定款認証の手続き|公証役場の予約・必要書類・手数料と当日の流れ

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

株式会社をつくるとき、登記の前に立ちはだかるのが「定款認証」です。読み方は「ていかんにんしょう」。会社の基本ルールを書いた定款を、公証役場で公証人にチェックしてもらう手続きです。予約が要るのか、何を持って行くのか、いくらかかるのか——はじめての人がつまずきやすいところを、当日の流れに沿って順番に整理します。

この記事の結論

  • 定款認証とは、株式会社などの設立時に作成した定款を公証役場で公証人に確認してもらい、正式なものとして扱われるようにする手続きです。
  • 手続きは「定款の案を作る→公証役場に事前連絡して案を送り内容をチェックしてもらう→日時を予約→当日、発起人の印鑑証明書や身分証などを持参して認証を受ける」という順に進みます。
  • 費用は公証人の手数料のほか、紙の定款では収入印紙が必要とされ、電子定款では印紙が不要とされています。金額は日本公証人連合会や公証役場の公式情報で最新のものを確認してください。

定款認証とは?なぜ必要なのか

定款(ていかん)は、会社の目的・商号・本店所在地・資本金・機関設計などを書いた、会社の基本ルールです。定款認証とは、設立時に発起人が作ったこの定款を公証役場に持ち込み、公証人に内容と作成手続きを確認してもらうことをいいます。読み方は「ていかんにんしょう」です。

なぜ必要かというと、株式会社は出資者や取引先など多くの人が関わる器なので、設立の出発点となるルールが後から差し替えられたり、内容が法令に反していたりしないよう、第三者である公証人が確認する仕組みになっているためです。認証を受けていない定款では、法務局での設立登記が受け付けられません。

一方、合同会社(LLC)では定款認証は不要とされています。株式会社にするか合同会社にするかで迷っている段階なら、「認証の手間と費用がかかるかどうか」も比較材料のひとつになります。ただし、将来の資金調達や取引先の信用を重視するなら株式会社を選ぶ判断もあり、費用だけで決める話ではありません。

定款認証までの全体の流れ|どの順番で進めるか

おおまかな流れは、①会社の基本事項を決める、②定款の案を作る、③発起人全員の印鑑証明書を取得する、④管轄エリアの公証役場に連絡して案を事前チェックしてもらう、⑤日時を予約する、⑥当日に認証を受ける、⑦認証済み定款を持って法務局で設立登記、という順になります。

ポイントは、④の事前チェックを飛ばさないことです。いきなり当日に完成版を持ち込むと、目的の記載や本店所在地の書き方などで修正が入り、その場で認証できないことがあります。多くの公証役場ではメールやFAXで定款の案を先に送り、公証人が確認してから日時を決める運用がとられています。

公証役場は、会社の本店所在地を管轄する法務局・地方法務局に所属する役場を選びます。同じ都道府県内であればどの役場でもよいとされるのが一般的ですが、自分のケースでどこが対象になるかは、行く予定の公証役場に電話で確認するのが早いです。

公証役場の予約はどうする?事前チェックの依頼のしかた

予約は電話かメールで行うのが一般的です。最初の連絡では「株式会社を設立するので定款認証をお願いしたい」「発起人は何名か」「代理人が行くか、発起人本人が行くか」を伝えると、その後の案内がスムーズです。担当の公証人が決まり、定款案の送付先を教えてもらえます。

定款案を送ると、公証人が内容を確認して修正点を返してくれます。ここで整えたうえで、認証日を予約します。修正のやり取りに数日かかることもあるので、「この日までに登記を申請したい」という希望日があるなら、逆算して1〜2週間ほど余裕をみておくと安心です。

近年は、テレビ電話(ウェブ会議)を使った認証に対応する公証役場もあります。遠方に住んでいる、本店所在地と現住所が離れている、といった事情がある場合は、対応可否と必要な準備を予約時に相談してみてください。対応状況は役場ごとに異なるため、公式サイトや電話で確認するのが確実です。

定款認証の必要書類と持ち物|当日に忘れやすいもの

一般的に案内されることが多いのは、次のものです。認証を受ける定款(公証人の指示どおりの部数)、発起人全員の印鑑証明書(発行後の期間に制限があるとされるので取得時期に注意)、発起人の実印、本人確認できる身分証明書、認証にかかる費用です。会社の実印は認証の場面では使いませんが、登記まで考えると早めに作っておくと流れがよくなります。

発起人本人が行けない場合は、委任状が必要です。定款委任状には、発起人が代理人に定款認証の手続きを委任する旨を記載し、発起人が実印を押します。委任状の書式や、定款そのものに発起人の実印を押すかどうかは公証役場の指示に従ってください。代理人自身の本人確認書類も持参します。

