freee会計での役員報酬・役員借入金の入力|ひとり法人の仕訳

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

ひとり法人の経理でつまずきやすいのが、役員報酬と役員借入金です。どちらも「自分と会社のあいだのお金の動き」なので、個人事業のときの感覚のままだと帳簿が合わなくなります。この記事では、freee会計での入力の流れを、毎月やること・年に一度やること・迷ったときの判断順に分けて整理します。自宅兼事務所の家賃按分や、ひとり法人のプラン選びの考え方もあわせて解説します。

この記事の結論

  • freee会計で役員報酬を入力するときは、支給総額を「役員報酬」、天引きした源泉所得税や社会保険料を「預り金」として計上し、実際に振り込んだ金額との差額を合わせるのが基本の形です。
  • 会社の経費を社長個人のお金で立て替えた場合は「役員借入金(短期借入金など)」で処理し、会社にお金が戻った時点で同じ科目を取り崩します。
  • 自宅兼事務所の家賃を会社の経費にするかどうかは契約名義と社宅扱いの有無で扱いが変わるため、按分の割合と根拠を決めたうえで税理士に確認するのが安全です。

freee会計で役員報酬はどう入力する?基本の考え方

役員報酬でまず押さえたいのは、「会社が払った総額」と「社長の口座に振り込まれた金額」は違う、という点です。総額から源泉所得税や社会保険料の本人負担分を差し引いた残りが振込額になります。freee会計でも、この差額をきちんと分けて入力しないと、後から預り金の残高が合わなくなります。

入力の形としては、費用側に「役員報酬」を総額で立て、控除した源泉所得税と社会保険料を「預り金」に振り分け、残りを普通預金からの支払いとします。freee会計は口座と連携していると振込額(手取り額)が明細として上がってきますので、その明細に対して「振替伝票」や「取引の登録」で総額と預り金を組み合わせる形になります。

同期された明細をそのまま「役員報酬」として全額登録してしまうと、預かった源泉所得税が帳簿に残りません。納付のときに科目が合わずに困るので、毎月同じパターンを使い回せるよう、最初の月にきちんとした形をつくっておくのがおすすめです。freee会計には登録した取引をテンプレート的に扱う機能がありますので、毎月同じ内容なら再利用すると手間が減ります。

源泉所得税と社会保険料の天引き分はどこへ行く?

天引きした源泉所得税は、会社が社長本人に代わって預かっているお金です。会計上は「預り金」として残り、納付の期限が来たときに、預金から支払って預り金を取り崩します。納期の特例を受けているかどうかで納付のタイミングが変わりますので、自社がどちらなのかを確認しておきましょう。

社会保険料も同じ考え方です。本人負担分は給与から天引きして預り金に、会社負担分は「法定福利費」として費用に計上します。年金事務所からの引き落としは会社負担分と本人負担分の合計額なので、引き落とし明細を登録するときに、この二つに分ける必要があります。

毎月の処理が正しくできていれば、預り金の残高は「まだ納めていない分」と一致するはずです。決算前にこの残高を確認して、説明のつかない残りがあれば、どこかの月の入力が抜けているサインだと考えて遡って見直してください。

freee会計の料金プラン

freee会計の料金は次のとおりです。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。

プラン料金使える人数備考
スターター年払い 5,480円/月+従量課金3人(メンバー追加は年額払い月額300円/人)初年度法人向け。経費精算・出入金管理・電話サポート。税区分はページに明記なし
スタンダード年払い 8,980円/月+従量課金3人(追加300円/人)経営分析・月締め・給与連携。税区分はページに明記なし
アドバンス年払い 39,780円/月+従量課金5人(追加1,000円/人)カスタム権限・ワークフロー・CRM連携。税区分はページに明記なし
エンタープライズ記載なし(問い合わせ)記載なし固定資産管理・管理会計・セキュリティ強化
出典:freee会計 公式料金ページ(https://www.freee.co.jp/houjin/price/)・2026-09-21確認

役員借入金(社長からの立替)の入力はどうする?

ひとり法人では、会社の口座を作る前の費用や、うっかり個人カードで払った経費が出てきます。これは会社が社長からお金を借りている状態と整理され、freee会計では「役員借入金」や「短期借入金」「長期借入金」といった負債科目で処理するのが一般的です。freee会計の初期の科目一覧に該当する名前がなければ、勘定科目を追加して使います。

入力の順番はシンプルです。①経費が発生した日付で、費用科目(消耗品費、旅費交通費など)を借方に、役員借入金を貸方に立てる。②後日、会社の口座から社長に返金したときに、役員借入金を減らし、普通預金を減らす。この二段階を分けて入れるのがポイントです。

逆に、会社の口座から社長が私的にお金を引き出した場合は「役員貸付金」という別の科目になります。役員貸付金は利息の取り扱いなどで税務上の論点になりやすく、残高が大きくなると金融機関からの見え方にも影響します。区別が曖昧なまま「なんとなく借入金」に入れるのは避け、どちら向きのお金なのかを毎回確認してください。

自宅兼事務所の家賃はfreee会計でどう按分する?

