合同会社とは|メリット・デメリットと「やめとけ」と言われる理由

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

会社をつくろうと調べはじめると、必ず出てくるのが「合同会社」という選択肢です。そして同じくらいの頻度で「合同会社はやめとけ」という言葉も目に入ってきます。この記事では、合同会社という形態の仕組みをできるだけかみくだいて説明したうえで、メリットとデメリット、どういう会社なら合同会社が向いていて、どういう場合は株式会社を選んだほうがよいのかを、判断の順番として整理します。

この記事の結論

  • 合同会社とは、出資した人(社員)が会社の経営も行う会社形態で、株式会社と同じく出資額の範囲で責任を負う「有限責任」の法人です。
  • 合同会社は設立時の手続きが株式会社より少なく、決算公告の義務がなく役員の任期も定められていない一方、対外的な知名度や株式による資金調達の面では株式会社に劣ります。
  • 「やめとけ」と言われる主な理由は認知度と資金調達・採用面の不利であり、取引先が法人であること自体を重視する事業や、当面は外部資本を入れない小規模事業なら合同会社が選択肢になります。

合同会社とは?できるだけわかりやすく説明します

合同会社とは、会社法で定められた会社形態のひとつで、出資した人が原則としてそのまま経営にも関わる会社です。出資者のことを「社員」と呼びますが、これは従業員という意味ではなく、会社のオーナー兼経営者のような立場を指します。代表を決めた場合は「代表社員」という肩書きになります。

もうひとつの重要な特徴が「有限責任」です。会社の借入や取引で生じた債務について、社員は原則として出資した金額の範囲で責任を負います。これは株式会社の株主と同じ考え方で、個人事業主が事業上の債務を個人の財産で負うのとは異なる点です。

つまり合同会社は、ざっくり言えば「株式会社と同じように有限責任でありながら、所有と経営が一致していて、内部のルールを自分たちで決めやすい会社」です。株式会社が株主総会・取締役という仕組みで動くのに対し、合同会社は社員どうしの合意と定款で動きます。

株式会社との違いはどこ?比べるべき5つのポイント

まず所有と経営の関係です。株式会社は出資する株主と経営する取締役が分かれる前提の設計になっており、外部から出資を受けて事業を大きくすることに向いています。合同会社は出資者が経営者なので、意思決定の階層が少なく、方針転換の速さが持ち味になります。

次に設立手続きです。株式会社は定款について公証人の認証を受ける手続きが必要ですが、合同会社ではこの認証が不要とされています。また登記の際にかかる登録免許税の考え方も会社形態で異なるため、実際の金額は法務局や公証役場の公式情報、または司法書士に確認してください。

三つめは維持のための手続きです。株式会社には役員の任期があり、任期が来れば重任の登記が必要になります。合同会社には法律上の任期の定めがなく、この手間が生じにくい形です。さらに株式会社には決算公告の義務がありますが、合同会社にはこの義務が課されていません。

四つめは利益の分け方です。株式会社の配当は原則として持株数に応じますが、合同会社は定款で定めれば出資割合と異なる分配も設計できるとされています。五つめが知名度で、これは後述する「やめとけ」論の中心になります。

合同会社のメリットは何ですか

最大のメリットは、設立と維持にかかる手続きの負担が比較的軽いことです。定款認証の手続きが不要で、役員の任期管理や決算公告への対応も発生しにくいため、ひとり社長や少人数の会社にとっては「会社を維持するための事務」が少なくて済みます。実際の費用は制度や法令の改正で変わるため、最新の金額は法務局の案内で確認してください。

次に、意思決定の自由度です。社員が経営者なので、株主総会の招集といった手続きを経ずに方針を決められます。定款で内部のルールを細かく設計できるため、複数人で始める場合も、議決権や利益分配のバランスを話し合って決めやすいという面があります。

そして、個人事業主と比べたときの有限責任と信用です。取引先によっては法人としか契約しない、法人名義の口座がないと発注できないという運用もあります。この「法人であること」が必要なだけであれば、合同会社でも目的は果たせることが多いです。

税制上の取り扱いは、法人である以上、株式会社と合同会社で基本的な枠組みは共通とされています。ただし個々の事情で結論は変わるため、法人化によって税負担がどうなるかは税理士にご確認ください。

「合同会社はやめとけ」「やばい」と言われるのはなぜ?デメリットの正体

最も多い理由が認知度です。合同会社という形態を知らない人はまだ一定数いて、初対面の取引先や個人のお客さまに「株式会社ではないのですか」と聞かれる場面があります。これは制度の欠陥ではなく、説明の手間が増えるという実務上のコストだと考えるとよいでしょう。

二つめが資金調達です。合同会社は株式を発行しないため、ベンチャーキャピタルや投資家から出資を受けて拡大していくモデルとは相性がよくありません。将来的に外部資本の調達や上場を視野に入れるなら、この点は大きな判断材料になります。

