会社設立の挨拶状・挨拶メールの書き方|例文と送るタイミング

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

登記が終わって会社が動き出すと、次に気になるのが「取引先にどう知らせるか」です。挨拶状は形式ばった文書に見えますが、中身は「誰が・いつから・どういう名前で商売をするのか」を伝えるお知らせにすぎません。ここでは、送る相手と時期の決め方、はがき・封書・メールの使い分け、そのまま下書きに使える例文、そして請求書や振込先といった実務の切り替え連絡までをまとめます。

この記事の結論

  • 会社設立の挨拶状は、登記完了後おおむね1〜2週間以内に、取引先・金融機関・士業など「今後も取引が続く相手」へ送るのが一般的です。
  • 文面は「挨拶→設立の報告→設立日と事業内容→今後のお願い→結び」の順で組むと、はがきでもメールでも同じ構成で使い回せます。
  • 個人事業から法人化した場合は、挨拶状とは別に、請求書の宛名・振込先・契約名義の切り替え時期を実務連絡として伝えておくと混乱が減ります。

会社設立の挨拶状は、誰にいつ送るのが自然?

送る時期の目安は、登記が完了して会社の登記事項証明書が取得できるようになってから、おおむね1〜2週間以内です。登記申請中は会社名や設立日が確定していないため、先走って出すと訂正の連絡が必要になります。逆に何か月も空くと「今さら」という印象になりやすいので、登記完了と同時に発送準備を始めるくらいのつもりでいると、ちょうどよく収まります。

送る相手は、優先度の高い順に整理します。第一に、今後も継続して取引する見込みのある得意先・仕入先。第二に、金融機関、顧問の税理士や社会保険労務士など、名義変更の実務が発生する相手。第三に、前職の関係者や同業の知人など、直接の取引はないが今後つながる可能性がある相手です。この順に名簿を作ると、印刷部数も決めやすくなります。

形式の選び方は単純です。改まった挨拶をしたい相手や、役員クラスに届けたい場合ははがき・封書。日常的にメールでやり取りしている担当者にはメール。両方に該当する取引先には、メールで先に知らせて、はがきを後から送る形でも失礼にはあたりません。迷ったら「相手が普段どの手段で自社に連絡してくるか」に合わせるのが無難です。

挨拶状の基本構成|この5ブロックで組み立てる

挨拶状の文面は、次の5ブロックで考えると迷いません。(1)時候と平素の御礼、(2)会社を設立した旨の報告、(3)設立日・商号・所在地・事業内容、(4)今後の指導やお引き立てのお願い、(5)結びの言葉です。この順番ははがきでもメールでも共通で、メールの場合は(1)を短くして本題を早めに出します。

はがきや封書の挨拶状では、句読点を使わず、行頭を下げない書き方が伝統的な作法とされています。堅苦しく感じるなら、句読点を入れた現代的な文面でも問題は起きにくいので、自社の雰囲気と相手層に合わせて決めてください。ただし、同じ発送分の中で作法を混在させると雑に見えるため、どちらかに統一します。

盛り込む情報は、商号・設立日・所在地・電話番号・代表者名・事業内容までで十分です。資本金額や出資の経緯まで書く必要はありません。裏面や余白に会社概要を小さく載せる、名刺を同封する、といった工夫のほうが実用的です。

会社設立・法人化の挨拶状 例文(はがき・封書)

新たに会社を設立した場合の文例です。「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます さてこのたび ◯年◯月◯日をもちまして 株式会社◯◯を設立し ◯◯業を開始する運びとなりました これもひとえに皆様方のお力添えの賜物と深く感謝申し上げます 社員一同 誠心誠意努力してまいる所存でございますので 今後とも一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます 敬具」。日付・商号・所在地・代表者名を末尾に添えます。

個人事業から法人化した場合は、事業の継続性が伝わる一文を足します。「さてこのたび 業容拡大に伴い これまで個人事業として営んでまいりました◯◯を法人組織に改め ◯年◯月◯日付で株式会社◯◯を設立いたしました 従来の業務内容ならびに担当者に変更はございませんので 引き続き変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます」。取引先がいちばん気にするのは「担当者と仕事の中身が変わるのか」なので、ここを早めに打ち消すと安心してもらえます。

事務所の移転や電話番号の変更を兼ねる場合は、挨拶文の後に「なお これに伴い事務所を下記に移転いたしました」と続け、新旧の住所と連絡先、切り替え日を記載します。旧住所への郵便がしばらく届く可能性もあるため、転送手配の期間を社内で決めておくと取りこぼしが減ります。

