社内の情報共有ツールの比較|小さな会社での選び方と無料で使える範囲

・会議・情報共有・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

「社内の情報共有がうまくいかない」と感じたとき、多くの人はまずツールを探します。ただ、少人数の会社では新しいツールを増やすほど情報が散らばり、かえって探せなくなることがあります。この記事では、情報共有ツールの種類をおおまかに整理したうえで、すでに使っているTeamsやGoogle Workspaceで足りるのか、それとも別のツールを足すべきなのかを、判断の順番に沿って説明します。無料で使える範囲の考え方と、導入の進め方もあわせてまとめます。

この記事の結論

  • 社内の情報共有ツールは、流れる情報を扱う「チャット型」、貯める情報を扱う「ドキュメント/wiki型」、スケジュールや申請までまとめる「グループウェア型」の3つに大きく分けて考えると選びやすくなります。
  • すでにMicrosoft 365やGoogle Workspaceを契約している会社は、Teams(またはGoogle Chat+ドライブ)でまず運用してみて、足りない点がはっきりしてから追加のツールを検討する順番が無駄になりにくいです。
  • 多くのツールに無料で使える範囲がありますが、利用人数・保存容量・過去メッセージの閲覧範囲・管理機能に制限が設けられていることが多いため、条件は各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。

社内の情報共有ツールにはどんな種類があるのか

情報共有ツールと一口に言っても、得意なことはかなり違います。おおまかには、日々のやりとりが流れていく「チャット型」、手順やルールを貯めておく「ドキュメント型・社内wiki型」、予定表や設備予約、簡単な申請までひとまとめにした「グループウェア型」の3つに分かれます。加えて、案件の進み具合を管理する「タスク・プロジェクト管理型」や、ファイルそのものを置く「クラウドストレージ型」も、広い意味では情報共有の道具です。

ここでつまずきやすいのが、「流れる情報」と「貯める情報」を同じ場所に置いてしまうことです。チャットは会話が速い反面、大事な決定事項が過去ログに埋もれます。逆にドキュメントだけだと、ちょっとした相談がしづらくなります。小さな会社でも、この2種類は置き場所を分けておくと後が楽になります。

まずは自社で困っていることが「やりとりが遅い・見落とす」なのか、「前に決めたことが見つからない」なのかを言葉にしてみてください。前者ならチャット型、後者ならドキュメント型が出発点になります。両方なら、チャットとドキュメントの両方を持つツール群を候補にします。

Teamsなど既存ツールで足りる? まず確認する順番

新しいツールを探す前に、いま契約しているものを棚卸しします。Microsoft 365を使っているならTeams、ChannelsとファイルのためのSharePoint、メモのためのOneNoteやLoopが、追加契約なしで使えることがあります。Google Workspaceなら、Google Chat・ドライブ・ドキュメント・サイトがその役割を担います。すでに料金を払っているものを使い切らないまま別のツールを足すと、費用も学習コストも二重になります。

判断の順番としては、①いま契約中のグループウェアやオフィススイートに、チャット機能とドキュメント共有機能があるか、②社内の全員がすでにアカウントを持っているか、③外部の取引先や業務委託メンバーを招く必要があるか、の3点を上から見ていきます。①と②が満たされているなら、まずはそこで運用を始めるのが自然です。

Teamsで足りなくなりやすいのは、「社内の手順書やナレッジを、検索して誰でもすぐ見つけられる状態にしたい」というときです。チャットとファイル置き場はあっても、記事として整理して読ませる用途は工夫が要ります。この不足がはっきり見えてきた段階で、社内wiki型やドキュメント型のツールを足す、という順番なら失敗しにくいでしょう。

逆に、パソコンをあまり使わない現場スタッフが多い、スマホだけで完結させたい、といった事情があるなら、既存ツールにこだわらずスマホ前提で設計されたサービスを比べる価値があります。

無料で使える範囲はどこまで? 制限のどこを見るか

情報共有ツールの多くには無料で使える範囲があり、少人数のうちはそれで回ることもあります。ただし制限の置き方はサービスごとに違うので、次の4点を比較すると判断しやすくなります。すなわち、利用できる人数、保存容量とファイルサイズ、過去のメッセージや履歴をどこまでさかのぼれるか、そして管理者機能(権限設定、ログ、アカウントの一括管理)です。

小さな会社で後から効いてくるのは、3つめの「過去をさかのぼれるか」と、4つめの「退職者のアカウント処理」です。無料の範囲では過去ログの閲覧に制限がある場合があり、決定事項を後から確認できないことがあります。人の出入りがある会社では、アカウントを止めたときにデータがどうなるかも、導入前に確認しておきたい点です。

無料で始めること自体は現実的な選択です。その際は「無料のまま使い続ける前提」ではなく、「人数が増えたら有料に切り替える」前提で、移行のしやすさ(データのエクスポートができるか)も見ておくと安心です。料金や無料枠の条件は変わることがあるため、各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。

タイプ別の比較:どんな会社にどれが向くか

チャット型が中心で足りるのは、メンバーが数人で、業務の内容が日々変わり、口頭に近いやりとりが多い会社です。決定事項だけをチャンネルにピン留めしたり、月に一度まとめ直したりする運用でしばらく持ちます。逆に、同じ質問が何度も来る、引き継ぎのたびに説明し直している、という状態ならドキュメント型を足す合図です。