あわせて、設立する会社の「実質的支配者となるべき者の申告」が求められる運用になっています。誰が議決権の多くを持つのかを申告する書類で、書式は公証役場から案内されます。ひとり社長で発起人も自分ひとりなら記入自体は難しくありませんが、出資者が複数いる場合は事前に持分を整理しておきましょう。

定款認証の費用はいくら?内訳の考え方

定款認証でかかるお金は、大きく「公証人の認証手数料」「定款の謄本(写し)の交付にかかる費用」「紙の定款の場合の収入印紙」に分かれます。手数料は資本金の額などによって区分が設けられている扱いになっており、金額は日本公証人連合会や各公証役場の公式サイトで最新のものを確認してください。

紙で定款を作る場合は収入印紙を貼る取り扱いとされていますが、電子データで作成・電子署名した「電子定款」では印紙が不要とされています。電子定款にするには電子署名の環境(マイナンバーカードと対応ソフト、またはそれに代わる仕組み)が必要で、自分で一から揃えると手間がかかるため、専門家や会社設立支援サービスに依頼して電子定款にしてもらうケースもよくあります。

判断の順番としては、まず「自分で電子署名の環境を用意できるか」を見ます。できるなら電子定款、できないなら「専門家に依頼したときの報酬と、紙の定款で印紙を貼る場合の負担」を比べる、という考え方が分かりやすいです。依頼先の費用は事務所ごとに異なるので、見積もりを取って比較してください。

当日の流れと、認証後にやること

当日は予約時間に公証役場へ行き、身分証で本人確認を受けます。公証人から定款の内容について簡単な確認があり、必要な署名・押印をして、費用を支払います。事前チェックが済んでいれば、その場での所要時間はそれほど長くならないのが通常です。支払い方法は現金のみの役場もあるため、予約時に確認しておくと安心です。

認証が終わると、認証済みの定款(謄本)を受け取ります。これは設立登記の添付書類になるほか、法人口座の開設や各種届出で提示を求められることがあります。原本は大切に保管し、必要に応じてコピーやPDFを手元に用意しておくと後が楽です。

認証の後は、資本金の払込み、登記申請書類の準備、法務局への設立登記申請と進みます。登記が完了したら、税務署・都道府県・市区町村への届出、年金事務所での社会保険の手続き、法人口座の開設と続きます。定款認証はゴールではなく、設立手続きの折り返し地点だと考えておくとスケジュールを組みやすくなります。

つまずきやすいポイントと、専門家に相談したほうがよい場面

よくあるつまずきは、①事業目的の書き方が曖昧で修正になる、②印鑑証明書の取得が早すぎて有効期間を外れる、③発起人が複数いて全員分の書類が揃わない、④本店所在地の表記(番地まで書くか、最小行政区画までにするか)を決めきれない、の4つです。いずれも事前チェックの段階で公証人に相談すれば解消できます。

許認可が必要な事業(建設業、宅建業、古物商、飲食業、人材派遣など)を予定しているなら、定款の事業目的の書き方が許認可の審査に影響することがあります。この場合は定款を作る前に、許認可を扱う行政書士や、登記を扱う司法書士に相談しておくと、後からの定款変更を避けやすくなります。

資本金の額、株式の設計、役員構成、決算期の決め方などは、税務や今後の資金調達にも関わります。判断に迷う部分が出てきたら、登記手続きは司法書士、税務の影響は税理士、従業員を雇う予定があれば社会保険労務士へ、早い段階で相談してみてください。設立後に変更するより、最初に整えておくほうが手間も費用も抑えやすくなります。

よくある質問

定款認証は本人が行かないとダメですか?

代理人でも手続きできるとされており、その場合は発起人が実印を押した委任状と、代理人の本人確認書類が必要になります。発起人が複数いるときは、代表者以外の分も委任状を用意する運用が一般的です。必要な書式は予約時に公証役場へ確認してください。

定款認証にかかる日数はどれくらいですか?

定款案の事前チェックに数日かかることがあり、修正のやり取りを含めて1〜2週間の余裕をみておくと安心です。事前チェックが終わっていれば、当日の手続き自体はそれほど時間がかからないのが通常です。急ぐ事情があれば、予約の電話で相談してみてください。

合同会社でも定款認証は必要ですか?

合同会社の設立では定款認証は不要とされています。ただし定款そのものは作成が必要で、登記の添付書類になります。株式会社と合同会社のどちらにするかは、認証の手間だけでなく、信用や将来の資金調達も含めて考えるのがよいでしょう。

電子定款にすると何が違いますか?

紙の定款では収入印紙を貼る取り扱いとされますが、電子定款では印紙が不要とされています。一方で電子署名の環境を用意する必要があり、自分で揃えるか専門家に依頼するかで負担が変わります。費用の比較は各事務所の見積もりや公式情報で確認してください。

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