コーポレートカードとビジネスカードの違い|規模別の使い分け

・法人カード・決済・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

法人向けのクレジットカードを調べると、「コーポレートカード」と「ビジネスカード」という2つの呼び方が出てきて、どちらが自社向けなのか迷う方は多いと思います。実はこの2つ、法律で決まった区分ではなく、カード会社が対象とする会社の規模や運用の仕方で呼び分けているのが実態です。この記事では、両者の違いをどこで見分けるか、そして「ひとり社長」「数人〜十数人」「数十人以上」という規模別に、どちらを軸に検討すればよいかを、判断の順番に沿って整理します。

この記事の結論

  • コーポレートカードとビジネスカードは法律上の区分ではなく、一般にコーポレートカードは中規模以上の企業向け、ビジネスカードは個人事業主や中小企業・ひとり社長向けの商品として扱われることが多い呼び分けです。
  • 選ぶときは「①追加カードを何枚出すか ②支払いを法人口座一本にするか個人払いを混ぜるか ③審査で会社の実績と代表者の信用のどちらが見られやすいか」の順に検討すると絞り込めます。
  • 設立まもない会社やひとり社長は、代表者個人の信用も参考にされやすいビジネスカード系から検討し、従業員が増えて経費精算の負担が重くなった段階でコーポレートカードへの切り替えを考えるのが現実的です。

コーポレートカードとビジネスカードの違いは、どこで決まるのか

まず前提として、「コーポレートカード」「ビジネスカード」「法人カード」という言葉に、法律や公的な定義があるわけではありません。カード会社がそれぞれの商品をどう位置づけているかによる呼び分けで、同じような機能でも会社によって名称が違うことがあります。ですから「名前で決める」のではなく、中身の条件を並べて比べるのが出発点になります。

一般的な整理としては、コーポレートカードは従業員数が一定以上の企業を想定し、社員に多数の追加カードを配って使う運用を前提にした商品として案内されることが多いです。一方のビジネスカードは、個人事業主・フリーランス・設立まもない会社・ひとり社長を含む小規模事業者を想定し、代表者と少人数の役員・社員が使う前提で設計されていることが多くなります。

「法人カード」は、この両方をまとめた総称として使われるのが普通です。つまり「ビジネスカードと法人カードの違い」を探している場合、対立する2つではなく、法人カードという大きな箱の中にビジネスカードとコーポレートカードがある、と考えると混乱しません。

個人の一般カードと何が違うのか|ビジネスカードを持つ意味

個人名義の一般カードと事業用カードの最大の違いは、事業の支出だけを1本の明細に集められることです。プライベートの買い物が混ざった明細から経費だけを拾う作業は、月を重ねるほど負担になります。事業用カードを1枚分けておくと、明細がそのまま経費の一覧に近づき、帳簿づけの手戻りが減ります。

もう一つは、名義と引落口座です。法人名義・法人口座からの引き落としにしておくと、会社のお金と個人のお金の線引きがはっきりします。代表者が個人カードで立て替え、あとから会社に精算する形でも記帳はできますが、立替金のやり取りが増えるほど処理が煩雑になり、決算時の確認にも手間がかかります。

さらに、追加カードを社員に渡せること、利用限度額が事業の支出規模を前提に設定されうること、付帯サービスが出張や事務用品など事業寄りであることも、一般カードとの違いとしてよく挙げられます。ただし付帯内容や限度額の考え方は商品ごとに大きく異なるため、各社の公式サイトで最新の条件を確認してください。

自社はどちらを選ぶべきか|判断する3つの順番

迷ったら、次の順に見てください。第一に、追加カードを何枚出す必要があるか。代表者1枚、多くても数枚で足りるならビジネスカード系で十分検討できます。部署ごと・担当者ごとに配りたい、出張が多い社員が一定数いる、という段階ならコーポレートカード系の運用が視野に入ります。

第二に、支払い方式です。利用分をすべて法人口座からまとめて引き落とす一括決済型か、カードごとに利用者個人の口座から引き落とす個別決済型か。社員に渡す枚数が増えるほど、どちらの方式が経理の手間と管理のしやすさに合うかが効いてきます。この点は商品によって選べる場合と固定の場合があるので、申し込み前に必ず確認しておきたいところです。

第三に、審査で何が見られやすいか。設立して間もない会社や決算を一度も迎えていない会社の場合、会社としての実績だけでは判断材料が少なく、代表者個人の信用情報も参考にされることがあります。小規模事業者向けのビジネスカードは、こうしたケースも想定した案内をしている商品が比較的多い傾向です。審査基準は各社が公開していない部分もあるため、申込条件は公式サイトで確認してください。