ドキュメント型・社内wiki型が向くのは、手順が決まっている業務が多い会社や、業務委託・パートの入れ替わりがある会社です。「経費精算のやり方」「請求書の送り方」といった記事を置いておけば、教える時間が減ります。文書の作りやすさより、検索して見つかるかどうかを基準に選ぶとよいでしょう。

グループウェア型が向くのは、スケジュール共有や設備予約、簡単な稟議・届出までまとめて一か所にしたい会社です。機能が多いぶん、使いこなす人が社内にいないと宝の持ち腐れになりがちなので、「誰が管理するか」を決められるかが導入の前提になります。

タスク管理ツールは、情報共有ツールの代わりにはなりません。案件の進行を可視化したいときに、チャットやドキュメントと組み合わせて使うものと考えるのが現実的です。ツールを増やすほど「どこに書けばいいか」の迷いが増えるので、小さな会社では合計2〜3種類までに収めることをおすすめします。

導入の進め方:いつ、何を決めて、どう切り替えるか

導入は、期の変わり目や人が増えるタイミングなど、区切りのよい時期に合わせると定着しやすくなります。まず1〜2週間前に、置き場所のルールをA4一枚程度に書きます。内容は「日々の相談はここ」「決定事項はここ」「手順書はここ」「ファイルの正本はここ」の4行で十分です。ルールが長いと誰も読みません。

次に、少人数(2〜3人)で試用します。この段階で、既存のTeamsやGoogle Workspaceで代替できないかをもう一度確認してください。試用で「これは既存ツールでもできる」と分かれば、導入をやめる判断も立派な結論です。試用後、全員に使い方を15分程度で説明し、切り替え日を決めます。

切り替えのときは、古いツールを「読めるが書けない」状態にして、新しい場所に書き込みを寄せるのが実務的です。移行するのは、よく参照される資料だけで構いません。過去のやりとりをすべて移そうとすると、そこで止まります。

運用が始まったら、1か月後に一度振り返る場をつくります。「探したのに見つからなかったもの」を挙げてもらい、置き場所のルールを直します。ツール選びより、この見直しの有無で使われ方が決まると言ってもよいくらいです。

情報共有ツールを選ぶときに見落としがちな点

社内の情報には、給与、マイナンバー、取引条件、個人の評価など、見せる相手を絞りたいものが含まれます。ツールを選ぶ段階で、フォルダやページごとに閲覧権限を分けられるか、管理者が誰なのかを決めておいてください。少人数のうちに権限設計を決めておくと、人が増えたときに作り直さずに済みます。

会計や請求に関する書類をツール上でやりとりする場合、電子帳簿保存法やインボイス制度との関係で、保存の仕方に一定の考え方が求められることがあります。情報共有ツールは「共有の場」であって「保存の正本」とは別に管理したほうが整理しやすい場面もあります。要件の詳細は国税庁など所管官庁の資料を確認し、自社の処理が適切かは税理士にご確認ください。

また、従業員に業務時間外のチャット対応を求める形になっていないか、労務面の目配りも必要です。通知の扱いや連絡してよい時間帯を最初に決めておくと、後のトラブルを避けやすくなります。労働時間の取り扱いについて判断に迷う場合は、社会保険労務士に相談すると整理が進みます。

ツール選びは、税務・労務の運用とつながっています。書類の保存方法や在宅勤務時の連絡ルールなど、判断が難しいところが出てきたら、顧問の税理士や社会保険労務士、契約面であれば弁護士に早めに相談してください。自社の事情を踏まえた助言を受けたほうが、結果的に手戻りが少なくなります。

よくある質問

Teamsだけで社内の情報共有は足りますか?

人数が少なく、やりとりが中心の会社であれば、Teamsとそれに紐づくファイル共有・メモ機能でしばらく運用できることが多いです。同じ質問が繰り返される、過去の決定が探せない、といった状態が続くようなら、検索しやすい社内wiki型のツールを足すタイミングと考えられます。まずは既存の契約内で試してから追加を検討する順番がおすすめです。

無料の情報共有ツールで会社の業務を回しても問題ないですか?

少人数であれば無料の範囲で運用している会社もあります。ただし、利用人数・保存容量・過去ログの閲覧範囲・管理者機能に制限が設けられていることが多いため、導入前に確認してください。条件は変更されることがあるので、各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

ツールは何種類くらいに絞るべきですか?

小さな会社では、チャット型とドキュメント型を1つずつ、必要ならファイル置き場を加えた2〜3種類に収めると迷いが少なくなります。種類が増えるほど「どこに書けばいいか」の判断コストが上がり、結局どこにも書かれない状態になりがちです。増やすときは、既存のツールで代替できないかを先に確認してください。

社内の情報共有ツールに給与や契約書を置いてもよいですか?

置く場合は、閲覧権限をページやフォルダ単位で分けられること、管理者を明確にしておくことが前提になります。会計・税務関係の書類は保存方法に一定の考え方が求められることがあるため、所管官庁の資料を確認したうえで、自社の運用が適切かは税理士にご確認ください。契約書の取り扱いで迷う場合は弁護士への相談も検討してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。