法人カードは何に使うか|経費の支払いをカードに寄せる範囲の決め方
法人カードをつくったものの、「結局どの支払いをカードにすればいいのか」で手が止まる方は多いです。答えはシンプルで、毎月繰り返す支払いと、ネットでの少額購入から寄せていくのが分かりやすい形です。この記事では、カードに寄せる範囲の決め方を、判断の順番つきで整理します。
この記事の結論
- 法人カードは「毎月繰り返す支払い」と「ネットでの少額購入」から寄せると、経理の手間が減りやすくなります。
- 口座振替のままでよいのは、税金・社会保険料・家賃など、支払い方法が指定されていたり金額が大きく固定されている支払いです。
- 現金に残すのは、カードが使えない相手や少額の立替だけにし、その場合も領収書の回収ルールを決めておきます。
法人カードは何に使うのか|まず寄せるべき3つのかたまり
法人カードの使い道を考えるとき、「使えるところ全部」と考えると判断が止まります。先に寄せるかたまりを3つに絞ると決めやすくなります。1つ目は、毎月繰り返す固定的な支払い。クラウド会計やチャット、ストレージなどのソフトウェア利用料、携帯電話やインターネット回線、サーバー代などです。
2つ目は、ネットでの少額購入です。事務用品、書籍、備品、パソコン周辺機器など、都度支払いが発生するものは、カードにまとめると支払い記録が1か所に集まります。3つ目は、出張や移動に関する支払いです。交通機関の予約、宿泊、レンタカーなどは、カード払いを前提にした予約サイトが多く、立替精算をなくしやすい領域です。
この3つを寄せるだけで、月の支払い件数のかなりの部分がカード明細に集まります。まずここまでを終わらせてから、残った支払いを1件ずつ見ていくのが、いちばん迷いの少ない進め方です。
ネットショッピングやAmazonでの仕入れはカードに寄せてよいか
ビジネスカードでのネットショッピングは、法人カードの使い道として中心になる部分です。Amazonをはじめとするネット通販では、法人向けの購買アカウントを用意しているサービスもあり、支払い方法に法人カードを登録できることが一般的です。購入者ごとにアカウントを分けられる仕組みがあれば、誰が何を買ったかが追いやすくなります。
ネット通販を経費で使うときに詰まりやすいのは、証憑の扱いです。通販サイトの注文履歴画面そのものではなく、領収書や購入明細としてダウンロードできる書類を保存しておくと、後の確認がしやすくなります。電子で受け取った書類の保存方法には電子帳簿保存法の考え方が関わるため、具体的な保存要件は国税庁の資料や顧問税理士にご確認ください。
もう1点、私物と業務用が同じアカウントに混ざるのは避けたいところです。個人利用のアカウントに法人カードを登録すると、明細を見ても業務分の切り分けが難しくなります。業務用アカウントを分け、そこにだけ法人カードを登録する、という運用にしておくと後が楽です。
百貨店での贈答品や接待の支払いはどう扱うか
お中元・お歳暮や、取引先への手土産を百貨店で買う場面もあります。高島屋のような百貨店でも法人カードでの支払いは一般的にできますが、ここで大事なのは決済手段より記録の残し方です。誰に・どういう目的で贈ったかをメモしておかないと、あとから用途が説明できなくなります。
贈答や接待は、支出の性質によって帳簿上の扱いが分かれることがあります。交際費として扱われるのか、広告宣伝や会議に関する費用として扱われるのかは、相手先や目的によって判断が変わるため、迷う支出は税理士にご確認ください。カード明細だけでは目的が残らないので、領収書の裏か会計ソフトの摘要欄に、相手先名と用件を一言足す習慣をつけておくことをおすすめします。
なお、百貨店やギフトカウンターでは、法人名義のカードで支払う際に本人確認を求められることがあります。社名が入ったカードを社員が使う場合は、あらかじめ社内で使用のルールを決めておくと現場で困りません。
口座振替や現金のまま残したほうがよい支払い
すべてをカードに寄せる必要はありません。まず口座振替のままにしておきやすいのは、税金や社会保険料、家賃、リース料のように、支払い方法が指定されていたり、金額が大きく固定されている支払いです。これらはカード払いに対応していないことも多く、無理に寄せる意味が薄い領域です。
