合同会社の解散・清算の手続き|廃業を自分で進める流れと費用

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

合同会社をたたむ手続きは、「解散」と「清算結了」の二段構えです。会社をやめると決めた日に一度で終わるものではなく、債権者への公告や残った財産の整理をはさんで、最低でも2か月以上かかります。この記事では、廃業を自分で進めたい人に向けて、何を、どの順番で、どこに出すのかを整理します。休眠という選択肢との比べ方も合わせて見ていきます。

この記事の結論

  • 合同会社をたたむには、解散の決定と解散登記、債権者保護のための官報公告、残余財産の分配を経て、清算結了の登記まで進める必要があります。
  • 官報公告の期間として2か月以上を確保する必要があるため、解散から清算結了までは早くても2〜3か月、実務上は数か月かかるのが一般的です。
  • 登記は自分でも申請できますが、登録免許税や官報掲載料などの実費はかかり、金額は法務局・官報の公式情報で確認してください。

合同会社の「解散」と「清算」はどう違うのか

解散は「会社としての営業活動をやめる」という区切りで、この時点では会社そのものは消えません。解散後の会社は清算の目的の範囲内で存続し、売掛金の回収、買掛金や借入金の支払い、契約の解約、資産の換価といった後始末を行います。この後始末が清算です。

清算が終わって残余財産の分配まで済んだら、清算結了の登記を申請します。この登記によって登記記録が閉鎖され、法人としての手続きが一区切りとなります。つまり「解散登記をしたら終わり」ではなく、清算結了まで進めてはじめて閉鎖まで到達する、と理解しておくと迷いません。

なお、合同会社には株式会社のような決算公告の仕組みがない一方で、解散時の債権者保護のための官報公告は必要とされています。ここを省くと手続きが前に進まないため、スケジュールを組むときは公告期間を先に押さえるのがコツです。

設立にかかる法定費用

どちらの形態でもかかる、国が定めた費用です。設立代行サービスの手数料は、これとは別にかかります。

項目株式会社合同会社
登録免許税(設立登記)資本金の額の1,000分の7。15万円に満たないときは1件につき15万円資本金の額の1,000分の7。6万円に満たないときは1件につき6万円
定款の認証手数料資本金100万円未満 3万円/100万円以上300万円未満 4万円/300万円以上 5万円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
定款の謄本(同一の情報の提供)1枚につき250円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
収入印紙(紙の定款の場合)4万円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
出典:国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)/日本公証人連合会 定款の認証に要する費用(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4/9_4_q03)/日本公証人連合会 会社の定款手数料の改定(https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee)・2026-09-21確認

廃業を決める前に、休眠と比べて判断する

「しばらく事業をやらないだけ」なのか「もう戻らない」のかで、取るべき道が変わります。将来また同じ法人で事業を再開する可能性が現実的にあるなら、解散せずに事業を止めたまま置いておく、いわゆる休眠という選択肢が候補になります。この場合も税務署や都道府県・市区町村への異動届出、申告義務の扱いなど、確認すべき点は残ります。

一方で、再開の予定がない、社会保険や税の申告事務を続けるのが負担、代表者の状況が変わった、といった事情があるなら、清算結了まで進めて区切りをつけるほうがすっきりします。判断の順番としては、①再開の可能性があるか、②負債が資産を上回っていないか、③関係者(取引先・金融機関・従業員)との整理が済むか、の順に見ていくと決めやすいでしょう。

債務が資産を上回っていて、すべての債務を支払いきれない見込みがある場合は、通常の清算ではなく別の手続きを検討することになります。この判断は自力で進めるのが難しい領域なので、早い段階で弁護士に相談してください。

自分で進める場合の全体の流れ

大まかな順番は、①解散の決定と清算人の決定、②解散・清算人就任の登記、③税務署などへの異動の届出、④官報での債権者保護の公告と、分かっている債権者への個別の通知、⑤財産の換価と債務の弁済、⑥残余財産の分配、⑦清算結了の決定、⑧清算結了の登記、⑨清算確定申告や最終的な届出、という流れです。

まず社員(出資者)の同意などによって解散を決め、清算人を決めます。合同会社では業務執行社員が清算人になるのが一般的な形ですが、定款の定めによって変わることがあるため、自社の定款を先に確認してください。決めた内容は同意書や決定書として書面に残します。

登記の申請先は、本店所在地を管轄する法務局です。解散と清算人就任の登記は、解散した日から一定期間内に申請することとされているので、書類がそろい次第すみやかに出すのが安全です。登記のあとは、税務署・都道府県税事務所・市区町村に異動届出書を提出し、会社が解散したことを知らせます。

