記事項証明書、事業計画書、取引先が分かる資料を手元に並べておきます。顔と書類がはっきり映る明るさか、事前に自分で映して確かめておくと安心です。代表者本人が対応するのが原則で、代理での応答は認められないことが一般的です。

答え方のコツは、質問された範囲に具体的に答えることです。「いろいろやっています」「これから考えます」といった曖昧な返答が続くと、確認のための追加質問が増えます。分からないことを取りつくろう必要はなく、「現在は受注前で、◯月から開始予定です」のように、現状をそのまま言うほうが整合性が取れます。

審査に時間がかかる・断られたときの次の一手

まず、口座開設の可否や理由は銀行が個別に判断するもので、理由が開示されないこともあります。断られたからといって会社に問題があると決まるわけではありません。複数の銀行に順に申し込むこと自体は一般的で、メガバンク・地方銀行・信用金庫・ネット銀行では見ている観点や手続きの形が異なります。

次に申し込むときは、前回つまずいた点を補うところから始めます。事業内容の説明が曖昧だったならホームページと会社案内を整える、取引実績がなかったなら最初の契約書や請求書がそろってから再度申し込む、所在地の実態が伝わりにくかったなら賃貸借契約書や事務所の写真を用意する、といった順です。

地域に事業所があるなら、地元の信用金庫・地方銀行に窓口で相談する選択肢もあります。担当者と直接話せる分、事業の中身を説明しやすい場面があります。設立手続きや定款の書き方まで含めて相談したい場合は司法書士、事業計画の数字の組み立てで迷う場合は税理士に見てもらうと、書類の整合性を整えやすくなります。

よくある質問

法人口座の開設で、事業計画書は必ず必要ですか。

銀行や申込方法によって扱いが異なり、求められないこともあります。ただし設立直後で取引実績がない場合は、事業の実態を説明する材料として提出を求められることがあるため、A4で1〜2枚のものを用意しておくと、どの銀行に申し込む場合でも使い回せます。

ホームページがないと法人口座は開設できませんか。

ホームページがないと開設できないと決まっているわけではありません。ただし事業の実在を確認しやすくする材料になるため、ない場合は会社案内やサービス紹介資料、契約書・請求書の控えなど、代わりになるものをそろえておくとやりとりが進みやすくなります。

面談ではどのくらいの時間がかかりますか。

形式や銀行によって幅があり、対面かオンラインかでも変わります。必要書類や所要時間の目安は各行の公式サイトに案内があることが多いので、申込前に確認し、当日は書類を手元に並べて代表者本人が対応できる時間帯を確保しておきましょう。

一度断られた銀行に、もう一度申し込めますか。

再申込の可否や条件は銀行ごとに異なるため、各行の案内を確認してください。一般には、取引実績ができた、ホームページや事務所の体制が整ったなど、前回より説明できる材料が増えてから改めて申し込むほうが、事業の実態を伝えやすくなります。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。