登記申請中にできること|謄本・印鑑証明書はいつから取れるか

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

設立や役員変更の登記を出したあと、「まだ完了していないのに、取引先から謄本を求められた」「口座を開きたいのに印鑑証明書が出ない」という場面はよく起きます。登記申請中は、原則として登記事項証明書(謄本)も会社の印鑑証明書も取得できません。ただし、申請したこと自体を示す書類はいくつかあります。この記事では、登記申請中とはどの期間を指すのか、いつから証明書が取れるのか、申請中の代替手段は何か、そして完了までの待ち時間に進めておける作業を、順番に整理します。

この記事の結論

  • 登記申請中は登記簿がまだ書き換わっていないため、新しい内容の登記事項証明書(謄本)も会社の印鑑証明書も取得できず、登記が完了した後に取得できるようになります。
  • 申請中であることを示したい場合は、申請した法務局で交付を受けられる「登記申請受付証明書」や、申請書の控え・オンライン申請の到達通知などを使う方法があります。
  • 会社の印鑑証明書は、印鑑(改印)届出と登記完了のあとに印鑑カードの交付を受けてから取得する流れになるため、口座開設や契約の予定は登記完了予定日を確認して逆算します。

「登記申請中」とはいつからいつまでを指すのか

登記申請中とは、法務局に登記の申請書を提出してから、登記官の審査が終わって登記記録(登記簿)への記入が完了するまでの期間を指します。設立登記なら「設立の申請を出したが、まだ会社の登記簿ができていない」状態、役員変更や本店移転なら「変更後の内容がまだ登記簿に反映されていない」状態です。

この期間に何日かかるかは、申請先の法務局や時期、申請内容によって変わります。申請時に窓口で案内される「登記完了予定日」や、各法務局が掲示・公表している登記完了予定日の一覧で確認するのが確実な方法です。年度末や連休明けなど申請が集中する時期は、通常より時間がかかることもあります。

なお、会社の成立日(設立日)は、登記が完了した日ではなく登記を申請した日として扱われるのが一般的です。つまり「会社はもう成立しているのに、それを証明する登記簿がまだ出来上がっていない」という、ややねじれた状態が申請中の期間だと考えると分かりやすいです。

登記申請中に謄本(登記事項証明書)は取得できるのか

結論から言うと、申請中の内容が反映された登記事項証明書は取得できません。登記事項証明書は登記簿の写しなので、登記簿への記入が終わっていない段階では、出しようがないからです。設立登記であればそもそも会社の登記記録が存在しないため、証明書の請求をしても「該当なし」という扱いになります。

役員変更や本店移転のように、すでに会社の登記記録がある場合は、旧内容のままの登記事項証明書であれば取得できます。ただし、変更後の内容を示したい相手に旧内容の謄本を出しても目的を果たせないことが多いので、何のために謄本が必要なのかを先に確認しておきましょう。

オンラインで登記内容を確認できる「登記情報提供サービス」も、登記簿の内容をそのまま表示する仕組みです。申請中の変更内容は反映されず、反映のタイミングにも多少の差が出ることがあります。完了を確認する目安としては使えますが、法的な証明書としては使えない点に注意してください。

登記申請中に会社の印鑑証明書は取れるか、いつから取れるか

会社(法人)の印鑑証明書も、登記申請中は取得できません。会社の印鑑証明書は、法務局に届け出た会社実印について証明するものですが、その前提として会社の登記記録が存在し、印鑑の届出が受理されている必要があるためです。

取得までの一般的な流れは、①設立登記と同時(または登記申請後)に印鑑(改印)届書を提出する、②登記が完了する、③印鑑カード交付申請書を出して印鑑カードの交付を受ける、④印鑑カードを使って印鑑証明書を請求する、という順序です。印鑑カードの交付と印鑑証明書の請求は同じ日にまとめて行えることが多いので、登記完了後に法務局へ行く際は、印鑑カード交付申請書と会社実印を持参すると一度で済みます。

証明書を請求できる人や必要な持ち物(印鑑カード、代表者の生年月日など)は法務局の様式で決まっています。代理人に取りに行ってもらう場合の扱いも含め、事前に法務局のサイトや窓口で確認しておくと、二度手間を避けられます。

申請中であることを示したい:受付証明書・申請書控え・到達通知の使い分け

「登記が完了していないのは分かったが、申請していること自体を相手に示したい」という場面では、まず登記申請受付証明書を検討します。これは、申請した法務局が「この会社について、この日にこの内容の登記申請を受け付けた」ことを証明する書面です。申請した法務局の窓口で、所定の申請書に会社名・本店・受付年月日・受付番号などを記入して請求します。手数料(収入印紙)がかかるため、金額は法務局の窓口や公式サイトで最新の案内を確認してください。

次に手軽なのが、申請書の控えです。書面申請で窓口に提出した際に、控えに受付印を押してもらっておけば、申請日と申請先が分かる資料になります。いわゆる「登記申請受領書」として、受付番号を記したメモや受付票を渡してくれる法務局もありますが、運用は一律ではありません。提出の際に「控えに受付印をお願いします」と伝えるのが確実です。

オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)を使った場合は、到達通知や処理状況照会の画面が申請の記録になります。画面を印刷またはPDFで保存しておけば、司法書士に依頼しているケースでも申請状況を共有しやすくなります。どれを出せば足りるかは提出先の判断によるので、相手に「申請中であることが分かる書類で差し支えないか」を先に聞くのが近道です。

登記完了までの間に進めておけること・待つべきこと

申請中でも進められるのは、登記簿や印鑑証明書を添付しなくてよい準備作業です。たとえば、定款や議事録など社内書類の整理、会計ソフトの初期設定、請求書やメール署名の会社名表記の準備、事業用のクレジットカードやサービスの申込内容の下書きなどは先に進められます。設立であれば、法人番号の公表や各種届出の様式を確認しておくのもこの時期に向いています。

一方で、待つ必要があるのは、登記事項証明書や会社の印鑑証明書の添付が求められる手続きです。法人口座の開設、事務所の賃貸借契約、許認可の申請、一部の補助金の申請などが代表例で、これらは登記完了後に証明書を取得してから進むのが基本になります。オフィス入居や営業開始の日程を決めるときは、登記完了予定日と証明書取得の日をカレンダーに書き入れて、そこから逆算すると無理がありません。

税務署や都道府県・市区町村への設立の届出、社会保険関係の手続きにも提出期限があります。多くは登記事項証明書などの添付を前提としているため、登記完了後すぐ動けるよう、必要書類の一覧と提出先を先に作っておくと安心です。期限や添付書類の細かい要件は変わることがあるので、国税庁・日本年金機構など所管官庁の最新の案内を確認するか、税理士・社会保険労務士に確認してください。

申請中に補正の連絡が来たら/完了をどう確認するか

申請内容に不備があると、法務局から「補正」の連絡が入ることがあります。書面申請なら電話、オンライン申請なら申請システムの通知で届くのが一般的です。補正に対応した日数分だけ完了が後ろにずれるので、連絡先の電話番号やメールアドレスは、日中つながるものを申請書に書いておきましょう。司法書士に依頼している場合は、連絡は司法書士に入ります。

完了の確認方法は、主に三つあります。申請時に案内された登記完了予定日を過ぎてから、①法務局に電話で完了しているか確認する、②登記情報提供サービスで内容が反映されているか見る、③実際に登記事項証明書を請求してみる、という順です。完了予定日はあくまで目安で、前後することがあります。

完了が確認できたら、登記事項証明書と(必要なら)印鑑カード・印鑑証明書をまとめて取得します。金融機関や取引先に提出する証明書は「発行から3か月以内」など期限を求められることが多いので、必要な通数を提出先ごとに数えてから請求すると、取り直しを減らせます。

迷ったときの判断順:まずこの順に見る

申請中に「何をすればいいか分からない」となったら、次の順に確認してください。第一に、提出先が求めているのは登記事項証明書そのものか、それとも「登記申請中であることが分かる資料」か。後者でよければ、受付証明書や受付印のある申請書控えで進められる可能性があります。

第二に、その手続きに期限があるかどうか。期限が登記完了予定日より前なら、提出先に事情を伝えて取り扱いを相談するのが先です。期限に余裕があるなら、完了を待って証明書を揃えたほうが手戻りがありません。第三に、自分で申請しているか司法書士に依頼しているか。依頼している場合は、受付番号や完了予定日を司法書士に確認するのが最短です。

登記の内容そのものに不安がある場合(申請した事項の誤り、補正の対応、急ぎの取引に間に合わせたいなど)は、早めに司法書士に相談してください。設立後の税務の届出や役員報酬の決め方は税理士、社会保険や雇用の手続きは社会保険労務士など、内容に応じた専門家に確認すると、申請中の時間を無駄にせずに済みます。

よくある質問

登記申請中に登記事項証明書(謄本)は取得できますか。

申請中の内容が反映された登記事項証明書は取得できません。登記簿への記入が完了してから請求できるようになります。既存の会社で変更登記をしている場合は、変更前の内容の証明書なら取得できますが、目的に合うかを提出先に確認してください。

登記申請受付証明書はどこで、どうやってもらえますか。

申請した法務局の窓口で、所定の申請書に会社名・本店・受付年月日・受付番号などを記入して請求します。手数料として収入印紙が必要になるため、金額や様式は法務局の公式サイトや窓口で最新の案内を確認してください。

会社の印鑑証明書はいつから取れますか。

印鑑(改印)届出が受理され、登記が完了したあとに、印鑑カードの交付を受けてから請求できます。登記完了後に法務局へ行く際、印鑑カード交付申請書と会社実印を持参すれば、カードの交付と印鑑証明書の取得を同じ日に進められることが多いです。

登記が完了するまで、法人口座の開設は待つしかないですか。

多くの金融機関が登記事項証明書や印鑑証明書の提出を求めるため、完了後に進めるのが基本の流れです。申込の事前相談や必要書類の確認は申請中でも進められるので、完了予定日を伝えたうえで金融機関に取り扱いを聞いておくとスムーズです。

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