QRコード決済を店舗に導入する|マルチ決済のまとめ方と選び方

・法人カード・決済・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

「PayPayも楽天ペイもd払いも使えるようにしてほしい」とお客さまに言われて、調べ始めた方は多いと思います。QRコード決済は数が多く、1つずつ個別に契約していくと、申し込みも入金日もバラバラになり、店舗の事務が一気に重くなります。この記事では、複数のQRコード決済を決済代行で「まとめる」考え方と、端末型・アプリ型・据置型のどれを選ぶか、申し込みから実際に使えるようになるまでの順番を整理します。

この記事の結論

  • 複数のQRコード決済を店舗に入れるなら、1社ずつ個別契約するより、決済代行(マルチ決済サービス)で1回の申し込みにまとめるほうが、審査も入金も管理しやすくなります。
  • 選ぶ順番は「必要な決済手段が揃うか→端末の形(タブレット型・据置型・アプリのみ)→入金サイクルと入金先口座→レジやPOSとつながるか」の4つで、料金の比較は最後で構いません。
  • 申し込みから使えるまでは審査と端末の到着で数週間かかることがあるため、開店日やイベント日が決まっているなら逆算して早めに動くのが安全です。

QRコード決済は個別契約と決済代行、どちらでまとめるべきか

QRコード決済の導入方法は大きく2つあります。1つは各QRコード決済事業者と直接契約する方法、もう1つは決済代行会社(マルチ決済サービス)と1本契約して、その中で複数のQRコード決済をまとめて使う方法です。前者は特定の決済手段だけを使いたい場合に向きますが、3つ4つと増えるほど、申込書・審査・管理画面・入金日がすべて別々になります。

小さな店舗やひとり社長の場合、まず検討したいのは決済代行でまとめる方法です。申し込みが1回で済み、売上の入金もまとめて1つの口座に入るため、会計処理のときに「どの決済の入金がどれか」を追いかける手間が減ります。クレジットカード・電子マネー・QRコード決済を同じ端末で受けられるのも利点です。

逆に、特定のQRコード決済だけを圧倒的に多く使われる立地(たとえば特定チェーンのポイント経済圏に寄った商店街など)で、その1社の条件が店舗に合うなら、直接契約を併用する判断もあります。判断の順番としては、まず決済代行でまとめられる範囲を確認し、そこから漏れる決済手段だけを個別に足す、という考え方が扱いやすいはずです。

決済代行を比べるときに、最初に見る4つの基準

1つ目は「必要な決済手段が揃っているか」です。サービスごとに対応しているQRコード決済・電子マネーの顔ぶれは違います。お客さまからよく聞かれる決済手段、インバウンド対応で必要になる海外系のQRコード決済があるなら、対応表を公式サイトで確認してから先に進みます。ここが合わないと、あとの比較はすべて無意味になります。

2つ目は「端末の形」です。レジ横に置く据置型、タブレットやスマホとつなぐカードリーダー型、端末を持たずQRコードを印刷して掲示するだけの形など、選択肢があります。移動販売やイベント出店が多いなら通信手段(モバイル回線かWi-Fiか)と電源の取り方まで確認します。

3つ目は「入金サイクルと入金先口座」です。入金が月1回なのか、週次なのか、指定口座によって条件が変わるのかは、資金繰りに直結します。4つ目は「今使っているレジ・POS・会計ソフトとつながるか」。売上データが自動で流れるかどうかで、毎日の締め作業の手間が変わります。料金の比較は、この4つを満たす候補が2〜3社に絞れてからで十分です。

端末型・アプリ型・掲示型、どれを選ぶか

まず「お客さまがレジに来る店か、こちらがお客さまのところへ行く形か」で分かれます。飲食店や物販のようにレジが固定されている店舗なら、据置型やタブレット一体型が扱いやすく、スタッフが複数人いても操作を覚えやすい形になります。レジ締めの画面が1つにまとまるのも実務上は大きい点です。

出張施術、キッチンカー、イベント出店、訪問修理のように移動が多いなら、スマホやタブレットにカードリーダーをつなぐ形が向きます。荷物が減り、バッテリーと通信さえ確保できればどこでも決済できます。ただし屋外で電波が弱い場所では決済が通りにくいことがあるので、現地の電波状況は事前に確認しておきたいところです。

QRコード決済だけで十分で、クレジットカードは当面受けないという判断なら、店頭にQRコードを掲示してお客さまに読み取ってもらう形もあります。初期費用を抑えやすい反面、金額の入力をお客さま側が行うため、打ち間違いや支払い漏れを店側で確認する運用が必要になります。少額中心の店舗か、レジで画面を確認できる体制かどうかで選び分けてください。

