法人登記で使える文字と会社名の表記ルール|アルファベット・スペース
会社名が決まりかけたところで、「この記号は登記できるのか」「英語表記のスペースはどうなるのか」で手が止まる人はとても多いです。商号に使える文字と符号は、商業登記のルールとしてある程度はっきり決まっています。この記事では、使える文字の範囲、記号を置ける位置、スペースの条件、フリガナの扱い、そして社名を決めてから登記に出すまでの順番を、判断できる形で整理します。
この記事の結論
- 法人登記の商号には、漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字(大文字と小文字)・アラビア数字のほか、アンパサンド、アポストロフィー、コンマ、ハイフン、ピリオド、中点といった一部の符号を使うことができます。
- 符号は原則として字句を区切るために使うもので、商号の先頭や末尾には置けない扱いが一般的です(省略を表すピリオドは末尾に置ける扱いがあります)。
- スペースはローマ字で表記する場合に字句の間に限って使え、商号のフリガナは登記事項ではなく、法人番号の公表などに使うため別途届け出る形になります。
法人登記で使える文字は?まず結論から
商号(会社名)の登記に使える文字は、日本語の文字であれば漢字・ひらがな・カタカナです。これに加えて、ローマ字(アルファベットの大文字・小文字)とアラビア数字(0〜9)が使えます。つまり「株式会社みらい商会」「カブシキガイシャ〇〇」「株式会社ABC」「株式会社365」のような表記は、いずれも文字としては問題になりにくい組み合わせです。
さらに、限られた符号として、アンパサンド(&)、アポストロフィー(')、コンマ(,)、ハイフン(-)、ピリオド(.)、中点(・)を使うことができます。逆に言えば、この6つ以外の記号、たとえば「!」「?」「+」「*」「@」「♪」「★」「()」などは、商号の文字としては認められない扱いになります。
ローマ数字(Ⅰ、Ⅱ)や、○の中に文字が入った記号、絵文字のたぐいも使えません。ロゴやWebサイトでは自由にデザインできますが、登記簿に載る正式名称は、この範囲に収めて考えるのが出発点になります。判断に迷う記号が出てきたら、設立する会社の本店所在地を管轄する法務局に、事前に確認しておくと安心です。
ハイフン・ピリオド・&はどこに置ける?符号の位置ルール
使える6つの符号には、「どこに置いてよいか」という位置のルールがあります。基本の考え方は、符号は字句と字句を区切るために使うもの、というものです。そのため、商号の先頭や末尾に符号を置くことは、原則としてできない扱いになっています。「-エース株式会社」「株式会社アルファ&」のような形は難しいと考えてください。
例外として知られているのが、ピリオドの扱いです。ピリオドは省略を表す記号として、字句の末尾に用いることができる扱いがあります。「株式会社A.B.C.」のように、略語の後ろに付ける形は認められることがあります。一方で、意味のない装飾としてピリオドを並べる使い方は想定されていません。
また、符号を連続して並べる(「A--B」「A&&B」など)使い方も、区切りという趣旨から外れるため避けたほうが無難です。「株式会社A&B」「株式会社Smith's」「ABC-Japan株式会社」のように、区切りとして自然に読める位置に1つ置く、という感覚で組み立てると、ルールから外れにくくなります。
会社名にアルファベットとスペースは使える?ローマ字表記の条件
アルファベット(ローマ字)は、大文字も小文字も使えます。「株式会社abc」「AbC株式会社」のような表記も、文字としては使用できる範囲です。ただし、読み手にとって紛らわしい表記は、取引先の書類や請求書で誤記が起きやすくなります。大文字・小文字の使い分けは、決めたら社内外で統一できるかどうかを基準に考えるとよいでしょう。
スペース(空白)については、条件が付きます。ローマ字を用いて表記する場合に、字句を区切るためのスペースを使うことができる、という整理です。たとえば「株式会社Blue Sky」「Green Field株式会社」のように、英単語の間に1つ空白を入れる形です。一方、日本語のみの商号でスペースを入れる(「株式会社みらい 商会」など)ことは、認められない扱いになります。
スペースも符号と同じく、商号の先頭や末尾には置けません。また、複数の空白を連続させる使い方も想定されていません。英語表記を入れたい場合は、「ローマ字部分の単語と単語の間に、半角スペースを1つ」という形が基本と考えてください。なお、商号中のローマ字を全角で書くか半角で書くかは、登記の申請書に記載したとおりに記録されますので、書類ごとにブレないよう決めておくことをおすすめします。
法人登記にフリガナは必要?ふりがなの扱い
結論から言うと、商号のフリガナは登記事項ではありません。登記簿に載るのは商号そのもので、読み方は記録されないのが通常です。そのため、登記申請書に「ふりがな欄」があるわけではありません。
