設立直後でも作れる法人カード|合同会社・ひとり社長の審査と選び方

・法人カード・決済・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

「決算書がないと法人カードは作れないのでは」——設立したばかりの会社で、いちばん多い不安がこれです。結論から言えば、決算書の提出を求めないカードは複数あり、設立1年未満でも合同会社でも申し込み自体は可能です。この記事では、審査で何が見られるのか、どの順番でカードを選べばよいのかを、ひとり社長・小さな会社の目線で整理します。

この記事の結論

  • 設立1年未満の会社や合同会社でも法人カードの申し込みは可能で、決算書の提出を必須としないカードもあります。
  • 設立直後の審査では、会社の実績よりも代表者個人の信用情報が見られる傾向があり、個人の支払い履歴を整えておくことが準備になります。
  • 登記完了前(開業前)は申し込めないことが多いため、法人番号・法人口座・会社所在地の3点がそろってから申し込むのが現実的な順番です。

設立直後でも法人カードは作れる?決算書は必要か

法人カード(ビジネスカード)の発行条件は、カード会社ごとに異なります。設立からの経過年数を条件に掲げるカードもあれば、年数を問わず申し込みを受け付けるカードもあり、「設立1年未満だから一律に不可」ということではありません。まずは、自社が申し込める土俵にあるかを、各カードの公式サイトの申込条件欄で確認するのが出発点です。

決算書についても同じで、提出を求めるカードと、求めないカードがあります。決算書不要とされているカードは、法人の財務状況ではなく、代表者個人の信用情報を中心に判断していると説明されることが多いようです。設立直後で決算期をまだ迎えていない会社は、この「決算書不要」型のカードが現実的な入口になります。

なお、審査の基準や通過の可否はカード会社が個別に判断するもので、外部から確定的に言えることはありません。この記事でも「通る」「通らない」は書けませんので、条件に合うカードを複数見比べ、申込条件を満たすものから順に検討する、という進め方をおすすめします。

合同会社・ひとり社長でも申し込める?株式会社との違い

会社形態については、株式会社・合同会社のどちらも対象としているカードが一般的です。申込フォームで法人格を選ぶ欄に合同会社が用意されているかを見れば、おおよその判断がつきます。合同会社だから不利、と一律に決めつける必要はありません。

ひとり社長の場合、追加カードを使う従業員がいないため、「追加カードの発行枚数」より「1枚のカードでどこまで完結するか」が選ぶ軸になります。具体的には、会計ソフトとの連携、利用明細のダウンロード形式、引き落とし口座に法人口座を指定できるか、といった点です。

逆に、これから人を雇う予定がある場合は、追加カードを後から発行できるか、社員ごとの利用限度をどう管理するかを先に確認しておくと、あとで作り直す手間が減ります。設立直後は「今の体制」より「1〜2年後の体制」で選んだほうが、結果的に手戻りが少なくなります。

設立直後の審査で見られているのは何か

設立して間もない会社には、当然ながら事業実績がありません。そのため、法人カードの審査では代表者個人の信用情報が重視される傾向があると説明されることが多くあります。個人のクレジットカードや各種ローンの支払い状況、携帯電話端末の分割払いの履歴なども、信用情報として記録されます。

準備としてできるのは、まず支払いの遅れをつくらないこと、そして申込時点で複数のカードに同時に申し込みすぎないことです。また、申込内容と登記内容(商号・所在地・代表者名)が一致しているかは、申し込む前に自分で確認できる範囲です。登記簿の表記と1文字でも違うと、確認に時間がかかることがあります。

このほか、固定電話番号やホームページ、会社宛ての郵便物が届く所在地など、事業の実体が確認しやすい状態にあるかも、一般には見られやすい要素とされます。バーチャルオフィスを利用している場合は、そのオフィスの利用を認めているカードかどうかを、申込条件で確認しておくと安心です。

開業前・登記前でも申し込める?申し込みの順番

登記が完了していない段階では、法人としての申し込みはできないのが通常です。法人番号が付与され、登記事項証明書が取得できる状態になってから、というのが基本的な順番になります。開業前に決済手段が必要な場合は、まず代表者個人のカードで立て替え、あとから法人へ精算するという運用をとる会社もあります。この精算処理の扱いは税務に関わるため、処理方法は税理士にご確認ください。

