合同会社の決算・法人税申告|自分でやる場合の流れと売上なしの決算
合同会社をつくると、売上があってもなくても、1年に1回の決算と申告がやってきます。株式会社に比べると手続きは軽めですが、「やらなくていい」わけではありません。この記事では、決算日から申告・納税までの流れを順番に整理し、自分でやる場合にどこでつまずきやすいか、売上ゼロの年度はどう扱うか、どんなときに税理士に頼むべきかを具体的に説明します。
この記事の結論
- 合同会社も、事業年度の終了日の翌日から原則2か月以内に、法人税・地方法人税の申告書を税務署へ、法人住民税・法人事業税の申告書を都道府県と市区町村へ提出します。
- 売上がない年度や休眠状態でも申告は必要で、赤字やゼロ申告でも法人住民税の均等割は原則としてかかります(自治体に届け出て免除される場合もあるため、所在地の自治体にご確認ください)。
- 取引がごく少なく、記帳が自分でできる会社なら自力申告も選択肢ですが、消費税の課税事業者になった年度や、役員給与・在庫・固定資産がある場合は税理士への依頼を検討する場面です。
合同会社の決算とは何をすることか
合同会社の決算は、ざっくり言うと「1年分の取引をまとめて、もうけと財産の状態を数字にし、税金を計算して申告・納税する」一連の作業です。作業は大きく、①1年分の記帳を締める、②決算書(貸借対照表・損益計算書など)をつくる、③税金を計算して申告書をつくる、④提出して納税する、の4段階に分かれます。
合同会社は株式会社と違い、定時株主総会や決算公告といった手続きが会社法上求められていません。その分、外向きの手続きは軽くなりますが、税務署や自治体への申告は株式会社とまったく同じように必要です。「小さいから」「ひとりだから」といった理由で免除される仕組みはありません。
事業年度は定款で決めた期間です。多くの会社は設立月の前月末を決算日にしていますが、自社の決算日は必ず定款と登記事項で確認してください。申告期限は決算日から逆算して決まるため、ここを勘違いすると期限を落とします。
決算日から申告までの流れ(いつ・何を・どこに)
まず決算日が来たら、その月までの通帳・領収書・請求書・クレジットカード明細をすべて揃え、記帳の抜けをなくします。次に、未入金の売掛金、未払いの経費、前払いした年払い費用などを「その年度のもの」として整理します。ここまでが決算整理で、会計ソフトを使っている場合も、この整理だけは手作業になることが多い部分です。
続いて決算書をつくります。一般に必要になるのは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書(合同会社では社員資本等変動計算書)、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書といった書類です。これらをもとに、法人税・地方法人税の申告書(別表)を作成します。
提出先は3方向です。法人税・地方法人税は所轄の税務署へ、法人事業税・特別法人事業税と道府県民税は都道府県税事務所へ、市町村民税は本店所在地の市区町村へ提出します(東京23区内は都税事務所にまとめて提出する扱いです)。期限は原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内で、納税の期限も同じ日です。電子申告を使う場合、国税はe-Tax、地方税はeLTASを用います(正しくはeLTAX/エルタックス)。納税は電子納税、金融機関窓口、クレジットカード納付などの方法があります。
合同会社の決算を自分でやれるか、判断の順番
自分でやるかどうかは、次の順に見ると決めやすくなります。第一に、消費税の申告が必要かどうか。インボイス登録をしている、または課税事業者になっている年度は、消費税の計算が加わり難易度が一段上がります。第二に、役員報酬を出しているかどうか。役員給与は税務上の扱いに独自のルールがあり、金額や支給時期の決め方で損金にできるかが変わることがあります。
第三に、在庫・固定資産・借入金があるかどうか。棚卸や減価償却、借入金の元本と利息の区別が必要になると、決算整理の判断が増えます。第四に、年間の取引件数と、記帳が月次で終わっているかどうかです。
目安として、取引先が数社、経費もカードと口座に集約されていて、役員報酬もシンプル、消費税は免税、という状態なら、会計ソフトを使って自力で申告している会社もあります。一方、上の項目に2つ以上当てはまるなら、初年度だけでも税理士に依頼して型をつくってもらい、翌年以降を自分で回す、という進め方が現実的です。費用は事務所や関与の範囲によって大きく異なるため、複数の事務所で見積もりを取って比較してください。
売上なしの年度・休眠中でも決算申告は必要か
売上がゼロの年度でも、会社が存在している限り申告は必要です。いわゆる「ゼロ申告」として、売上・費用がほぼない決算書と申告書を作成して提出します。設立したものの事業が始まっていない年度、事業を止めて休眠している年度も同じ考え方です。