会社設立の挨拶メール|件名と本文の例文

メールは開封してもらえるかが件名で決まります。「【ご報告】会社設立のご挨拶(株式会社◯◯)」「法人化のご案内|◯◯(旧・◯◯事務所)」のように、社名と用件が一目で分かる形にします。旧屋号で認識されている相手には、括弧書きで旧名を添えると本人確認の手間が省けます。

本文例です。「株式会社◯◯ ◯◯様 いつも大変お世話になっております。◯◯です。このたび、◯年◯月◯日付で株式会社◯◯を設立いたしましたので、ご報告申し上げます。事業内容および担当は従来どおりで、引き続き私が窓口を務めます。新しい会社概要は下記のとおりです。[商号/所在地/設立日/電話番号/代表者]なお、請求書の宛名や振込先の取り扱いについては、別途ご案内いたします。今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。」

一斉送信する場合は、BCCを使い、宛名を「お取引先各位」とします。ただし主要な取引先には個別に送るほうが丁寧です。送信後しばらくは、担当者変更の返信や、先方の社内手続きに関する問い合わせが届くことがあるので、返信テンプレートを一つ用意しておくと対応が楽になります。

挨拶状とは別に必要な「実務の連絡」

挨拶状は儀礼の文書です。取引を止めないためには、実務の切り替え連絡を別に出す必要があります。伝えるべきは主に、(1)請求書・注文書の宛名をいつから新法人に変えるか、(2)振込先口座の変更と切り替え日、(3)契約の名義変更や再締結が必要かどうか、(4)インボイス制度に関する登録番号の取り扱いです。

個人事業から法人化した場合、個人の登録番号と法人の登録番号は別のものとして扱われます。いつの取引分からどちらの番号を記載するのかは、相手の経理処理にも影響するため、切り替え日をはっきり書いて伝えてください。登録の時期や経過的な取り扱いは状況によって変わることがあるため、制度の詳細は国税庁の資料を確認し、判断に迷う点は税理士にご確認ください。

振込先の変更連絡は、近年は詐欺との見分けがつきにくく、先方が警戒することもあります。メール一本で済ませず、電話や対面でも一言添える、社判を押した書面を併せて送るなど、二重の経路で伝えると受け入れられやすくなります。連絡の記録は、後の確認に備えて残しておきます。

プレスリリースを出すかどうかの判断

会社設立のプレスリリースは、すべての会社に必要なものではありません。判断の順序としては、まず「発表して反応してほしい相手がいるか」を考えます。採用したい人材、提携先、メディア経由で知ってほしい見込み客がいるなら出す価値があります。既存の取引先に知らせるだけが目的なら、挨拶状とウェブサイトの更新で足ります。

出す場合は、設立の事実だけでなく「何を解決する会社か」を主役にします。構成は、見出し/リード(誰の何を、どう変えるのか)/設立の背景/事業内容/代表者プロフィール/会社概要/問い合わせ先、という並びが一般的です。設立日と配信日が離れすぎるとニュース性が薄れるため、設立後1か月以内を一つの目安にするとよいでしょう。

配信先は、業界紙、地域のメディア、配信サービスなどが候補になります。配信サービスは提供各社で条件が異なるため、料金やプランは各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。掲載を狙うより、自社サイトに残る公式発表として使う、と割り切るのも一つの考え方です。

よくある質問

会社設立の挨拶状は、いつまでに送ればよいですか。

登記が完了して会社の情報が確定してから、おおむね1〜2週間以内が目安です。時期が遅れてしまった場合でも、送らないより送ったほうが丁寧ですので、「ご報告が遅れましたが」と一言添えて出すとよいでしょう。

はがきとメール、どちらで送るべきですか。

普段のやり取りがメール中心の担当者にはメール、改まった挨拶をしたい相手や役員宛てにははがき・封書が向きます。重要な取引先には、メールで先に知らせたうえで、後からはがきを送る二段構えでも失礼にはあたりません。

個人事業から法人化したときは、何を伝えればよいですか。

商号・設立日・所在地に加えて、事業内容と担当者が変わらないこと、請求書の宛名と振込先をいつから切り替えるかを伝えます。インボイスの登録番号も個人と法人で別のものとして扱われるため、切り替え時期を明記し、判断に迷う点は税理士にご確認ください。

挨拶状に資本金や出資者は書いたほうがよいですか。

通常は書きません。商号・設立日・所在地・連絡先・代表者名・事業内容があれば、挨拶状としての役割は果たせます。詳細を知らせたい相手には、会社概要のリーフレットや自社サイトのURLを添える方法があります。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。