会社の変更登記が必要になる場面一覧|必要書類・費用・期限の目安

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

会社をつくったあと、「これって登記し直さないといけないの?」と迷う場面は意外と多くあります。引っ越した、事業を増やした、役員が任期を迎えた、増資した——どれも登記簿の記載が変わる出来事です。この記事では、変更登記が必要になる代表的な場面を一覧で整理し、それぞれの必要書類の考え方、費用の調べ方、期限と日数の目安、そして自分で申請するか司法書士に頼むかの判断基準までをまとめます。

この記事の結論

  • 登記簿に書かれている事項(商号・本店・目的・役員・資本金・事業年度以外の定款事項など)が変わったときは、変更登記の申請が必要になります。
  • 会社法では、変更が生じたときから原則2週間以内に本店所在地で登記を申請することとされており、期限を過ぎると過料の対象となることがあります。
  • 必要書類は「株主総会議事録か取締役の決定書」+「変更内容を裏づける書類(就任承諾書・払込証明書など)」が基本形で、登録免許税は変更の種類ごとに決まっているため法務局の公式サイトで確認します。

そもそも「法人登記 変更」が必要になるのはどんなとき?

変更登記が必要かどうかは、シンプルに「登記簿(登記事項証明書)に書かれていることが変わったか」で判断します。自社の登記事項証明書を1通取り寄せて、記載項目を上から順に見ていくのがいちばん確実です。商号、本店、公告方法、目的、発行可能株式総数、発行済株式の総数、資本金の額、役員に関する事項、株式の譲渡制限に関する規定などが並んでいるはずです。

逆にいえば、登記簿に載っていないことは、変わっても登記の対象にはなりません。たとえば従業員の増減、事務所の中でのレイアウト変更、屋号やサービス名だけの変更(商号は変えない場合)、電話番号の変更などは、登記とは別の話です。ただし税務署や年金事務所への届出が必要になることはあるので、登記の要否と届出の要否は分けて考えてください。

また、定款を変更したからといって、すべてが登記事項とは限りません。事業年度の変更のように、定款変更は必要でも登記はしない項目もあります。この場合は税務署・都道府県・市町村への異動届の話になります。迷ったら「登記事項証明書に書いてあるか」を基準にしてください。

設立にかかる法定費用

どちらの形態でもかかる、国が定めた費用です。設立代行サービスの手数料は、これとは別にかかります。

項目株式会社合同会社
登録免許税(設立登記)資本金の額の1,000分の7。15万円に満たないときは1件につき15万円資本金の額の1,000分の7。6万円に満たないときは1件につき6万円
定款の認証手数料資本金100万円未満 3万円/100万円以上300万円未満 4万円/300万円以上 5万円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
定款の謄本(同一の情報の提供)1枚につき250円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
収入印紙(紙の定款の場合)4万円日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし
出典:国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)/日本公証人連合会 定款の認証に要する費用(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow09_4/9_4_q03)/日本公証人連合会 会社の定款手数料の改定(https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee)・2026-09-21確認

変更登記が必要になる場面一覧(よくある順)

ひとり社長や小さな会社で実際によく発生するのは、次のような場面です。①本店移転(同じ法務局の管轄内か、管轄外かで手続きが変わります)、②商号変更(社名変更)、③目的変更(事業目的の追加・削除)、④役員の変更(就任・辞任・死亡・住所変更、そして任期満了による重任)、⑤資本金の額の変更(増資・減資)、⑥株式の分割や発行可能株式総数の変更、⑦公告方法の変更、⑧支店の設置・廃止です。

このうち見落とされやすいのが、④の「重任」です。役員には任期があり、任期が満了すると、同じ人が続ける場合でも改めて選任して登記する必要があります。非公開会社で任期を最長に伸ばしている場合、10年に一度しか発生しないため忘れやすく、気づいたら何年も放置していた、という相談は珍しくありません。

もうひとつ注意したいのが、代表取締役の住所変更です。引っ越しは私生活の出来事ですが、代表取締役の住所は登記事項なので、変更登記の対象になります。なお代表取締役の住所については制度上の見直しの動きもあるため、最新の取扱いは法務省・法務局の公式情報を確認してください。

法人登記 変更の必要書類は? パターン別の基本形

必要書類は変更の種類ごとに違いますが、構造は共通しています。基本形は「①登記申請書」+「②決定した機関の議事録・決定書」+「③変更内容を裏づける書類」+「④必要に応じて印鑑証明書・委任状」です。この4点セットで考えると整理しやすくなります。

定款に書かれている事項(商号・目的・本店の最小行政区画・公告方法など)を変えるときは、株主総会の決議が必要になるため、②は株主総会議事録になります。あわせて株主リストの添付を求められるのが一般的です。一方、本店の具体的な番地の決定や、代表取締役の選定など、取締役の決定でできるものは取締役会議事録や取締役の決定書になります。

③の裏づけ書類は内容次第です。役員の就任なら就任承諾書、辞任なら辞任届、増資なら払込みがあったことを証する書面と募集事項を決めた議事録、といった具合です。就任する役員の本人確認証明書や印鑑証明書が要る場合もあります。書式や添付書類の細かい条件は法務局の公式サイトに申請書の記載例が公開されているので、該当パターンの雛形を見ながら準備するのが確実です。