官報公告と債権者への対応

清算中の会社は、債権者に対して「一定の期間内に申し出てください」という趣旨の公告を官報で行います。この申出期間は2か月を下回らない期間とされているため、ここがスケジュールの最低ラインになります。掲載の申込みは官報販売所を通じて行い、掲載料は文字数などで変わるので、金額は官報の公式案内で確認してください。

把握している取引先や金融機関など、分かっている債権者には個別に通知します。公告をしたからといって連絡を省略してよいわけではなく、むしろ個別に伝えたほうがトラブルが起きにくくなります。未払いの請求がないか、継続課金のサービスが残っていないかも、この段階で洗い出しておきましょう。

公告期間が満了する前に残った財産を社員に分配してしまうと、あとから申し出た債権者との関係で問題になることがあります。分配は債務の弁済が済んでから、という順番を崩さないでください。

解散にかかる費用と期間の目安

自分で進める場合でも、実費はかかります。主な項目は、解散および清算人就任の登記にかかる登録免許税、清算結了の登記にかかる登録免許税、官報の掲載料、登記事項証明書や印鑑証明書などの取得費用です。これらの金額は制度改定などで変わることがあるため、法務局と官報の公式サイトで最新の金額を確認してください。

司法書士に登記を依頼する場合や、税理士に清算にかかわる申告を依頼する場合は、これに報酬が加わります。報酬の水準は事務所や会社の状況によって幅があるので、複数の事務所に見積もりを取って内容を比べるのが現実的です。

期間は、公告の2か月以上が動かせないため、最短でも2〜3か月。実際には、資産の売却や契約の解約、未回収の売掛金の処理などに時間がかかり、半年程度になることも珍しくありません。決算期や社会保険の手続きとの兼ね合いもあるので、余裕をもって組み立てましょう。

税務・社会保険・その他の後始末

解散した事業年度については解散までの期間の申告、その後は清算中の事業年度の申告、最後に残余財産が確定したときの申告、という形で申告が続きます。消費税の取り扱いやインボイスの登録の扱いも関係してくるため、判断に迷う部分は税理士にご確認ください。申告を出し忘れたまま登記だけ終えてしまうと、あとから対応が必要になることがあります。

社会保険や雇用保険に加入していた場合は、資格喪失や適用事業所の廃止にかかわる届出が必要になります。従業員がいる場合は、退職の手続きや源泉徴収票の交付、離職票の発行といった対応も伴うため、社会保険労務士に相談すると進めやすくなります。

このほか、法人名義の銀行口座の解約、クレジットカードや各種サブスクリプションの解約、事務所の賃貸借契約や各種リースの精算、許認可を受けている場合の廃止の届出も忘れずに。帳簿や書類は、清算結了後も一定期間の保存が求められるため、捨てずに保管場所を決めておいてください。

ここまで読んで「自社の場合はどうなるのか」が判断しきれないと感じたら、登記まわりは司法書士、申告や税務の扱いは税理士、従業員の手続きは社会保険労務士、債務の整理がからむ場合は弁護士に、早めに相談することをおすすめします。手続きの順番を一度間違えるとやり直しに時間がかかるため、最初の設計だけでも専門家と確認しておくと安心です。

よくある質問

合同会社の廃業手続きは自分でできますか。

解散・清算人就任の登記も清算結了の登記も、代表者本人が申請すること自体は可能です。ただし債務の弁済や申告の扱いに判断が必要な場面があるため、負債がある場合や従業員がいる場合は、司法書士・税理士に相談しながら進めると安全です。

解散から会社が閉鎖されるまで、どのくらいかかりますか。

債権者に対する官報公告の申出期間として2か月以上が必要なため、最短でも2〜3か月かかります。資産の売却や売掛金の回収、契約の整理に時間がかかると、半年程度になることもあります。

解散登記をすれば、それで廃業は完了ですか。

解散登記だけでは登記記録は閉鎖されません。債務の弁済と残余財産の分配を終えて清算結了の登記まで進め、あわせて税務署などへの届出と申告を済ませることで、一連の手続きが完了します。

費用はどのくらい見ておけばよいですか。

登記の登録免許税、官報の掲載料、証明書の取得費用などの実費がかかり、専門家に依頼する場合は報酬が加わります。金額は変わることがあるので、法務局や官報の公式サイト、依頼先の事務所で最新の情報を確認してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。