自宅で仕事をしているひとり法人の場合、家賃の扱いは契約の形によって大きく変わります。判断の順番としては、まず①賃貸借契約の名義が個人か法人か、②社宅として会社が借り上げる形にしているか、③会社が個人に支払うのは家賃なのか使用料なのか、を確認します。ここを決めないまま金額だけ経費にすると、後から整理が難しくなります。

個人名義の自宅の一部を会社の事務所として使い、会社から個人へ使用料を払う形にするなら、按分の割合を決める必要があります。よく使われるのは床面積の割合や使用時間の割合ですが、どの根拠を採るかで金額が変わりますので、図面やメモなど説明できる材料を残しておきましょう。個人側で受け取った金額の申告が必要になることもあるため、税理士に確認することをおすすめします。

freee会計での入力自体は難しくありません。口座から引き落とされた家賃の明細に対し、按分後の金額を「地代家賃」、残りを「役員貸付金」や「事業主分以外」として処理する方法や、会社負担分だけを会社の口座から支払う方法があります。毎月同じ割合なら、取引登録時に金額を分割して登録しておくと、決算時の確認が楽になります。

ひとり法人はfreee会計のどのプランを選べばいい?

プラン選びで最初に見るのは、料金ではなく「自分が何をfreee会計でやるか」です。判断の順は、①給与計算・年末調整まで会計ソフト側で完結させたいか、②消費税の申告が必要か(インボイス登録をしているか、課税事業者か)、③法人税の申告書まで自分で作るのか税理士に頼むのか、の三つです。

役員報酬しか給与がないひとり法人でも、毎月の給与明細や源泉徴収票は必要になります。給与計算機能を使うか、報酬額が固定なので手計算+会計入力で済ませるかで、必要な機能は変わります。税理士に顧問を依頼する予定があるなら、その事務所が対応しているプランやデータの受け渡し方法を先に聞いておくと、後から乗り換える手間を避けられます。

料金やプラン名、含まれる機能は改定されることがありますので、最新の内容は必ずfreeeの公式サイトでご確認ください。無料お試し期間が用意されている場合は、実際に役員報酬の一か月分と家賃の按分を入力してみて、自分の使い方に合うかを試してから決めると判断しやすくなります。

毎月・毎年のスケジュールに落とし込む

ひとり法人の経理は、やることを決めてしまえば毎月の作業時間は限られます。毎月やるのは、①口座・カード明細の同期と登録、②役員報酬の計上(総額・預り金・振込額)、③立替経費があれば役員借入金の計上、④家賃など按分が必要なものの処理、の四つが中心です。月末か翌月頭に日を決めて、まとめて片づけるとリズムがつきます。

年に一度のイベントとしては、役員報酬の改定があります。役員報酬は事業年度の開始から一定期間内に決めた金額を継続して支払う形が原則とされており、期中に自由に増減させると損金として扱われない部分が出ることがあります。株主総会の議事録など、決めた経緯を残す書類もあわせて準備しておきましょう。

決算期には、預り金の残高、役員借入金の残高、未払の社会保険料などを一つずつ確認します。特に役員借入金は、社長本人の記憶に頼らず帳簿で説明できる状態にしておくことが大切です。金額の根拠となる領収書やメモの保存については、電子帳簿保存法の取り扱いが関係することがありますので、国税庁の資料や所管官庁の案内をあわせて確認してください。

迷ったら税理士に相談を

ここまで書いた入力方法は、あくまで一般的な考え方の整理です。役員報酬の金額設定、社宅にするかどうか、家賃の按分割合、役員借入金をどう解消していくかといった論点は、会社の状況や今後の見通しによって適切な選択が変わります。同じ入力でも、税務上の扱いが違ってくることがあります。

特に、役員報酬の決め方と改定のタイミング、自宅家賃を会社の経費にする方法、役員貸付金が残っている場合の取り扱いは、後から修正するのが難しい領域です。設立の初年度のうちに、税理士に一度見てもらい、自社に合った処理の形を決めてしまうことをおすすめします。社会保険の手続きや給与計算の実務で迷う場合は、社会保険労務士に相談する方法もあります。

freee会計は入力を助けてくれますが、「どの科目を使うか」「その処理でよいか」の判断までは代わってくれません。ソフトの操作は自分で、判断は専門家に、と役割を分けると、ひとり法人でも無理なく回せるようになります。

よくある質問

freee会計で役員報酬を振込額だけ登録してもいいですか?

源泉所得税や社会保険料を天引きしている場合、振込額だけを登録すると預り金が帳簿に残らず、納付時に科目が合わなくなります。支給総額を役員報酬、天引き分を預り金として分けて入力する形が基本です。処理に迷う場合は税理士にご確認ください。

役員借入金と役員貸付金はどう使い分けますか?

会社が社長からお金を借りている(社長が立て替えた)状態が役員借入金、会社が社長にお金を貸している状態が役員貸付金です。向きを間違えると決算書の見え方が変わりますので、お金がどちらからどちらへ動いたかを都度確認して登録してください。

自宅の家賃は何割を経費にできますか?

一律の割合が決まっているわけではなく、床面積や使用時間など説明できる根拠に基づいて決めるのが一般的です。契約名義が個人か法人か、社宅扱いにするかでも扱いが変わりますので、割合と根拠を整理したうえで税理士に相談することをおすすめします。

ひとり法人でもfreee会計の給与計算機能は必要ですか?

役員報酬のみで金額が固定なら、給与計算を別に行って会計入力だけで運用している方もいます。年末調整や社会保険の手続きまで一か所でまとめたいかどうかで判断が分かれますので、機能の範囲と最新の料金は公式サイトで確認してください。

この記事で取り上げたサービス

あわせて読みたい

「会計・税務」の記事をすべて見る →

次に決めること

記事をすべて見る(1087本)→

この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。