BtoBの請求書決済・後払いサービス|NP掛け払い・Paidなどの選び分け

・法人カード・決済・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

「取引先から掛け払いにしてほしいと言われたが、与信も請求も回収も自社では手が回らない」。BtoBの取引をはじめると、多くの会社がここでつまずきます。企業間取引の掛け売りを外部に任せる請求書決済・後払いサービスは、この与信・請求・入金消込・督促をまとめて引き受ける仕組みです。この記事では、NP掛け払い(ネットプロテクションズ)、Paid、マネーフォワードケッサイといった代表的なサービスを題材に、どんな会社がどのタイプを選ぶとよいかを、判断の順番に沿って整理します。

この記事の結論

  • BtoBの請求書決済・後払いサービスとは、企業間取引の与信審査・請求書発行・入金管理・督促を外部に委託し、未回収リスクを自社で抱えにくくする仕組みです。
  • 選ぶときは「①未回収リスクを移したいか ②請求手段(郵送・メール・口座振替)の要否 ③既存の販売管理・会計ソフトとつながるか」の順に絞り込むと、候補が3つ程度まで減ります。
  • 料金体系や保証の範囲、利用できる業種・取引形態はサービスごとに異なるため、最終判断は各社の公式サイトと個別見積もりで確認する必要があります。

BtoBの決済代行・後払いサービスは何を代行してくれるのか

企業間取引では、商品やサービスを先に渡し、後から月まとめで請求する「掛け売り」が一般的です。しかしこれを自社でやろうとすると、取引先の与信判断、請求書の作成と送付、入金の消込、遅れたときの督促まで、すべて自社の業務になります。ひとり社長や少人数の会社では、ここに時間を取られて本業が進まなくなりがちです。

BtoB向けの請求書決済・後払いサービスは、この一連の流れをまとめて引き受けます。おおまかには、取引先の与信審査、請求書の発行と送付、入金の照合、未入金時の督促、そして販売側への入金という順で動きます。多くのサービスでは、取引先が期日に払わなかった場合でも、条件を満たしていれば販売側には入金される「保証」の形をとっています。

注意したいのは、これは融資でもファクタリングでもなく、あくまで売掛金の請求・回収業務を代行し、一定の範囲で保証する仕組みだという点です。保証の対象になる条件(事前に与信を通しているか、所定の手続きどおりに納品しているか等)はサービスごとに定められているため、契約前に必ず約款で確認してください。

まず決めるのは「未回収リスクを外に出すか」どうか

最初の分かれ道は、売掛金が回収できなかったときの損失を、自社で抱えるか外部に移すかです。新規の取引先が多い、単価が大きい、業界の慣習で支払いサイトが長い、といった会社は、未回収が一件出ただけで資金繰りが苦しくなります。この場合は、与信と保証がセットになったBtoB後払いサービスを軸に検討するのが素直な選択です。

一方、取引先が長年の固定客ばかりで、支払い遅延がほとんどないという会社もあります。この場合に優先すべきは保証よりも「請求書発行と入金消込の手間を減らすこと」です。請求書発行・送付の自動化に強いサービスや、会計・販売管理ソフトの請求機能で足りることも少なくありません。

判断の順としては、①直近1年で入金遅延や未回収がありましたか ②新規取引先の割合は増えていますか ③1件あたりの売掛金額は資金繰りに響く大きさですか、の3問です。2つ以上「はい」なら保証型、すべて「いいえ」なら請求業務の効率化側から探すと、候補が絞りやすくなります。

NP掛け払い・Paid・マネーフォワードケッサイの性格の違い

NP掛け払いは、ネットプロテクションズが提供するBtoB向けの掛け払いサービスです。同社はコンシューマー向けの後払いを長く手がけてきた会社で、BtoB領域でも与信から請求、入金管理、督促までを一括で引き受ける形をとっています。取引先数が多く、請求の件数がまとまって発生する事業との相性が語られることが多いタイプです。

Paidは、企業間取引の掛け売りを対象にした後払いサービスで、請求書の発行方法や締め日の設定など、取引の形に合わせた運用のしやすさが特徴として挙げられます。EC型のまとまった小口取引だけでなく、受発注が個別に起きる取引にも使われています。

マネーフォワードケッサイは、マネーフォワードのグループが提供する請求代行サービスです。会計・請求まわりのサービスを展開している会社であることから、バックオフィスのデータ連携という観点で検討されやすい位置づけです。ただし、実際に連携できる範囲や条件はプランや時期によって異なるため、自社が使っているソフトとつながるかは個別に確認が必要です。

なお、いずれのサービスも料金体系、審査の基準、対応できる業種・取引形態、保証の上限などは公開情報だけでは判断しきれません。比較する際は、同じ取引条件(想定月商、取引先数、平均単価、支払いサイト)を伝えて、複数社から見積もりを取るのが現実的です。