注意したいのが、法人住民税の均等割です。これは利益が出ていなくても、法人が存在していることに対してかかる税金で、赤字でも原則として納付が必要です。金額は資本金の規模や従業員数、自治体によって異なるため、所在地の都道府県・市区町村の公式サイトで確認してください。なお、休眠の届出を自治体に出すことで均等割の取り扱いが変わる場合がありますが、扱いは自治体ごとに異なります。
もう一つ大事なのが、申告をしないまま放置しないことです。無申告が続くと、加算税や延滞税といった負担が生じることがあり、青色申告の承認が取り消される場合もあります。売上ゼロでも、決算日が来たら申告書を出す、というリズムだけは崩さないでおくのが安全です。事業を再開する見込みがしばらくないなら、休眠の届出や解散・清算も含めて、税理士や司法書士に相談して方針を決めるとよいでしょう。
合同会社の青色申告と、押さえておきたい前提
法人も青色申告を選ぶことができ、合同会社も例外ではありません。青色申告にすると、赤字(欠損金)を一定期間繰り越して翌年度以降の黒字と相殺できる、一定の要件のもとで少額の減価償却資産について特例を使えるなど、いくつかの取り扱いが認められています。設立直後は赤字になりやすいため、繰越しができる意味は小さくありません。
青色申告を使うには、事前に「青色申告の承認申請書」を所轄税務署へ提出しておく必要があります。設立初年度は提出期限が設立日や事業年度開始日を基準に決まるため、設立直後のタイミングで、法人設立届出書や給与支払事務所等の開設届出書などとあわせて出しておくのが一般的です。出し忘れると、その年度は白色申告として扱われることになります。
青色申告には、帳簿を備え付けて取引を記録し、一定期間保存するという前提があります。会計ソフトで日々記帳していれば大きな負担ではありませんが、領収書や請求書を電子データでやり取りしている場合は、電子帳簿保存法の考え方にも沿った保存方法を整える必要があります。要件の詳細は国税庁の資料で最新の内容を確認してください。
つまずきやすいポイントと、来期のための準備
自力申告でよく詰まるのは、①役員報酬と会社の経費、個人の支出の線引き、②預り金(源泉所得税や社会保険料)の残高が合わない、③期末の売掛金・買掛金を計上し忘れて利益がずれる、の3つです。いずれも決算直前ではなく、毎月の記帳の段階で片づけておくと決算が一気に楽になります。
おすすめの運用は、月末に「通帳の残高と帳簿の残高を合わせる」「未処理の領収書をゼロにする」の2つだけを習慣にすることです。これができていれば、決算作業は決算整理と申告書作成に集中できます。逆に、1年分をまとめて入力しようとすると、記憶も資料も薄れていて時間がかかります。
また、申告期限の2か月前、つまり決算日の直前に一度「着地予測」を立てておくと、納税資金の準備や、必要な判断(設備投資のタイミングなど)に余裕が持てます。納税は申告と同じ期限に現金が出ていくため、資金繰り上のインパクトが大きい点を忘れないでください。
税理士に相談すべきタイミング
決算・申告は自分でもできますが、判断の誤りが後から税額として跳ね返ってくる分野でもあります。特に、消費税の課税事業者になった年度、役員報酬を変更した年度、事業を休止・再開した年度、大きな設備を購入した年度は、扱いを間違えると影響が長く残ることがあります。
合同会社の税務については税理士、登記や解散・清算の手続きについては司法書士、従業員を雇ったときの社会保険や労働保険については社会保険労務士が窓口になります。まずは決算1〜2か月前に税理士へ相談し、自社の場合にどこまで自分でやり、どこから任せるかを整理しておくと、期限直前の慌ただしさを避けられます。
この記事は一般的な考え方をまとめたものです。個別の取り扱いは会社の状況によって変わり、制度も改正されます。実際の申告内容や納税額の判断は、税理士にご確認ください。
よくある質問
合同会社の決算申告は自分でできますか。
取引件数が少なく、消費税が免税で、在庫や固定資産がないシンプルな会社であれば、会計ソフトを使って自分で申告している例もあります。一方で、消費税の申告がある年度や役員報酬の扱いに迷う場合は、初年度だけでも税理士に依頼して型をつくるほうが安全です。判断に迷うときは、決算の1〜2か月前に相談してみてください。
売上がまったくない年度でも申告は必要ですか。
はい、会社が存在している限り、売上ゼロでも決算書と申告書を作成して提出するのが原則です。赤字やゼロ申告でも法人住民税の均等割は原則として発生します。休眠の届出によって取り扱いが変わる場合もあるため、所在地の自治体の公式サイトで確認するか、税理士にご相談ください。
合同会社の申告期限はいつですか。
原則として、事業年度終了日の翌日から2か月以内に、税務署・都道府県・市区町村へ申告し、同じ期限までに納税します。決算日は定款で定めた日なので、自社の決算日を確認したうえで逆算してスケジュールを組んでください。
合同会社でも青色申告はできますか。
できます。事前に青色申告の承認申請書を所轄税務署へ提出しておく必要があり、設立初年度は提出期限が設立日などを基準に決まります。赤字を一定期間繰り越せるなどの取り扱いがあるため、設立直後の届出とあわせて手続きしておくとよいでしょう。