申し込みまでの現実的な流れは、①登記完了・登記事項証明書の取得、②法人口座の開設、③法人カードの申し込み、の順です。多くのカードで引き落とし口座に法人口座を指定するため、口座が先にないと手続きが止まります。法人口座の開設にも時間がかかることがあるので、設立手続きと並行して銀行の資料をそろえておくとスムーズです。

申込時に用意することが多いのは、登記事項証明書、代表者の本人確認書類、法人口座の情報などです。必要書類はカード会社ごとに異なり、追加で事業内容の説明を求められることもあります。最新の必要書類と申込条件は、各社の公式サイトで確認してください。

AとBで迷ったら、この順に見る:設立直後のカードの選び方

迷ったときは、次の順に絞ると決めやすくなります。第一に「申込条件を満たしているか」。設立年数や決算書の要否でふるいにかけ、申し込める候補だけを残します。ここで候補が1つしか残らないなら、それがいまの答えです。第二に「引き落とし口座に法人口座を指定できるか」。経費と個人の支出を分けることが、法人カードを持つ最大の目的だからです。

第三に「会計ソフトと連携できるか」。利用明細が自動で取り込めるかどうかで、毎月の記帳の手間が大きく変わります。使っている、あるいはこれから使う会計ソフトの連携先一覧に載っているかを確認してください。第四に「利用限度額の考え方」。広告費や仕入れをカードで払う予定があるなら、限度額の増額相談ができるかも見ておきたい点です。

付帯サービスやポイントは、上の4つを満たしたカードが複数残ったときの比較材料と考えると、判断がぶれません。年会費やポイント還元の条件は改定されることがあるため、金額や率はこの記事では触れず、各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。まずは1枚を作って経費の流れを一本化し、決算を1期終えてから、実績をもとに見直すという二段構えが現実的です。

作ったあとに整えておきたい運用

カードが届いたら、最初にやるべきは「このカードは会社の経費だけに使う」というルールを決めることです。個人の支出が混ざると、期末に一件ずつ仕分ける作業が発生します。ひとり社長ほど公私が混ざりやすいので、財布の中で物理的に分けておくと運用が安定します。

次に、利用明細の保存方法を決めます。電子で受け取った明細や領収書の保存には、電子帳簿保存法に関するルールが関係することがあります。考え方は国税庁の資料で公開されていますので、自社の保存方法が要件に沿っているかは、所管官庁の資料と顧問税理士の両方で確認しておくと安心です。

また、カードの利用と経費計上のタイミングがずれる点も押さえておきましょう。利用日と引き落とし日が異なるため、決算月をまたぐ取引の処理は判断が分かれることがあります。処理方法に迷ったら、自己判断せず税理士にご相談ください。

よくある質問

設立1年未満でも法人カードは申し込めますか。

設立年数を条件にしていないカードもあり、設立1年未満でも申し込み自体は可能です。ただし審査の可否はカード会社が個別に判断するため、事前に結果を保証することはできません。申込条件は各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。

決算書不要の法人カードは本当にありますか。

決算書の提出を必須としていないカードはあります。その場合、代表者個人の信用情報を中心に確認していると説明されることが多く、設立直後の会社にとって現実的な選択肢になります。提出書類はカードごとに異なるので、申込ページの必要書類欄をご確認ください。

合同会社でも株式会社と同じように作れますか。

多くのカードが株式会社・合同会社の両方を対象にしています。申込フォームの法人格の選択欄に合同会社があるかで見当がつきます。会社形態そのものより、申込条件を満たしているかと、代表者の信用情報のほうが見られやすいとされています。

法人口座がまだない状態で申し込めますか。

引き落とし口座に法人口座を指定するカードが多いため、口座開設を先に進めるのが一般的な順番です。口座開設にも時間がかかることがあるので、登記完了後すぐに銀行の手続きに着手しておくと、カードの申し込みまで滞りにくくなります。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。