比較するときに見るべき6つのチェック項目

1つめは与信のやり方とスピードです。新規取引先ごとに与信を通す必要があるか、審査結果がどのくらいで返ってくるか、与信枠はどの単位で設定されるか。商談のスピードが速い商材ほど、ここが業務のボトルネックになります。

2つめは請求手段です。取引先が「紙の請求書でないと社内処理できない」というケースは今も珍しくありません。郵送・メール・PDF・口座振替・コンビニ払いなど、どの手段に対応しているかを、実際の取引先の顔ぶれと照らして確認します。3つめは締め日と入金サイクル。自社の資金繰り表に合う日程で入金されるかは、契約前に必ず数字を当てはめて見てください。

4つめは連携です。既存の販売管理システムや会計ソフト、ECカートとAPIやCSVでつながるか。ここが噛み合わないと、結局二重入力が残ります。5つめは保証の範囲と除外条件。6つめは料金体系で、取引ごとの手数料か月額固定か、最低利用条件があるかといった構造が各社で異なります。金額は変動するため、各社の公式サイトと見積もりで最新の条件を確認してください。

導入までの流れと、社内で先に決めておくこと

導入は、おおむね次の順で進みます。まず自社の取引条件を整理し(想定月商、取引先数、平均単価、締め日、支払いサイト、請求手段)、候補2〜3社に問い合わせて見積もりと審査要件を確認します。次に自社が利用審査を受け、契約。その後にテスト運用として一部の取引先から始め、問題がなければ全体に広げる、という流れです。

社内で先に決めておきたいのは、「どの取引先をこのサービスに乗せるか」の線引きです。全取引先を一度に切り替えると、請求書の様式や振込先が変わることへの問い合わせが集中します。新規取引先から順に適用し、既存の優良取引先は当面そのまま、という段階的な進め方が現場では扱いやすいはずです。

取引先への案内も忘れがちなポイントです。請求元や振込先が変わる旨、いつの請求分から切り替わるかを、切り替えの1か月ほど前に書面やメールで伝えておくと混乱が減ります。あわせて、請求書の記載事項はインボイス制度や電子帳簿保存法の考え方とも関わるため、代行後の請求書が自社の要件を満たす形式になっているかを、税理士に確認しておくと安心です。

よくある失敗と、迷ったときの決め方

よくあるのは、手数料の数字だけで決めてしまい、取引先が使えない請求手段しか選べなかったというケースです。BtoBでは、支払う側の経理フローに合わないと現場が止まります。比較の出発点は価格ではなく、取引先が無理なく払える形になっているかどうかに置いてください。

もう一つは、保証があるからと与信手続きを省略してしまい、いざ未回収になったときに保証の対象外だったというパターンです。保証は所定の手順を踏んだ取引に対して働く設計が一般的なので、社内の運用ルールを文書化し、担当者が変わっても同じ手順で回るようにしておきます。

迷ったときの決め方はシンプルです。未回収リスクを外に出したいなら保証型を軸に、請求業務の手間を減らしたいなら連携のしやすさを軸に。どちらも必要なら、実際の取引先リストを持って2〜3社に同条件で相談し、与信が通る割合と請求手段の対応範囲で比べます。契約内容が売掛債権の扱いや税務処理に関わる場合もあるため、契約書の確認は弁護士や司法書士に、会計・税務上の処理は税理士に相談したうえで進めることをおすすめします。

よくある質問

BtoBの後払いサービスはファクタリングと同じものですか。

性格が異なります。BtoBの請求書決済・後払いサービスは、与信・請求・入金管理・督促といった業務の代行と、一定条件下での保証を組み合わせた仕組みです。会計上の処理や契約の法的性質は個別の契約内容によって変わるため、税理士や弁護士にご確認ください。

取引先が少ない、ひとり社長の会社でも使えますか。

サービスによっては最低利用条件や想定取引規模が設定されていることがあり、小規模では導入しにくい場合もあります。取引先が数社で遅延もないなら、まずは請求書発行ソフトで請求と入金消込を効率化するほうが現実的なこともあります。条件は各社の公式サイトで確認してください。

NP掛け払いとPaid、どちらを選べばよいですか。

どちらが優れているというより、自社の取引形態に合うかで決まります。取引先が必要とする請求手段、与信のスピード、既存システムとの連携、保証の範囲という4点を同じ条件で両社に相談し、見積もりを並べて比べるのが確実な進め方です。

導入すると請求書の形式は自社で決められなくなりますか。

多くのサービスでは所定の様式で請求書が発行されます。インボイス制度や電子帳簿保存法に関わる記載・保存の要件を満たす形になっているかは事前に確認が必要で、詳細は国税庁の資料や顧問税理士に確認したうえで判断してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。