費用はどう調べる? 登録免許税と司法書士報酬の考え方

変更登記の費用は、大きく「登録免許税(法務局に納める税金)」と「司法書士に依頼する場合の報酬」に分かれます。登録免許税は変更の種類ごとに法律で決まっており、商号変更、目的変更、本店移転、役員変更、増資など、それぞれ計算方法が異なります。増資のように資本金の額を基準に計算するものもあります。金額は改正されることがあるため、申請前に法務局・国税庁の公式サイトで最新の額を確認してください。

費用を抑えるコツは「まとめて申請する」ことです。たとえば本店移転と目的変更を同じタイミングで行う場合、別々に申請するより同時に申請したほうが手間も郵送費も減ります。ただし登録免許税は区分ごとにかかるのが原則なので、合算されて安くなるとは限りません。この点も事前に確認しておくと安心です。

司法書士に依頼する場合の報酬は事務所ごとに設定されており、変更の種類や難易度、急ぎかどうかで変わります。複数の事務所に見積もりを取り、「登録免許税を含む総額か、別途か」「登記事項証明書の取得や定款の修正まで含むか」を確認してから比較してください。

期限と日数の目安|「2週間以内」と「完了まで何日か」は別の話

まず期限です。会社法では、登記すべき事項に変更が生じたときは、原則としてその日から2週間以内に本店所在地で登記を申請することとされています。この「変更が生じた日」は、株主総会で決議した日や、就任を承諾した日、実際に本店を移転した日などを指します。期限を過ぎても申請自体は受け付けられますが、代表者個人に対して過料が科されることがあります。

次に日数です。申請してから登記が完了するまでの期間は、法務局や時期によって変わります。多くの法務局では窓口や公式サイトに「登記完了予定日」が掲示されているので、申請前後に確認してください。年度末や連休明けは混み合いやすい傾向があります。補正(不備の修正)が入るとさらに延びます。

実務でよくあるのは、「登記が完了してからでないと次に進めない」というケースです。新しい社名で銀行口座を切り替える、許認可の変更届を出す、取引先に新しい登記事項証明書を提出する——いずれも登記完了後に取得する証明書が必要になります。逆算して、登記完了予定日から2〜3週間の余裕を見てスケジュールを組むと安全です。

自分でやるか、司法書士に頼むか|迷ったらこの順に判断

判断の順番はシンプルです。第一に「変更が1種類だけで、パターンが定型か」。たとえば同一管轄内の本店移転だけ、目的を1つ追加するだけ、といったケースは、法務局の記載例を見ながら自分で申請している会社もあります。第二に「期限まで余裕があるか」。補正が入っても対応できる時間があるかどうかは大きな分かれ目です。

第三に「株主や役員の構成が単純か」。株主が社長ひとり、役員も社長だけ、という構成なら議事録も簡潔です。一方、株主が複数いる、種類株式がある、役員の一部だけ入れ替わる、増資や減資が絡む、といった場合は、決議の要件や添付書類の判断が細かくなります。ここに当てはまるなら、司法書士に依頼するほうが結果的に早く安く収まることが多い領域です。

第四に「他の手続きと連動するか」。許認可の更新、金融機関への届出、事業承継などが絡む場合は、登記の順序を間違えると全体が止まります。この場合も専門家に全体設計を相談したほうが安心です。

登記の申請代理は司法書士の業務です。書類の作り方や決議の要件で迷ったとき、期限をすでに過ぎてしまっているとき、複数の変更が重なるときは、早めに司法書士に相談してください。あわせて、登記後に必要な税務署・都道府県・市町村への異動届や、社会保険関係の届出については税理士・社会保険労務士に確認しておくと、抜け漏れを防げます。

よくある質問

法人登記の変更はいつまでにすればいいですか?

会社法では、登記すべき事項に変更が生じた日から原則2週間以内に申請することとされています。期限を過ぎても申請自体はできますが、代表者に過料が科されることがあります。遅れに気づいた時点で、できるだけ早く司法書士に相談してください。

社名(商号)を変えるときの必要書類は何ですか?

商号は定款の記載事項なので、株主総会での定款変更決議が前提になり、株主総会議事録と株主リストが基本の添付書類です。あわせて登記申請書と、新しい印鑑を使う場合は印鑑届書が必要になることがあります。具体的な書式は法務局の公式サイトの記載例で確認してください。

事業目的の変更だけでも登記は必要ですか?

目的は登記事項なので、追加・削除・文言修正のいずれでも変更登記の対象になります。許認可を取る前提で目的を追加する場合は、監督官庁が求める文言と一致しているかを先に確認しておくと、登記のやり直しを避けられます。

変更登記が完了するまで何日くらいかかりますか?

法務局や申請時期によって異なり、各法務局が登記完了予定日を公表しています。書類に不備があって補正が入るとさらに延びるため、登記完了後の証明書が必要な予定がある場合は、2〜3週間程度の余裕を見てスケジュールを組むことをおすすめします。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。