エアペイ・スクエアなど、よく名前が挙がるサービスの見方

店舗のキャッシュレスを調べると、リクルートのAirペイ(エアペイ)やSquare(スクエア)、STORES 決済といった名前がよく出てきます。いずれも、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済を1つの申し込みでまとめて扱えるタイプのサービスで、比較記事にも頻繁に登場します。どれが良いかは店舗の形によって変わるため、「人気だから」で決めないことが大切です。

見るべきは前の章の4基準に落とし込んだときの相性です。たとえば、すでに同じ会社のPOSレジや予約システムを使っているなら、同系列のサービスを選ぶとデータ連携で手間が減ることがあります。ネットショップと実店舗の両方をやっていて、売上を1つの管理画面で見たいなら、オンライン決済も扱えるサービスが候補に入ります。

対応している決済手段、端末の種類、入金サイクル、初期費用や決済手数料は変更されることがあります。比較の最終判断は、必ず各社の公式サイトで最新の条件を確認してから行ってください。この記事では特定のサービスを推奨せず、どういう店舗にどの条件が向くか、という見方だけを示しています。

申し込みから使えるようになるまでの流れ

順番としては、①必要な決済手段を書き出す → ②候補を2〜3社に絞る → ③公式サイトから申し込み → ④審査 → ⑤端末の受け取りと初期設定 → ⑥テスト決済、という流れになります。申し込みの前に、法人番号や登記事項証明書の情報、代表者の本人確認書類、売上の入金先となる法人口座、店舗の外観・内観や取扱商品が分かる写真などを手元に揃えておくと、入力で止まりません。

審査では、事業内容・取扱商品・店舗の実態が見られます。開業前で店舗写真がまだ撮れない、ホームページがまだない、といった場合は審査に時間がかかることがあります。開店日やイベントの日程が決まっているなら、少なくとも1か月以上の余裕を見て動くほうが安心です。決済手段によっては、審査の結果が個別に後から届くこともあります。

端末が届いたら、スタッフ全員でテスト決済と返品(取消)操作を一度やっておきます。本番で慌てるのは決済そのものより返品処理です。あわせて、レジ締めのときにどの画面を見て日次の売上を確認するか、現金とキャッシュレスをどう分けて記録するかを、最初に決めて紙に書いておくと、後の経理が楽になります。

導入後の経理と、確認しておきたい制度まわり

キャッシュレス決済の売上は、お客さまが支払った日と、店舗の口座に入金される日がずれます。会計上は売上の計上時期と入金時期を分けて記録する必要があり、決済手数料の扱いも含めて処理の仕方を最初に決めておかないと、月次でずれが積み上がります。会計ソフトと決済サービスの連携が使えるなら、導入時点で設定してしまうのが近道です。

インボイス制度に関連して、お客さまから領収書や適格請求書を求められる場面があります。決済端末から出るレシートに何が印字されるか、登録番号を載せる運用がどうなっているかは、導入時に確認しておきたいポイントです。また、取引データを電子的に受け取る場合の保存方法は電子帳簿保存法の考え方にも関わります。要件の詳細は国税庁など所管官庁の資料で最新の内容を確認してください。

売上規模や事業形態によって、消費税の扱いや記帳の方法は変わってきます。決済手数料の勘定科目、入金額と売上額の差額処理、複数決済がある場合の補助科目の立て方などは、自己流で始めると後から直すのが大変です。導入前後のタイミングで、顧問の税理士に「この決済サービスを入れるので、記帳ルールを決めたい」と相談しておくことをおすすめします。顧問がいない場合も、最初の記帳ルールづくりだけスポットで税理士に見てもらうと、その後の運用がぶれにくくなります。

よくある質問

QRコード決済は1社ずつ契約したほうが手数料は安くなりますか

条件は各社・各決済手段ごとに異なり、時期によっても変わるため、一概にどちらが有利とは言えません。手数料だけでなく、申し込みや入金管理にかかる手間も含めて判断するのが現実的です。最新の料金は各社の公式サイトでご確認ください。

開業前でも決済代行に申し込めますか

開業前から申し込みを受け付けているサービスもありますが、審査で店舗の実態確認が求められることが多く、時間がかかる場合があります。開店日が決まっているなら、少なくとも1か月以上の余裕を持って手続きを始めると安心です。

個人事業主から法人にした場合、契約はそのまま使えますか

多くの場合、契約者名義が変わるため、新たに法人として申し込み直す流れになります。入金先口座も法人口座への変更が必要になることが一般的です。切り替え時に決済が止まらないよう、手順を事前にサービス側へ確認してください。

決済手数料は経費として処理できますか

一般に支払手数料などの科目で処理されることが多いですが、事業の内容や契約形態によって適切な扱いは変わります。売上と入金の差額処理も含めて、記帳ルールは早めに税理士にご確認ください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。