規模別の使い分け|ひとり社長・数人〜十数人・数十人以上

ひとり社長・役員のみの会社であれば、まずはビジネスカードを1枚、法人名義・法人口座引き落としで持つところから始めるのが現実的です。この段階で大切なのは枚数や付帯サービスより、会計ソフトと連携できるか、明細をCSVなどで取り出せるかという点です。月次の入力作業が自動化できるかどうかで、その後の負担が変わります。

従業員が数人〜十数人になり、立替精算の件数が増えてきたら、追加カードを何枚まで発行できるか、カードごとに利用限度を分けられるかを確認します。営業担当や出張の多いメンバーにだけ追加カードを渡し、少額の備品購入は引き続き立替精算にする、といった線引きでも十分に効果があります。全員に配ることが目的ではありません。

数十人以上になり、部門別に予算を管理したい、承認フローを仕組みとして持ちたい、という段階になると、コーポレートカードとして案内されている商品や、利用状況を管理画面で一覧できるサービスが検討対象になります。ここでは「誰が何に使ったかを、締め日までに経理が把握できるか」が判断軸です。規模が大きくなるほど、カードの特典より管理機能の使い勝手が効いてきます。

申し込み前に決めておくこと|手順と準備

申し込みは、事業用の口座が動き始めたタイミングが目安です。設立直後に申し込む場合は、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)や代表者の本人確認書類など、会社と代表者を確認できる書類の提出を求められるのが一般的です。決算を迎えている会社では決算書類を求められることもあります。必要書類は商品ごとに異なるため、申込ページの案内に従ってください。

書類をそろえる前に、社内で3つだけ決めておくと後の運用が楽になります。①カードを持つのは誰か(代表者のみか、追加カードを出すか)②何に使ってよいか(交通費、広告費、サブスクリプションなど、使ってよい費目の範囲)③利用明細と領収書を誰がいつ集めるか。この3つが曖昧なまま配ると、月末に経理が追いかける状態になります。

運用が始まったら、カード明細と会計ソフトの連携を最初の1か月で整えます。あわせて、領収書やレシートの保存方法も決めておきましょう。電子で受け取った請求書や領収書の扱いには電子帳簿保存法に関するルールがあり、保存の方法によって求められる対応が変わります。詳細は国税庁など所管官庁の資料を確認し、判断に迷う場合は税理士にご相談ください。

よくあるつまずきと、専門家に相談したい場面

よくあるのは、法人名義のカードなのに代表者が私的な支出に使ってしまうケースです。あとから精算すれば処理はできますが、会社と代表者の間の貸し借りとして扱われることがあり、決算や税務の場面で説明を求められる可能性もあります。使ってよい範囲を最初に決め、私的利用は別のカードに分けるのが無難です。

もう一つは、追加カードを配ったあとに「誰の分が未回収か分からない」という状態です。締め日と領収書の提出期限をセットで決め、提出されない場合の扱い(次月の利用を止める、立替扱いに戻す等)まで決めておくと、運用が続きます。ルールは短い文章で社内に共有し、入社時に渡すのが現実的です。

カードの利用に伴う経費の区分、代表者への貸付と見なされうる支出の扱い、電子データの保存方法などは、会社の状況によって判断が分かれます。判断に迷う場面が出てきたら、自己判断で進めず、顧問税理士に確認してください。まだ顧問がいない場合は、設立からの経理体制づくりも含めて、早い段階で税理士に相談しておくと、後からの修正が少なくて済みます。

よくある質問

コーポレートカードとビジネスカードは、どちらが上位のカードですか

上位・下位という関係ではなく、想定している会社の規模と運用方法が違うという整理が一般的です。多数の社員にカードを配り、部門ごとに管理したい企業はコーポレートカードとして案内される商品が合いやすく、代表者と少人数で使うならビジネスカードで足りることが多くなります。名称ではなく、追加カードの枚数と支払い方式で比べてください。

設立したばかりの会社でもビジネスカードは作れますか

決算を迎えていない会社でも申し込みを受け付けている商品はありますが、審査の可否は各社の基準によります。会社の実績が少ない段階では、代表者個人の信用情報も参考にされることがあります。申込条件や必要書類は商品ごとに違うため、各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。

ひとり社長でも事業用カードは必要ですか

法律上の義務ではありませんが、事業の支出を1本の明細にまとめられるため、記帳や決算の手間を減らす目的で持つ意味は大きいと考えられます。個人カードで立て替えても処理はできますが、精算のやり取りが増えるほど管理が煩雑になります。まずは1枚を法人名義・法人口座引き落としで用意するところから始めるとよいでしょう。

ビジネスカードの年会費や手数料は経費にできますか

事業のために使っているカードの費用は経費として処理されることが一般的ですが、私的利用が混ざっている場合など、状況によって扱いが変わることがあります。金額や条件は各社の公式サイトで確認し、処理の仕方に迷う場合は税理士にご確認ください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。