三つめが採用です。求人で会社名を見たときの印象や、家族に説明するときの分かりやすさで、株式会社のほうが有利に働く場面はあります。人を増やして組織にしていく計画があるなら、無視できない要素です。

四つめが、複数人で始めた場合の内部のもめごとです。合同会社では、原則として社員それぞれが業務執行や重要事項の決定に関わる立場になり、意見が割れたときに調整の仕組みを定款で用意していないと動けなくなることがあります。共同創業なら、決め方のルールを最初に定款へ書き込んでおくことをおすすめします。

なお、後から株式会社へ組織変更する道もあります。手続きと登記が必要で時間もかかりますが、「一生このままではない」と分かると判断が軽くなるはずです。具体的な手順は司法書士にご相談ください。

合同会社と株式会社、どちらを選ぶ?判断の順番

まず一つめの分かれ道は「外部から出資を受ける計画があるか」です。投資家からの資金調達や将来の上場を考えているなら、株式会社を選ぶのが素直です。ここがYESなら、以降の項目を見るまでもありません。

二つめは「誰が顧客か」です。個人のお客さま向けにブランドを打ち出す事業、公的機関や大企業との取引が中心になる事業では、会社形態の見え方が効いてくることがあります。取引先の与信や登録の条件に会社形態の指定があるかどうかは、事前に確認しておくと安心です。

三つめは「人を何人まで増やすか」です。当面はひとりか少人数で、業務委託も活用しながら回す想定なら、合同会社の手続きの軽さが素直にメリットになります。数年以内に十数人規模を目指すなら、採用面から株式会社を検討する価値があります。

四つめは「共同で始めるか、ひとりか」です。ひとりなら合同会社の自由度はそのまま扱いやすさになります。複数人なら、持分・議決・退社時の扱いを定款でどこまで詰められるかが分かれ目です。ここまで見て決め手がなければ、手続きの軽い合同会社から始めて、必要になった時点で組織変更を検討する、という順番も現実的です。

合同会社をつくる流れ|いつ・何を用意して・どこに出すか

最初にやるのは、登記に必要な基本事項を決めることです。商号(会社名)、本店所在地、事業目的、出資する人と出資額、事業年度、代表社員などを決めます。商号に使える文字や、同じ住所での同一商号の扱いには決まりがあるので、法務局の案内で確認してください。

次に、印鑑の準備と定款の作成です。会社の実印を作り、決めた基本事項をもとに定款を作成します。合同会社の定款は公証人の認証が不要とされていますが、内容は登記や後の運営に直結するため、共同設立や特殊な利益分配を考えている場合は司法書士に見てもらうと安心です。

定款ができたら、出資金を代表者の個人口座へ払い込み、通帳の該当ページの写しなどで払込を証明する書類を用意します。そのうえで、登記申請書と添付書類をそろえて、本店所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。この申請日が会社の設立日になります。

登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を取得し、法人口座の開設、税務署・都道府県・市区町村への法人設立の届出、従業員や役員報酬に応じた社会保険関係の手続きへ進みます。届出には期限が定められているものがあるため、設立直後にまとめて着手するのが安全です。

設立前後で迷ったら専門家に相談を

合同会社にするか株式会社にするかは、手続きの比較だけでは決まりません。事業計画、資金調達の予定、採用の計画、共同創業者との関係といった要素が絡み合うため、書類上の違いだけを見て決めると後から動きにくくなることがあります。

登記の進め方や定款の設計については司法書士、役員報酬や法人化後の税務については税理士、従業員を雇う際の社会保険や就業規則については社会保険労務士が、それぞれ相談先になります。共同創業で持分や退社時の取り決めを詰めたい場合は、弁護士に相談する選択肢もあります。

制度や必要書類は改正されることがあります。最新の要件は法務局・国税庁など所管官庁の資料で確認しつつ、自社の事情に当てはめた判断は専門家にご相談ください。

よくある質問

合同会社はひとりでも設立できますか。

社員(出資者)が1人でも設立できるとされており、その場合は自分が代表社員になります。ひとり社長の場合は、役員の任期管理や決算公告の負担が生じにくい合同会社の特徴が活きやすい形です。手続きの詳細は法務局の案内や司法書士にご確認ください。

合同会社から株式会社に変更できますか。

組織変更という手続きにより、合同会社から株式会社へ変更する道があります。定款変更や債権者保護の手続き、登記が必要で、一定の期間と費用がかかります。実際に必要な手順と期間は司法書士にご相談ください。

合同会社だと銀行口座や融資で不利になりますか。

会社形態だけで一律に判断されるわけではなく、事業内容・実績・資料の整い方が見られるのが一般的です。ただし金融機関ごとに審査の考え方は異なるため、条件は各金融機関の公式情報で確認し、必要に応じて税理士に相談しながら資料を整えるとよいでしょう。

合同会社は税金の面で有利ですか。

法人としての基本的な税の枠組みは、株式会社と合同会社で共通とされています。有利かどうかは所得の規模や役員報酬の設計など個別の事情で変わるため、断定はできません。具体的な試算は税理士にご確認ください。

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