一方で、会社を設立すると国税庁から法人番号が指定され、商号・所在地とあわせて法人番号公表サイトに公表されます。この公表情報にはフリガナが含まれるため、フリガナは設立時の届出などを通じて別に伝える形になります。具体的にどの書面でどう届け出るかは、時期によって取り扱いが変わることがあるため、国税庁の案内や、設立時に提出する届出書の記載欄を確認してください。
実務上は、アルファベットを含む社名や造語の社名ほど、フリガナを早めに決めておく価値があります。銀行口座の名義、社会保険や労働保険の手続、取引先の取引先マスタ登録など、カタカナ表記を求められる場面が続くためです。「株式会社ABC」を「エービーシー」と読ませるのか「アルファベット読みを避けた別の呼び方」にするのかを、設立前に社内で1つに決めておくと、あとの書類が揃います。
文字は使えても登記できないことがある?名称の制限
文字のルールをクリアしても、商号そのものが認められない、あるいは避けたほうがよいケースがあります。まず、会社の種類を表す文字を商号に入れることが求められます。株式会社なら「株式会社」、合同会社なら「合同会社」を、前に付けるか後ろに付けるかを決めて入れます。「Inc.」「Co., Ltd.」「LLC」といった英語表記だけでは、日本の登記上の会社種類の表示にはなりません。
次に、同一の本店所在地に同一の商号がある場合、その商号では登記できません。バーチャルオフィスやシェアオフィスのように、同じ住所に多くの会社が入る場所を本店にするときは、この点の確認が実務上重要になります。管轄の法務局で商号調査ができるほか、法人番号公表サイトなどでも近い名称を探せます。
さらに、「銀行」「信託」「保険」など、特定の業種でなければ使えないとされている文字があります。「〇〇株式会社大阪支店」のように、会社の一部門であるかのように誤解させる文字を商号に含めることも認められません。加えて、住所や所在地が違っても、著名な会社名と紛らわしい商号を使うと、不正競争防止法や会社法上のトラブルにつながることがあります。似た名前が見つかった場合は、登記できるかどうかとは別問題として、弁護士や司法書士に相談したうえで判断してください。
会社名を決めてから登記に出すまでの手順
順番としては、まず候補を3つほど出します。このとき、①使える文字と符号の範囲に収まっているか、②会社種類の文字を前後どちらに付けるか、③フリガナをどう読ませるか、の3点をセットで書き出してください。ここまでを1枚のメモにしておくと、以降の書類でブレません。
次に、同一商号の確認と、似た名称の調査をします。本店所在地が決まったら、その住所での同一商号の有無を確認します。あわせて、インターネット検索や商標の確認もしておくと、後からのサイト名・サービス名の衝突を避けやすくなります。商標については、特許庁のデータベースで検索できますが、判断が難しいときは弁理士や弁護士への相談を検討してください。
商号が固まったら、定款に記載します。株式会社であれば公証役場での定款認証を経て、設立登記の申請を法務局に行います(合同会社は定款認証が不要です)。登記申請では、定款・申請書・印鑑関係の書類などを、本店所在地を管轄する法務局に提出します。商号の1文字でも定款と申請書で食い違うと補正になりますので、大文字小文字、スペースの有無、符号の位置は、コピー&ペーストで揃えるのが安全です。
設立後は、税務署・都道府県・市区町村への届出、年金事務所への手続、銀行口座の開設と、同じ商号を何度も書く場面が続きます。最初に決めた表記とフリガナのメモを、そのまま使い回してください。なお、商号は後から変更登記もできますが、登録免許税や各所への変更手続が発生します。迷う要素が残っているなら、設立前に司法書士に相談し、登記できる表記かどうかを確認しておくと、やり直しを減らせます。
よくある質問
会社名を全部アルファベットの小文字にできますか?
ローマ字は大文字・小文字のどちらも商号に使えるため、小文字だけの表記も文字のルール上は可能と考えられます。ただし、会社の種類を表す「株式会社」などの文字は必要です。銀行や取引先のシステムで大文字に変換されることもあるため、社内での表記ルールを決めておくと混乱を避けられます。
日本語の社名の間にスペースを入れられますか?
スペースは、ローマ字を用いて表記する場合に字句を区切るために使えるもので、漢字やカタカナだけの商号に入れることは認められない扱いです。区切りを見せたい場合は、中点(・)を使う方法が検討できます。具体的な表記が登記できるかどうかは、管轄の法務局に事前に確認してください。
「+」や「!」など使いたい記号があるのですが登記できますか?
商号に使える符号は、アンパサンド、アポストロフィー、コンマ、ハイフン、ピリオド、中点に限られる扱いのため、それ以外の記号は登記上使えないと考えてください。ロゴやサービス名として記号を使い、登記する正式名称は別に整える、という分け方をしている会社もあります。
登記の後で会社名を変えることはできますか?
商号変更の登記をすることで変更は可能ですが、株主総会の決議や定款変更、登録免許税、税務署や年金事務所などへの変更届、口座名義や契約書の書き換えといった手続が続きます。負担が小さくないため、設立前に表記まで固めておくほうが現実的です。手続の範囲や費用は、司法書士や税理士に確認してください。