法人カードを作る条件|設立前・副業・零細企業でも申し込めるか

・法人カード・決済・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

「会社を作ったばかりで決算書がない」「副業だけど法人カードは作れるのか」「零細企業でも通るのか」。法人カード(ビジネスカード)の申し込みでつまずくのは、たいていこの3点です。この記事では、法人カードを作るための条件を、設立前・設立直後・副業・個人事業主・合同会社といった状況別に整理し、申し込み前に何をそろえればよいかを順番に説明します。

この記事の結論

  • 法人カードの申し込み条件は、多くの場合「事業を営んでいること」と「代表者本人の信用情報」が中心で、会社の規模や設立からの年数だけで一律に決まるものではありません。
  • 設立直後で決算書がない場合でも、登記事項証明書と代表者の本人確認書類で申し込める法人カードがあり、決算書の提出を求めるかどうかはカードによって異なります。
  • 会社員の副業や個人事業主でも、屋号や事業実態があれば申し込めるビジネスカードがあり、法人格の有無より「事業として継続しているか」が見られる傾向があります。

法人カードを作る条件は、まず「誰の信用を見るか」で決まる

法人カードの申し込みでは、大きく分けて「法人(会社)の状況」と「代表者個人の状況」の2つが見られます。設立から年数が経ち、決算書が複数期そろっている会社なら法人側の情報が中心になりますが、設立直後やひとり社長の会社では、代表者個人の信用情報の比重が大きくなる傾向があります。

つまり、零細企業だから作れない、売上が小さいから無理、と決めつける必要はありません。実際、設立1期目でも申し込めるカードは複数あり、その場合は代表者個人の支払い状況が重要な判断材料になります。

迷ったら、次の順で自分の状況を確認してください。①法人登記は済んでいるか、②決算は何期終わっているか、③代表者個人にクレジットやローンの延滞歴がないか。この3点で、申し込めるカードの範囲がだいたい絞れます。

設立前・設立直後でも申し込めるか

設立「前」、つまり登記が完了していない段階では、法人名義のカードは原則として申し込めません。法人カードは法人格に対して発行されるため、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が用意できることが実質的な前提になります。設立を予定している段階でカードが必要なら、まずは個人事業主向けのビジネスカードや、代表者個人のクレジットカードで立て替え、あとで精算する形が現実的です。

設立「直後」であれば、申し込めるカードは少なくありません。法人カードの中には「決算書不要」「設立直後でも申込可」と案内しているものがあり、この場合は登記事項証明書と代表者の本人確認書類で手続きが進むことがあります。決算書を求めるかどうか、何期分必要かは各社の公式サイトで最新の申込条件を確認してください。

設立直後に準備しておくとスムーズなのは、法人の登記事項証明書(発行から一定期間内のもの)、法人名義の銀行口座、代表者の運転免許証やマイナンバーカードです。法人口座の開設に時間がかかることもあるため、カードと口座は並行して進めておくと待ち時間が減ります。

副業・会社員・個人事業主でも作れるか

会社員が副業をしている場合、法人を設立していなければ「法人カード」ではなく、個人事業主向けのビジネスカードが選択肢になります。屋号がなくても個人名で申し込めるものもあり、開業届の写しや、事業の実態が分かる書類の提出を求められることがあります。

ここで判断の分かれ目になるのが、事業として継続しているかどうかです。単発の収入しかない段階では、ビジネスカードより先に個人のクレジットカードを事業用に1枚分けて使い、記帳上の区別をつけるほうが現実的なこともあります。一方、毎月継続して経費が発生しているなら、支払いを分けるメリットが大きくなります。

なお、勤務先に副業の申告が必要かどうかは就業規則の問題で、カード会社とは別の話です。カードの申し込み自体は本業の勤務先とは独立して判断されるのが一般的ですが、気になる点があれば申し込み前に各社の案内を確認してください。

零細企業・ひとり社長・合同会社の場合の考え方

社員が自分ひとりの会社や、売上規模の小さい会社でも、法人カードの申し込み自体は可能です。ひとり社長の会社では、法人の財務内容が乏しい分、代表者個人の信用情報が重く見られる傾向があるため、個人のカードやローンの支払いを滞らせないことが実質的な準備になります。

合同会社でも株式会社でも、申し込みの流れや必要書類に大きな違いがない場合がほとんどです。「合同会社は不利」と言われることがありますが、会社形態そのものより、設立からの年数や決算内容、代表者の状況のほうが見られやすいと考えておくとよいでしょう。

零細企業で選ぶときの順番としては、①決算書なしで申し込めるか、②追加カード(従業員用)が必要か、③会計ソフトとの連携ができるか、の順に確認すると絞り込みやすくなります。利用枠の大きさや付帯サービスは、そのあとで比べても遅くありません。

申し込みの手順と、そろえておく書類

手順はおおむね共通です。まず、法人口座を開設し(引き落とし先に指定するため)、登記事項証明書を法務局またはオンラインで取得します。次に、代表者の本人確認書類を用意し、カード会社の申込フォームに会社情報・代表者情報・事業内容・希望する利用枠などを入力します。書類は郵送のほか、オンラインでアップロードできる会社も増えています。

入力時につまずきやすいのが、事業内容と年商の欄です。設立直後で実績がない場合も、見込みや事業計画に沿った内容を、実態と食い違わない範囲で記入します。記載内容と提出書類の社名・住所が一致しているかは、申し込み前に一度見直しておくと差し戻しを防げます。

審査結果が出るまでの期間は各社で異なり、書類の不備があるとさらに時間がかかります。設立直後で支払いのタイミングが迫っているなら、カードの到着を待たずに済むよう、当面の経費の支払い方法を別に決めておくと安心です。

審査に通らなかったときに見直す順番

否決の理由はカード会社から詳しく開示されないのが通常です。そのため、心当たりを順に潰していくことになります。まず見直すのは、①申込内容の記入ミスや書類との不一致、②代表者個人の支払い状況(携帯端末の分割払いを含む延滞の有無)、③短期間に複数社へ同時に申し込んでいないか、の3点です。

次に、事業の実態が伝わる状態かどうかを確認します。法人の固定電話やウェブサイト、事業用の住所、取引実績など、外から見て事業が動いていると分かる材料が増えると、状況が変わることがあります。時間をおいて再申し込みする場合も、この間に整えておくと無駄がありません。

なお、審査の基準は公表されていないため、「この条件なら通る」と言い切れるものではありません。通らなかった場合は、まず個人事業主向けのビジネスカードやデビット型の事業用カードで支払い手段を確保し、決算を1期終えてから改めて検討する、という進め方も現実的です。

よくある質問

設立前に法人カードは申し込めますか。

登記が完了していない段階では、法人名義のカードは原則として申し込めません。設立準備中の支払いは代表者個人のカードで立て替え、設立後に法人の経費として精算する形が一般的です。精算の処理方法は税理士にご確認ください。

決算書がなくても法人カードは作れますか。

決算書の提出を求めないと案内している法人カードもあり、設立1期目でも申し込めることがあります。必要書類はカードによって異なるため、各社の公式サイトで最新の申込条件を確認してください。

合同会社は株式会社より不利ですか。

会社形態そのもので扱いが分かれるとは限らず、設立からの年数や決算内容、代表者の信用情報のほうが見られやすい傾向があります。申込書類も両者で大きくは変わらないのが一般的です。

副業の会社員でもビジネスカードは持てますか。

法人を設立していない場合は、個人事業主向けのビジネスカードが選択肢になります。開業届の写しなど事業の実態が分かる書類を求められることがあるため、申し込み前に必要書類を確認しておくと安心です。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。