次に現金です。現金は、カードが使えない小規模な取引先への支払いや、急な少額の立替に限って残すのが扱いやすい形です。現金の出番が多いほど、領収書の回収と小口現金の管理という手間が増えます。減らす方向で考えるのが基本です。
判断に迷ったら、この順で見てください。①支払い方法が相手に指定されているか→指定があればそれに従う。②毎月繰り返すか→繰り返すならカードに寄せる。③金額が小さくネットで完結するか→そうならカード。④どれにも当てはまらない単発の支払い→振込で処理し、記録を残す。この4段階で、ほとんどの支払いは行き先が決まります。
法人カードに寄せる利点と、寄せすぎたときに起きること
ビジネスカードの利点として分かりやすいのは、支払い記録が明細として一本化されることです。会計ソフトと連携させれば、明細が自動で取り込まれ、入力の手間が減ります。立替精算が減るのも大きく、社員に一時的な持ち出しをさせずに済みます。支払日がまとまることで、資金繰りの見通しも立てやすくなります。
一方で、寄せすぎると起きることもあります。利用限度額に近づいて必要な支払いが通らない、明細の件数が増えて確認が追いつかない、私的利用との線引きが曖昧になる、といった問題です。特に複数人にカードを持たせる場合は、誰がどの範囲まで使ってよいかを文章にしておかないと、後から個別に確認する手間が発生します。
対策はシンプルです。使ってよいカテゴリを列挙する(ソフトウェア、備品、交通・宿泊など)、1件あたりの金額が一定額を超える場合は事前に相談する、月末までに領収書を提出する。この3点を1枚の社内メモにまとめておけば、運用はかなり安定します。カードの限度額や利用条件は各社で異なるため、発行前に公式サイトで最新の条件を確認してください。
今日から進める手順|1か月で支払いを整理する
最初の1週間は、棚卸しです。直近1か月分の通帳と、既存の支払い一覧を印刷して、支払先・金額・支払い方法・毎月かどうかを一覧にします。ここで「毎月繰り返すもの」に印をつけておきます。
次の2週間で、印をつけたもののうちカード払いに対応しているサービスの支払い方法を変更します。各サービスの管理画面から支払い方法を差し替える作業が中心で、変更後に最初の請求が正しくカードに乗ったかを1回だけ確認します。同時に、業務用のネット通販アカウントを用意し、法人カードを登録します。
最後の1週間で、社内ルールを文書にします。使ってよいカテゴリ、領収書の提出期限と提出先、カードが使えないときの対応(立替か振込か)を書き、会計ソフトの連携設定を済ませます。ここまでやると、翌月からは明細を見るだけで月次の大半が把握できる状態になります。
よくある質問
法人カードと個人のクレジットカードを兼用してもよいですか。
事業用と個人用を同じカードにすると、明細から経費分を1件ずつ抜き出す作業が毎月発生します。手間と確認のしやすさを考えると、事業用の支払いは事業用のカードに分けておくほうが運用しやすいです。税務上の取り扱いで迷う点は税理士にご確認ください。
ビジネスカードでAmazonなどのネット通販を使うとき、領収書はどう保存しますか。
多くの通販サイトでは、注文履歴から領収書や購入明細をダウンロードできます。電子で受け取った書類の保存方法には電子帳簿保存法の考え方が関わるため、具体的な要件は国税庁の資料を確認するか、顧問税理士に相談してください。
社員にも法人カードを持たせたほうがよいですか。
立替精算が毎月発生している社員がいるなら、追加カードを検討する価値があります。持たせる場合は、使ってよいカテゴリと領収書の提出ルールを先に決めておくと混乱が起きにくくなります。追加カードの発行条件や年会費は各社で異なるため、公式サイトで確認してください。
カード払いに変えると会計処理は変わりますか。
支払い日と計上日がずれるため、未払金の管理が必要になる場面があります。会計ソフトのカード連携を使えば自動化しやすい部分ですが、処理方法は会社の状況によって変わることがあるので、税理士にご確認ください。