合同会社と株式会社、どちらで設立するか|費用と決め方の順番

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

合同会社と株式会社のどちらで設立するかは、最初に決めることのわりに情報が散らばっています。結論からいうと、迷う論点は多くありません。費用、相手からの見え方、将来の資金調達、あとから変えられるか。この4つで決まります。

この記事の結論

  • 設立時の法定費用は合同会社のほうが安く、株式会社には定款の認証手数料が加わります。
  • 外部からの出資を受ける予定があるなら、株式会社を選んでおくほうが後の手間が少なくて済みます。
  • 合同会社から株式会社への変更は後からでもできますが、そのときに改めて費用と手続きが発生します。

この記事の書き手について編集部(株式会社田中)で実際に法人を設立・運営した経験と、官公庁・日本公証人連合会の公表資料をもとに書いています。

設立にかかる法定費用のちがい

まず、どちらを選んでもかかる「法定費用」を並べます。ここは国が決めている金額なので、どこに依頼しても変わりません。設立代行サービスの料金は、これとは別にかかる手数料です。

大きな差は2つです。ひとつは登録免許税の最低額。もうひとつは、株式会社には定款の認証手数料がかかることです。合同会社は、公証人連合会が案内している定款認証の手数料表に載っていません。

紙の定款には収入印紙が必要ですが、電子定款であれば貼付しません。設立代行サービスが「印紙代が不要になる」と案内しているのは、この電子定款のことを指しています。

項目株式会社合同会社
登録免許税(設立登記)資本金の額の1,000分の7。15万円に満たないときは1件につき15万円資本金の額の1,000分の7。6万円に満たないときは1件につき6万円
定款の認証手数料資本金100万円未満 3万円/100万円以上300万円未満 4万円/300万円以上 5万円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
定款の謄本(同一の情報の提供)1枚につき250円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
収入印紙(紙の定款の場合)4万円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
出典:国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)/日本公証人連合会 定款の認証に要する費用(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4/9_4_q03)/日本公証人連合会 会社の定款手数料の改定(https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee)・2026-09-21確認

費用以外で効いてくる3つの違い

ひとつめは、相手からの見え方です。取引先や金融機関によっては、株式会社であることを前提に手続きが組まれている場合があります。とはいえ、合同会社だから取引できないという場面は年々減っています。

ふたつめは、外部からの出資です。株式を発行して投資を受けるしくみは株式会社のものなので、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資を見込むなら株式会社を選んでおくほうが素直です。

みっつめは、意思決定と機関設計です。株式会社は株主総会や取締役といった機関のルールが会社法で細かく定められています。合同会社は社員(出資者)の合意で決められる範囲が広く、身内だけで回す会社なら手続きが軽く済みます。

設立後にかかるお金のちがいも見ておく

設立時の費用だけで決めると、後で差が出ることがあります。会社を続けるあいだにかかるお金も、形態によって変わる部分があるためです。

分かりやすいのは役員の任期です。株式会社は取締役の任期が会社法で定められていて、任期が満了するたびに重任の登記が必要になります。登記のたびに登録免許税と、司法書士に依頼するならその報酬がかかります。合同会社の業務執行社員には、こうした任期の定めがありません。

もうひとつは決算公告です。株式会社には決算公告の義務がありますが、合同会社にはありません。官報に掲載する場合は掲載料がかかるため、この差も毎年効いてきます。具体的な義務の範囲は、司法書士や税理士に確認してください。

あとから変えられるので、最初に悩みすぎない

合同会社として設立したあと、株式会社へ組織変更することはできます。ただし、そのときには登記や官報公告などの手続きと費用が改めて発生します。

つまり「とりあえず合同会社で始めて、必要になったら株式会社にする」という進め方は成り立ちますが、二度手間になる分のコストは見込んでおく必要があります。

外部出資の予定が具体的にあるなら最初から株式会社、当面は自己資金と事業収入で回すなら合同会社から、という切り分けが実務的です。

どちらを選んでも、その先にやることは同じ

会社の形が決まったら、次は住所を決め、登記を済ませ、法人口座を開き、会計のしくみを整える、という順番で進みます。この流れはどちらの形態でも変わりません。

登記が終わると履歴事項全部証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書が取れるようになり、そこで初めて法人口座の申込ができます。口座が開くまでは支払いを立て替えることになるので、記録を残しておくと後の処理が楽になります。

設立の手続きそのものは、法務局や公証役場の案内、あるいは会社設立の支援サービスに沿って進められます。判断に迷う論点があるときは、司法書士や税理士に相談してください。

よくある質問

合同会社だと取引先に信用されませんか?

会社の形態だけで取引を断られる場面は少なくなっています。ただし、相手の社内規程で株式会社を前提にしている場合はあるので、主要な取引先が決まっているなら事前に確認しておくと安心です。

資本金はいくらにすればいいですか?

登録免許税は資本金の額に連動するため、資本金が大きいほど設立時の税額も上がります。また、消費税や許認可の要件にも関わることがあるため、具体的な金額は税理士にご相談ください。

合同会社から株式会社に変更できますか?

組織変更という手続きで可能です。ただし登記や官報公告などの手続きと費用が改めて必要になるため、外部出資の予定が具体的にあるなら最初から株式会社を選ぶほうが結果的に安く済むことがあります。

設立代行サービスを使うべきですか?

自分で手続きすることもできます。代行サービスは手数料がかかる一方、電子定款に対応していれば紙の定款で必要になる収入印紙の分を抑えられます。手間と費用のどちらを取るかで判断してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。